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6月20日 5-2



 たいして速度は上げていなかったけれど、やたらと気分は爽快だった。
 そうか――リュウジの正義に力を貸すということなんだ。オレが求められていたのは。
 今さらながらにそれを実感して、あまりの理解力の乏しさに苦笑して。
 それ以上に、誇らしさがオレの胸を満たしていた。
 リュウジの背中を見ながら走っている間、オレはさっきまでよりも『明日』が待ち遠しくなってきているのを感じていた。
 
 昇龍軒に戻ったときには、すでに店じまいが近い時間だった。
 リュウジの部屋に通されて、そこでオレは簡単にその夜のいきさつを話した。
 「なるほど、そういうことだったんだな」
 「うん。忙しいところを呼び出して悪かった、リュウジ」
 「いや、何ともねえってば!!!」
 リュウジは笑ってそう答えてくれた。

 「でも、俺は安心したぜ。ハヤト」
 「ん? 何を?」
 「いや、想像してたとおりだったからな」
 オレの目を見てリュウジは一旦言葉を切って、ひとつ頷いてからこう続けた。
 「普段はのんびりしてるようだけど、肝心なときには熱くなる男のはずだ、って思ってたんだぜ? ハヤトのことを。それが当たってたんだからな。ハヤト――お前なら特攻隊長として充分な男だぜ!!!」
 一瞬、リュウジが何を言ったんだかよくわからなかった。言葉の意味を理解したあと、びっくりして問い返した。
 「え――特攻隊長? オレが?」
 「当たり前!!! お前を除いて誰がその席に座るんだ?」
 
 ――そのときのオレは、はじめて隊の中での肩書きをリュウジに告げられて、身の引き締まる思いで背筋を伸ばしたんだ。
 そうか。オレ、そう呼ばれる男になるんだ。
 ――そのときのリュウジは、オレの覚悟を読み取ってくれたっていう表情だった。
 明日から始まる闘いに、オレも男として全力を注ぐのだという覚悟を。
 
 そんな前夜を経て、迎えた翌日夜の河川敷。
 オレたちの隊は産声をあげた。

 河口にほど近い鬼川を吹く風には潮の香りが混じっていた。
 それを受けて、急ごしらえの隊旗が大きくはためいていた。
 総勢50人の居並ぶ面々は揃いの白い、真新しい特攻服を身にまとって――そして雄叫びが轟くのを待っていた。
 
 大勢の仲間に囲まれて、リュウジはこのひとことだけを腹の底から響かせた。
 それに仲間たちが声の限りを叫び返す。
 男同士の連帯感に余計な言葉はいらなかった。

 「鬼浜爆走愚連隊 総隊長リュウジ 夜露死苦ぅ!!!」
 「夜露死苦ぅ!!!」

 結成式はたったこれだけだったけれども、オレはいつでも思い出すことができる。
 男・リュウジが『漢』になった瞬間を。
 
 ――オレたちが1年だったころの、あの日の昼間は今日みたいな風が吹いていたのかな。
 興奮していたからちっとも記憶がないけれど。
 
 追憶に浸りながらぼんやりと川の流れを見ていたオレを、土手の上から呼ぶ声がする。
 「お、ハヤトじゃねえか。なんだ、まだ制服着てるのか。寄り道か?」
 声の主は、オレの追憶の中では今より小振りなリーゼントをしていたリュウジだった。
 自転車に乗って通りかかったところみたいだ。
 「ああ、うん。天気よかったからね。リュウジは? 買い物?」
 「オウ。ちょっとな。探してる漫画が見つからなくて、遠征するとこだぜ」
 「あ、そうなんだ」
 
 自転車を停めて、リュウジは土手に降りてきた。そのままオレの横に座り込む。
 「どうかしたのか? なんか妙な目つきしてるんじゃねえか? ハヤト」
 「え――そうかな? どうもしないけどさ」
 「だったらいいけどな」
 慮るような目でオレを見るリュウジ。オレが信頼するのと同じくらい、オレを買ってくれているオレたちの総隊長どの。
 ああ、なんかいいな。今のオレたちはこうあるべくして生まれたんだ、なんて考えるのがすごく気分いい。

 だからオレは素直にこう言ったんだ。
 「ただ、ちょっと前のことを思い出してたとこなんだ」
 「うん? 何をだ?」
 「オレたちが1年のときの『今日』のことをね」
 「オウ、そうか。なるほどな」
 リュウジはそう応えて、すごくいい顔で笑った。

 「覚えてた?」
 「当たり前じゃねえか!!! 忘れるわけねえって。ってか、ハヤトこそよく覚えてたな。むしろそっちを俺は心配してたんだぜ? お前って、どっかぼけっとしてるから」
 「え。そんな風に思ってたんだ」
 オレはすこしだけ、むっとした表情を作ってみせた。冗談だけど、それもリュウジにはちゃんと通じるはずだから。
 「わはははは!!! まあ、いいじゃねえか。お前はあのころも今も、鬼浜爆走愚連隊の特攻隊長として俺の横にいるんだからな。それが全てだろ?」
 「ああ――うん。そうだね。オレはそれだけでいいや」
 オレもできるだけいい顔に見えるように、リュウジに向かって笑ってみる。

 そうだ。それだけでいいんだ。
 オレはここにいる――それだけがオレのすべて。それ以上でもそれ以下でもなく。

 ありのままのオレ、ありのままのリュウジ。
 ありのままの鬼浜爆走愚連隊。
 それらの真実がどうか永遠不滅でありますよう――オレは風神様に祈りを捧げる気分で天を仰いだ。


   * 6月20日 完 *
 
 

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【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店「魔速商会」
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

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★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

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コメント

肩書きの名の重さは・・・

( ^∀^)ノ コンチャ♪

「特攻隊長」と言う名の肩書き。
その重さは、彼にしては半端ないでしょうな(´ω`)ウン
でも彼がやるべくして、リュウジと出会って。
全ては、運命に導かれるまま――

……なんて大それた事を書いちゃいましたが、そのくらいの重さだと私は思いますヨ。f(^^;)

ハヤト、これからも鬼爆の特攻隊長として、頑張ってほしいですねぇ^^

>鬼ムチコさま

ども~(*^ー^)ノ

>全ては、運命に導かれるまま――
あああ、そうなんですよ・°・(ノД`)・°・
ほんと、そう思ってたんです!!!
わかってもらえてしあわせです^^

「特攻隊長」って、そうですよね。
重責ですよね。
でも、それを飄々といった風にこなしているハヤトって。
やっぱこうゆうキャラかなあ、と。

ほんとは、もっと軽い話になると思って書き始めたんですけど。
案外、真面目なおはなしでしたねf(^ー^; ←他人事w
でも、いまこの時期にコレを書けて、なんか納得しちゃいましたわ^^
なんかね、6月って節目の気分だったので。

ちょっと今、忙しいんですけど。
まだまだ書きますんで夜露死苦ぅ(〃∇〃)

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