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ジグソーパズルの1ピース 2-1



 一体どうしたんだろう、とリュウジの声のほうへオレは走った。
 気配からしてそんなことかな、とは思ったけれど、想像どおりの光景がオレの目に映る。
 校門前で腕組みをしたリュウジ、その対面にはコウヘイが仁王立ちで対峙している。
「ふん。貴様なぞには用はねえ。そこをどきやがれ」
「何だと!!! ふざけたこと言うんじゃねえぞ、コウヘイ!!! お前が鬼工に乗りこんで来ようってのに俺が『はいそうですか』と通すと思ってるのか!!!」
「――リュウジ?」
「ハヤト。ちょっと用事ができちまったようだ。悪いんだが代わり俺んちまで行って、ジャージ2着取ってこいや。たんすに入ってるから。わかるよな?」
 コウヘイに強い視線を投げたまま、リュウジはオレにそう言った。
「おい、貴様。本当に理解力がねえなあ。何がちょっと用事だ? 俺は貴様を構っているほど暇じゃねえと言っている」
「何だと!!! 理解力とか、人を馬鹿にするのはいい加減にしやがれっての!!!」
 リュウジは語気を荒げて言いつのる。対するコウヘイがまったく殺気を放っていないのは、本当にリュウジに用事じゃないってことか?

「ああ、なんか騒いでると思ったらコウちゃんか。リュウジ、どうかした?」
 そこへ玉城が姿を現した。
「玉城、いいから野球部は引っ込んでろや。これは俺と奴の問題だからな。下手な騒ぎで迷惑被りたくねぇだろ?」
「貴様こそ引っ込んでいろ、リュウジ。むしろこれは俺と玉城の問題だ」
 にやり、とコウヘイは笑った。白目がやけに禍々しい。
「おい、コウヘイ!!! 適当なこと抜かすなや!!!」
 と、いよいよ気色ばむリュウジであったが――
「ああ、あのことか。コウちゃん、来られそう? って、ああ、リュウジ。コウちゃんの言ってるのは本当だよ。僕に用事で来てるんで、心配しないでいいから。ほら、早く行ってきなよ。ジャージ取ってくるんだろ?」
「そうなのか? なら……いいんだけどな」
「うん。本当みたいだね、リュウジ。ほら、行こう。オレも一緒に行くから」
「オ――オウ」
 なんだか釈然としない視線を未だにコウヘイに向けているリュウジだったけど、それから玉城が何の疑いもなくコウヘイを引っ張って葉の生い茂る桜の木の下に移動していったのを潮に、ようやく目的を果たすための移動を開始したんだ。

 結局その後は何事もなかったように、オレたちは野球部の練習に飛び入り参加した。
 そう、本当に何事もなかったみたいで、野球部の変則紅白戦が始まったころにはリュウジもオレもさっきの一幕なんてすぐに忘れてしまっていた。
 リュウジは紅組の投手。オレは白組のレフトに入った。
 リュウジは自信満々の投げっぷりだったけど、どうやらくじ引きで捕手になった玉城のリードにさんざん逆らっていたみたい。ときどき『俺は真っ向勝負するぜ、一球外すなんてできるかっての!!!』なんて叫んでた。声に出したら、サインとか意味ないんじゃないか?
 対するオレは、守備はまあ、ときどき落球したりしたけど、打つほうはそれなりだったかも。バットに球が当たったときの音って、こんなにいいもんなんだな、なんて思った。

 結果は3-3の引き分けだったけど、当初の予定どおりの5回で試合終了となった。
 時間は12時をすこし回ったところで、昼休みに入ることになったらしい。
 飛び入りのオレたちも、野球部の面々と一緒に学食へ行くことにした。
 リュウジと玉城とオレでひとつのテーブルに陣取った。
「それにしてもな、ハヤトに打たれるとは思わなかったぜ、ちきしょう」
 カレー大盛りとやきそばパンとマカロニ入りのトマトスープといちご牛乳を、どれも旨そうに食べながらリュウジがぶつぶつ言ってる。
「あはは、偶然だって、リュウジ。そんなに落ち込まなくてもいいじゃん」
「別に落ち込んでなんかいねぇけどよ、なあ、玉城?」
「でもさ、僕のリードをもうちょっと理解してくれたらよかったかもね、リュウジはさ」
「そうか? そういうもんか?」
「うん。多分。試合終わったあとにさ、ウチのバッテリーもリュウジと僕を見て『思わぬところでいい勉強ができた』って言ってたしね」
「そうか。押してくだけじゃ駄目なのか。ほんのちょっと勉強になったぜ……」
 何か考えてるような面持ちで、リュウジはいちご牛乳のストローをすすってた。


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コメント

……コウヘイ一人でしたか(*´∀`*)
一騒動起こるのかと、ドキドキしちゃいましたよ^^;

て言うか、リュウジは食べすぎかと思われますww
でも、やっぱりイチゴ牛乳は欠かさないんですね^^

>鬼ムチコさま

どもども(*^ー^)ノ

>一騒動起こるのかと、ドキドキしちゃいましたよ^^;
ですよね~~~w
リュウジとコウヘイって、ひと騒動起こすために存在しあってる気がしますもんね。

>て言うか、リュウジは食べすぎかと思われますww
たくさん食べる子、カワイイじゃないですか(〃∇〃)
……若いうちはその熱量を放出しきれるに違いない。
うらやましいZE☆ いや、ほんとに・°・(ノД`)・°・

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