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ジグソーパズルの1ピース 5-1



 海で泳いだ翌日も、やっぱりオレはリュウジに朝から補習に付き合わされて、当たり前のように野球部の練習にも顔を出した。
 昼飯時にはダイゴも現れて、学食でリュウジと森園と3人で中学のときの同窓会を開催すべく相談をしていた。
 午後になると、昼時の昇龍軒のバイトを終えたノブオも集合して、野球部14人+オレたち4人でちょうどいい人数になった、ということでまた紅白戦にかり出されて。
 うん、今年の夏はなんだかんだと運動してるな、オレも。言葉の意味そのままに、もう一皮剥ける寸前だし。海で日焼けしたから、だけど。

 そして数日が過ぎ、リュウジの数学と英語の補習は終了した。
 月曜日からはオレも参加必須の体育の補習があるわけで、またやれやれ、なんだけれどもとにかく土日はきっちり夏休みだ。
 土曜日の今日は、店でバイトの身。
 本当は今週ずっとそうやって小遣い稼ぎをしようと思っていたのに、親父はすっかりオレも数学と英語の補習の該当者だと信じ切っていたので、『学業優先』とか言われてあっさりと断られた。親父はオレの通知票なんて興味ないからな。しょうがないか。
 日中は仕事のあれこれを手伝って、汗と油のにおいを髪とつなぎ服にしみ込ませてた。
 ここのところの健康的な運動生活のおかげか、たいして疲れもしなかった。
 
 店が閉まったあと、シャワーを浴びて夕飯を食べて、そうしたあとにオレは愛車をガレージから引っ張り出してエンジンをかける。
「おや、お出かけか。我が自慢の働き者の息子よ」
「あれ、珍しい。『息子』の前に褒め言葉がついてるじゃん」
「わっはっは。俺ははからずも感心しておるのだ。ハヤトが愚痴ひとつ言わずに長時間汗だくで仕事をしたことにな。健全な精神は健全な肉体に宿るというのは本当だな、と」
「ああ、確かに。ここんとこオレ、筋肉使ってるからね。なんだかんだ」
「よしよし。あとは己のマシンに愛をもって接することもこの仕事をする上では不可欠だからな。存分に走ってこい、ハヤト」
「うん。行ってくる」
 親父に見送られて夜の道へ乗り出した。
 ここ1週間というもの昼間はぜんぜん構ってやる余裕がなくて、夜にほんのちょっとだけ走るのが関の山だった愛車との時間を、今夜は好きなだけ楽しもうと思った。
 本当はリュウジたちを誘って連れ走りしてもよかったんだけど、今日はなんとなくひとりで走りたい気分だった。
 たまにはいいじゃん、愛車とふたりっきりで語りあうのも。なんて。

 大回りに町を回って、灯りの消えた学校を一周。そのまま続く道を走って、鬼浜町商店街を抜ける。昇龍軒はまだのれんが出ている。カブは出動中みたいだ。ノブオが出前に行ってるのかも。
 道は川沿いへとさらに続く。春には見事に咲いていた桜の木々は、昼間見たらみずみずしい枝葉を誇っているんだろうけど、こんな時間には漆黒のひさしとなってオレの頭上を覆ってる。風が吹いたらさわさわと葉擦れの音をたてるのは想像できるものの、今現在はオレが風そのものだからその音はわからなかった。
 川が海に注ぎ込む地点にある信号を曲がると、そこは海沿いの国道だ。
 潮風。昼間とはちょっと違う匂いがするような気がする夜の潮風。
 うん、やっぱりいいね、夏は――今年ほどそう思ったことはなかったかもしれない。
 そしてオレは国道をひたすら西に向けて走ってみた。
 今日も愛車のご機嫌は上々みたいだ。いい音してる。

 気がついたらとんでもなく遠くまで来ていた。愛車のご機嫌とオレの気分がぴったりと重なったから全然そんな感覚じゃなかったんだけど、青い看板を見たらすでに県境を越えていたようだ。
 昼間に来たらおみやげでも買って帰るか、なんていう距離をオレはひとりで――いや、愛車とふたりで走破していた。
 明日も店でバイトだし、と思ったところで道を引き返す気になった。
 いつもだったら往路とは違う道で帰っても楽しいところだけど、今日はこのまま海沿いを走って帰ることにした。なんだかそんな気分だったから。


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コメント

自己紹介にあるスカジャンに、ちょっとときめいた鬼ムチコですww
風神&雷神、そして16000円ですかww

みんなと走るのも良いけど、一人で走るのも…結構良いものですよね^^
冬はかなり厳しいけど、夏だと風が気持ちよく感じますもん(´∀`)

走っている時は、風と一体化してるというか。
自分自身も風になってる――そんなハヤトの気持ち、よく分かります^^
風と一体化してると、つい飛ばしすぎちゃう傾向があるので、パトカー出現には気をつけましょうww

>鬼ムチコさま

どもどもです( ´▽`)o

>自己紹介にあるスカジャンに、ちょっとときめいた
おおお、そこ見てくださいましたか!!! 感激です☆
画像はわたしの私物です。
紅蓮隊の演出で、ハヤトがお店で見ていたやつとそっくりのやつを発見しまして。
いてもたってもいられずに購入しましたw
ちなみに値札はリアル価格です。だはは。

>走っている時は、風と一体化してるというか。
やっぱり、そうなんでしょうね~。憧れるなあ、単車。
わたしスピードに対してかなりのビビリなので、原付も乗れません(〃∇〃)
想像すると、気持ちいいんだろうな、なんて。ほんと憧れます!!

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