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6月20日 2-2



 リュウジがその言葉を口にするに至った経緯はこうだった。
 数日前にコウヘイと揉めた級友の中西がこんな話を持ってきたんだ。
 「リュウジ、あの暗黒の紫の奴って、ほんとに知り合いじゃないんか? 昨日な、奴と仲間がウチの生徒を取り囲んでるとこにぶつかってよぅ。んで、紫の奴が言ってたんだよな。『文句があるなら貴様等のところの赤い髪に言え』って」
 「何――だと!!! あの目つきの悪い奴がか!!!」
 「そうなんよ。ま、そこんとこはリュウジの代わりに俺が加勢しといたんだけどよぅ」
 言いながら中西は、肘と顎に貼った絆創膏を指さした。
 「……だから、一体何だってんだ、あいつは!!!」
 訳がわからないから仕方ないけど、やりどころない感情を向ける先を思いつかなかったんだろうリュウジは、握った拳固をスチール製の清掃用具入れにぶつけていた。
 ものすごい音がして、清掃用具入れに大きな凹みを作っていて――帰りのホームルームでリュウジは赤ジャージにえらい勢いで叱られてた。
 
 その日の帰りは、一旦はいつものようにリュウジの家の前で別れたけれど、いくらも経たないうちにリュウジが単車でオレの家に現れた。
 今乗っている大型じゃなくて、その頃のリュウジのマシンは250ccのやつだった。たしか借り物だって言っていた。
 その気配に気づいたオレは、部屋の窓から顔を出して訊いた。
 「よう、リュウジ。走りに行く? だったらオレも――」
 「いや、それは後でな。ちょっと話があるから来た。上がってもいいか?」
 というやりとりの末に語られたリュウジの決意がそれ――『隊を結成する意志だからお前も一緒に来てくれ』という台詞だった。
 
 リュウジはオレがふたつ返事でOKすると思っているんだろうか。けれども即座に期待に応えられないのは、ひとえにオレの自信のなさの現れで。
 どう言っていいんだかわからなくて、オレはリュウジにこう訊いた。
 「っていうか、オレが――役に立つと思う?」
 「当たり前じゃねえか、ハヤト!!! お前は俺が見込んだ男だぜ?」
 「え。見込んだって、リュウジ? オレ、何も大それたことなんてできる男じゃない」
 「何言ってんだ、ハヤトは。お前、単車テクは天下一じゃねえか!!! お前は俺と出会うべくして出会ったはずだって、俺はずっと思ってたんだぜ?」
 「出会うべくして……って――」
 「オウ、そうだぜ!!! ハヤトはな、こっから先、その単車テクで俺を助けてくれればいいんだ。あとは腕っ節の強いダイゴがいるのも心強いぜ。ハヤトとダイゴの双璧があったら、俺の隊は無敵だぜ!!!」
 何かしら、近い未来を想像してかリュウジの瞳は強く輝いていた。それを見て、オレはさらに考えた。オレはリュウジが期待するような働きができるのか?

 「そりゃ、単車は多少自信あるけどね」
 「って、まだそんな弱気な顔してんのか? ハヤトは」
 「それはそうだよ。だってオレ、単車は、っていうか単車にしか自信ないし。リュウジみたく人望篤い男の脇を固める『強い』キャラだとも思えないからね」
 「わはははは!!! そういうのはハヤトが考えることじゃねえぜ。それはな、俺が決めることだ。なぜなら――これは俺が立つ隊だからだ」
 笑いながらも強い語調でリュウジは続けた。そうか、全ての決定権はリュウジにある――その覚悟をすでに持っていたんだな。

 「俺が決めたんだから誰にも文句言わせねえ。俺がハヤトに共に来るように要請してるんだからな。第一、ハヤトは充分強いだろう? 現に今だって、速攻で賛成しねえってのは、周りに流されねえぞっていう弱くはない意志があるんじゃねえのか」
 単に自信がないだけだなんて言えない空気が流れてたのを覚えてる。
 とはいえ、的を射てはいたんだ、リュウジの言は。それまでのオレは流される格好で集団に属することを善しとしないところがあったんだから。
 
 「それにな。ハヤトって基本的にとぼけた奴だけど、そこがまた俺には必要に思うぜ。何て言うんだ? ほら――中和、ってのか。俺、けっこうハヤト見てると和むしな。お前がいるとなんかこう、ぎすぎすしなくていいんだよな」
 リュウジがやんちゃな少年めいた目でオレを見た。
 そうか――そういう意味で必要とされているんだったらいいのかもしれない。
 オレはようやく『自らの意志で集団に属するオレ』の姿を思い描いていた。




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【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店「魔速商会」
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

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★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

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◆関連するおはなし
 リュウジとコウヘイが初めて対決したときの件
  → 本編/自転車狂詩曲 ←
  → 承前/新米教官の自尊心 ←

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コメント

( ・∀・)ノ コンチャ♪

>>『文句があるなら貴様等のところの赤い髪に言え』

コウヘイも、無茶苦茶なことを言うもんですねぇ…この頃は。
っていうか、屁理屈にしか聞こえませんがどうでしょう?(´Д`;)

癒し系…と言ったら可笑しいかもしれないけれど。
ハヤトの存在は、リュウジにとってそういう役割だったんですね^^
ハヤトの単車の腕前も然り、リュウジはちゃんとよく見てるわぁw

>鬼ムチコさま

ども~(*^ー^)ノ

コウヘイ、ほんとおっかないですよね~。
 ↑他人事

でも、はじめて鬼浜打ったときのコウヘイのイメージって
こんなんだったんですよ。わたし。
「極悪非道」も伊達じゃなさそうだなあ、って。
だって武器持ってるんだもん。

こんな雰囲気の町だからこそ。
ハヤトはそういう役どころ、ってことで(〃∇〃)

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