目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

趣味的放課後の過ごし方 9-2



 そんなオレたちを見ながらリュウジは言った。
 「ハヤト、ダイゴ。今日は助かったぜ」
 「ん? 何を改まったこと言ってるんだ、リュウジ」
 「だってそうだろう? ハヤトにはウチの店の信用を、ダイゴにはウチの従業員を守ってもらったんだしな!!!」
 「あはは、そんな大したことしてないって」
 これはオレの本当の気持ち。隣でダイゴも頷いている気配がする。
 「ノブオ。俺らんとこの双璧――風神雷神は頼もしいな」
 「ええ――ええ、兄貴。オレ……感激っス」
 いい加減暗いからよくわからないけど、ノブオは泣き出しそうな声音だった。
 ……なんか照れるね、なんてダイゴと間近に視線を交わす。
 
 そしてリュウジはノブオを正面から見てこう言った。
 「ノブオ。こないだは悪かったな」
 「……何がっスか?」 
 「ほら、あっちのモヒカンとこないだ揉めたって言ってたよな。そんときに、お客を拒むのは良くないって言っただろう?」
 「ああ、そうだったっスね……兄貴」
 「いくら客はえり好みしねえって言ったって、あんな風にちょっかい出されたらたまんねえよな。あいつらにウチにラーメン喰う資格はねえぜ」
 さっきまで単に呆れていた様子だったリュウジが、それに思い至ったとたん、さも腹立たしげな口調に変わったのを感じた。

 ノブオは『わかってくれて有り難い』とでも、リュウジに感謝の言葉を返すんだろうと思ったオレだったけれど――ノブオの口から静かに、けれども決然と語られたそれは意外なもので。
 うん、オレたち、みんなびっくりした。
 「そんなことないっス、兄貴。オレはやっぱり昇龍軒のラーメン、どんな人にでも食べてほしいって、そう思ってるんで」
 「――ノブオ?」
 「だって、昇龍軒のラーメンは天下無敵の最強っスからね。ある意味、奴らが食べたらノックアウトできるはずっスから!!」
 なんだ、しっかりしてるじゃん。
 ノブオって、こんなに意志の固い男だったんだ。
 「リュウジ。ノブオをこのまま短期バイトにしとくのもったいないね」
 オレがそう感想したら、リュウジはわはは、と大きく笑った。

 「ああっ!! こんな場合じゃないっス!! 兄貴、オレ店に戻りますんで」
 突然思い出したように――リュウジが笑う声とわざと被るようなタイミングでノブオは慌てて立ち上がる。
 「お、そうか。ノブオはまだ仕事中だったもんな」
 「ノブオ、ごちそうさま。皿、空いたから」
 「旨かった。ラーメンまで食えなくて申し訳ないのだが」
 ダイゴとオレは、完食したチャーハンと餃子の皿を岡持に戻した。シートに跨ったノブオがエンジンをかける。
 その前に立ってリュウジが言った。
 「俺、店主に電話しといてやるから。ノブオは悪くねえってな。心配いらねえぜ!!!」
 「いえ、兄貴。大丈夫っス。オレ、自分で説明できますから。何でもかんでも兄貴に頼ってばっかりじゃ、オレ情けないっスもん!!」
 そう返して、ノブオはものすごくいい顔で笑った。
 
 「そしたら兄貴、手を煩わせちゃってすみませんでした。休日、満喫しちゃってくださいっス」
 「オウ、そうか。んじゃそうさせてもらうぜ」
 「ハヤトさんもダイゴさんも、本当にありがとうございました。今度オレのおごりで、のびてないラーメン食べにきてくださいね~!!」
 了解、と手を振って、ノブオを送り出す瞬間に思い出してオレは声を張った。
 「そうだ。大工さんとこの男の子、ノブオに会うのを楽しみにしてたよ」
 「あ、ありがとうございます、ハヤトさん!! オレ、明日は出前なくても顔見せに行ってくるっスね」
 それだけ言って、ノブオは大急ぎでカブを駆って遠ざかってゆく。
 見守るオレたち3人は、なんだかえらく頼もしくなったノブオの背中が見えなくなるまで目で追ってた。

 結局は時間的に間に合わなくて、当初の計画だったダイゴ行きつけのおもちゃ屋さん特攻は次回送りとなった。
 代わりと言ったら何だけど、真夏を前にした海沿いを軽く走ってみようかってことになって、オレたちは3人で夜の国道へ。
 すっかり夏の風が道をゆく。1学期の最終日ならではの開放感が包んでくれるような。
 
 今日からしばらく放課後はおあずけになるけれど。
 それぞれの昼間の時間を終えた夜の時間、こうしてみんなで集まるってだけで楽しいんだろう――そんな風に思うだけで、夏の日々への期待がふくらんできていた。


   * 趣味的放課後の過ごし方 完 *




にほんブログ村 スロットブログへ



 
 
===============================

【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店「魔速商会」
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

===============================

★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

===============================

<< 勇者的夏休みへの入り方 1-1 | ホーム | 趣味的放課後の過ごし方 9-1 >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。