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ジグソーパズルの1ピース 1-1



 窓の外から声がする。
 いつもの時間、いつもの声。オレの朝にはお決まりの――というかこの界隈のご近所さんたちにも耳になじんでいるはずの例の声だ。
「ハ~ヤ~ト~くん!!! おはよう!!!」
「うん……ああ、おはよ」
 何度も叫ばせておくのも何なので、オレはいたしかたなく布団から身を起こして、窓を開けて返事をして。
「オウ、相変わらず寝ぼけてるな。今日なんか朝から気温高いのに、よく寝てられるよな、ハヤトは」
「血圧低いからね、オレ」
「いいから。ほら、時間ねえぞ? 早く顔洗って着替えてこいや!!!」
「……了解」
 乱れた髪に手をやって、目をこすりながらそう応えて。そしてオレは洗面所へと向かう。
 まったくいつもどおりの朝だ。
 歯を磨いて、顔を洗って、髪も簡単にセットして。部屋に戻って学ランに袖を通して。

 なんとか準備完了。店先で開店の用意をしはじめた親父に一声かけて出発だ。
「そしたら行ってくる、親父」
「おや、低血圧の不憫な息子よ。今日もそんな格好ということは、通知票が思わしくなかったのだな。よしよし、頑張ってこい」
「……え?」
「ああっ!!! 親父さん、いいからいいから!!! ハヤト気づいてねぇんだから」
「は? リュウジ、何? オレが気づいてないって」
「気にすんなやハヤト!!! さっさと行こうぜ。今日も天気いいしな!!!」
 リュウジに背中を押されて、じゃあ行ってくる、と道に出た。
 そこで出くわしたのが、見覚えのある顔ばかりの近所の小学生軍団だった。水泳バッグをかごに突っ込んだ自転車で彼らが通り過ぎるのを見て、やっと何かに気づいたオレ。
「あれ――何かおかしくない? 小学校、今日休み……?」 
「わはははは!!! 深く考えるなハヤト」
「って、そうだよ、もう夏休みじゃん!! いつもの時間に迎えに来るもんだから、条件反射しちゃったよオレ」
「わはは、ほれ、走るぞ。遅刻しちまうと後が面倒だからな!!!」
 逃がすものか、とオレの手首をがっちり掴んだリュウジがしてやったりの笑い声をたてながら走り出す。
「……わかったよ。もう逃げないから。痛いってば」

 観念したオレは、額に汗が噴いてくるのを感じながらこう訊いた。
「で、どの教科の補習? リュウジ」
「うん? 数学と英語だけどそれがどうした?」
「オレ、どっちも成績そんな悪くなかった――って、痛っ」
 走る速度をゆるめないまま、リュウジはむっとしたような口調になって……そしてオレの手首を掴んだ指に力を入れた。
「そもそもハヤトがな、試験のときに解答用紙につっぷして昼寝なんかするから悪いんじゃねえか。自分が解き終わったからって、あの体勢は正直無情だと思ったぜ、俺は。隣人への優しさってのに欠けるんだよな、ハヤトは」
「あのさ、そんな自信満々にオレに説教することなのか? それは」
「ああ、もう、黙って急ごうぜ、ハヤト!!!」
「……おす、了解」
 逆らっても仕方ないな。やれやれ。オレはリュウジに甘いよな、多分。

 夏休み補習の教室に到着したころにはオレの寝ぼけ眼もそれなりに開いてきていた。教室にいた、いつもの面子よりは少数の仲間たちにリュウジは挨拶して回る。
「オウ、玉城!!! おはよう」
「おっす、リュウジ。っていうか、あれ? ハヤトも補習だっけ?」
「いや……何ていうんだろ。まあ、見学?」
「わはははは!!! 玉城、こいつな、寝ぼけてるから悪いんだぜ!!!」
 とか何とか言いながら、低血圧自慢のオレのことをリュウジはあれこれ説明してるし。
 級友のひとりである玉城は、大層おもしろそうにリュウジとオレを見てた。


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コメント

華丸さんの小説…な、懐かしい…!(*´∀`*)

さすが成績優秀なハヤト。
5位以内に入るだけのことはありますね^^
でも、試験中に寝るって…どれだけ余裕なのかと(笑)

て言うか、リュウジもカンニングする気満々ですかww
隣人への優しさとか、そういう問題じゃな(ry

>鬼ムチコさま

どもども(*^ー^)ノ
懐かしがっていただけました?
鬼浜町は居心地いいですもんね:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

>でも、試験中に寝るって…どれだけ余裕なのかと(笑)
ハヤトは答案用紙を見直すよりは寝る子ですな。イメージ的に。
たぶん1マスずつずれて回答して気づかないタイプw

>て言うか、リュウジもカンニングする気満々ですかww
こちらは「ハヤトがいればどうにかなるんじゃねえかな」
なんて思ってるタイプかなあwww

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