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ジグソーパズルの1ピース 5-2



 鬼浜町に戻ってきたのは、そろそろ日付が変わるころだった。
 来たときをなぞるように、鬼川の交差点で国道を逸れて町の方角を目指すことにする。
 通りかかったときに、あれ――と思った。
 河川敷の、いつもオレたちが集会するポイントよりもすこし川上にあたる場所に大勢の気配がわだかまっているのを感じた。
 ああ、あそこは暗黒一家がよくたむろしている場所だ。
 単車の速度をぎりぎりまで落として、見るとはなしに土手の上から眺めると、やはり一団は暗黒一家の人影であるらしいことが察せられた。
 それにしても、なんだか気配が妙な感じだ。何がどう、とは言えないんだけど、10や20では利かない人数がいると思われるその地点は、しんと静まっているように思えた。
 もちろん排気量が小さくはないエンジンをかけたまままにしている単車はあるので、まったくの無音というわけではないけれど、それにしたって、いつもだったらそれなりに騒いでいるんじゃないかと思われるのに――少なくともオレたちならそうだから――、なぜだかやけに音が少ない。

 何だろう、とは思ったけれども、こちらは単騎だし。妙なことになって因縁つけられても困るので深入りするのはやめておくことにした。オレにだって分別はあるし。
 なるべく噴かさないようにしながら、オレは何事もなかったように通常のスピードに戻して今度こそ町へと戻ることにする。
 立ち去り際、オレの多少鍛えた動体視力が捉えたのは、駐めてある単車の前照灯に浮かび上がったコウヘイらしき人影だった。見間違いじゃなかったら、大勢に向けて頭を下げる姿勢をとっていたような……まさかね。まあ、見間違いなんだろうけど。

 翌日はこともなく過ぎていった。店でしっかりバイトして、親父に時給50円アップの交渉をしてみたりもして。
 夜にリュウジに呼ばれて、ちょっとだけふたりで走った。
 ひとりで走るのもいいけど、誰かと一緒なのもまた違った味わいがある。
 それじゃまた明日、とリュウジと別れたのはわりと早い時間だった。
 明日からまた学校か――夏休みなのに、オレって残念な人だな、なんて考えながら布団に入って、気がついたらもう朝だった。
「ハ~ヤ~ト~くん!!! おはよう!!!」
 ほら。ほんの一瞬でもう朝だよ……。なんでいつもこうなんだろうな、オレ。

 体育補習の初日の行程は、つつがなく終了した。
 種目は水泳。プールから上がって、シャワー程度では塩素の匂いのとれない髪を拭って――リュウジもオレも、髪の毛ちゃんとセットしてないと別人みたいだから笑える――、着替えを済ませて校庭へ出た。今日も陽射しが強い。
 そこへ息せき切って駆けてくる、野球部ユニフォームがひとりいた。
「ああ、いたいた。リュウジ。よかった、間に合って」
「オウ、玉城。どうした? そんな全力疾走して」
「いや、あんまり時間ないからね。練習抜け出して来てる身なんで」
 玉城の指が示す方向には野球部の面々がいつも通りの練習風景を繰り広げている。
「何だ。これからそっち行こうと思ってたんだぜ、俺は。なあ、ハヤト?」
「あ、悪い。オレ、今日は昼から店番頼まれてるから帰らないとまずい」
「そう。けど、リュウジだけでも来るんだったら焦ることなかったんだ、僕」
 うはは、と笑うファニーフェイスの玉城であった。

 それじゃ戻ろうか、という足並みのオレたちである。オレはそのまま帰るけれど、校門まで一緒に、と。玉城は歩きながらリュウジに用件を話しはじめた。
「いや、それがさ。僕らの同窓会の話あっただろ? それが昨日でね」
「ああ、そうだったのか。盛り上がったのか?」
「うん。それなりに。でね、そこで仕入れた情報があって」
 そこで玉城は歩みを止めた。おや、と思ったリュウジとオレも足を止めて、一歩遅れた玉城を見る。
「コウちゃん、やっぱり成績優秀らしいよ、暗黒水産で」
「ほう。そうか。まあ俺らにゃそんなに関係ねぇけどな、ハヤト?」
「うん。まあ、そうだね。そういう意味で勝負してるわけじゃないし」
「直接はね。でもさ、この話はちょっと関係あるかも、って思って、リュウジたちに報せる気になった。コウちゃん、学校に成績を認められて海外留学に推薦されてるって」


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