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6月20日 3-2



 隊の名前が『鬼浜爆走愚連隊』と定まった翌日のこと。
 リュウジはさっそく、隊旗を作ってくれると言ったダイゴの同級生に入れるべき文字を伝えたらしい。正式なものを作るのには日数がいるということなので、ひとまず仮の形で試作品を、と注文していた。
 それが出来たら文字通りの「旗挙げ」ってことになるんだろう。
 請け負ってくれたダイゴの同級生は、徹夜で描くから明日にはなんとか、と言っていた。
 そして揃いの特攻服に関しては、最初は刺繍なしでいいだろうということになった。
 それもまた、刺繍なしならばすぐにでも人数分が揃う、という発案者の級友の言。
 
 「よし。そしたら明日が旗挙げだ。みんな、よろしく頼むぜ!!!」
 「当たり前!! こっちこそよろしくな、リュウジ」
 「みんな待ち望んでたんだぞ、隊長!!」
 「オウ、任せとけ!!!」
 喩えて言うなら体育祭か文化祭の前の日みたいな気分が放課後の鬼工に満ちていた。
 首謀者はリュウジ。賛同者は大勢の有志たち。もちろんダイゴとオレも。
 急ごしらえの、リュウジを中心とする隊――鬼浜爆走愚連隊の結成前夜は、こうして気合充分のうちに訪れた。

 ――あのころのオレの愛車はまだ新車の域で、今ほどチューンされていなかった。
 マフラーも、今ほど美しい排気音の鳴るやつを装備していなかった。
 それでも、初めて乗ったその日から気の合うマシンだったから、乗れば乗るだけオレに懐いてきているな、と感じはじめてはいたんだった。
 
 その夜は、さすがにオレも気分が高揚していた記憶がある。
 なんだか落ち着かなかった。雑誌をぱらぱらめくっても、ちっとも頭に入らなかった。
 だからオレはガレージから単車を引っ張り出してエンジンをかけたんだ。
 我ながら、その頃も今も、落ち着かないときにすることって言ったらこれ以外に思いつかないんだけど。
 オレは夜のひとり走りのときのお決まりコース、海辺の国道を走った。
 昼間にちょっと雨が降ったから、空気が湿ってひんやりしていたのを覚えてる。
 愛車のご機嫌を伺うようにしながら、しばらく西に向かって単車を走らせた。
 左からの海風に、まだ伸ばし切れていなかった髪がばさばさとなびいてた。
 時計も持たずに出たので、どれくらいの時間走っていたのかわからない。
 けど、なんだか満足して。それに高ぶっていただけの気持ちも落ち着いて、覚悟めいた気合いがみなぎってきたのを感じたから、オレは国道をUターンして鬼浜町に戻ることにした。
 次の信号を越えたら鬼浜町に入る、というところでオレはそれに遭遇したんだ。

 オレのすぐ前をゆく3台のマシン。オレはそれなりの速度を出していたからか、それらはずいぶんのろのろと走っているように思えた。
 最初は3台で連れ走りをしているのかと思った。けど、なんだか様子がおかしいと気がついたのは、それらに追いつく寸前のこと。
 3台のうちの1台は原付、あとの2台は中型。
 原付はあとの2台にぴったりとつけられているように見えた。
 2台は原付の前に回り、後に回り、かと思うと脇からぶつけるように車体を寄せたり。
 
 3台に追いついたオレは、瞬時に状況を把握したんだ。
 原付を転がしているのは制服姿の鬼工の生徒で、中型の2台は暗黒水産の奴ら――そのときは名前も知らなかった、コウへイとハンゾウだった。
 奴らは鬼工生――オレの仲間を取り囲んで執拗にすがりついているようだ。
 それを見て、オレはオレの中の『自分』が奮い立つ音を聞いた。
 その音は、オレの理想の排気音に似た美しい爆音だったかもしれない。
 
 OK、わかった。オレが行く。ここはオレの出番だよな?
 一瞬だけ天を仰いでから、オレは大きく深呼吸。
 オレは自分の意志を強く持って、暗黒水産の奴らにつっかかって行くことに決めたんだ。




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【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店「魔速商会」
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

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★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

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◆関連するおはなし
 リュウジとコウヘイが初めて対決したときの件
  → 本編/自転車狂詩曲 ←
  → 承前/新米教官の自尊心 ←

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コメント

( ^∀^)ノ コンチャ♪

いよいよ、旗揚げ前日!
ハヤトの胸が高鳴る気持ち。
何だか、分かる気がします^^

>オレはオレの中の『自分』が奮い立つ音を聞いた。

これがリュウジと出会う前のハヤトだったら、「その音」は聞こえなかったかもしれませんね。
その前に、そういう感情すら起こらなかったのかも^^;

>鬼ムチコさま

ども~(*^ー^)ノ

旗揚げ前日。
ハヤトが盛り上がってくれてよかったです。
いや~、ゴネてたから。
どうなることかと思ってましたf(^ー^;
 ↑ほんと無責任w

リュウジに出会って、ようやく『自分』を理解したみたい、ハヤトは。
とぼけた奴だとは思ってたけど、そこまで鈍い子だったとはw
さすがに驚きましたよ!!!
人ごとのようですけど。
でも、これ書き始めるまで知らなかった~(〃∇〃)

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