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ジグソーパズルの1ピース 8-2



 倒されたとはいえ、コウヘイにも自尊心があったのだと思う。
 昏倒とまではいかずに、リュウジがそこで足許から視線を外してしまう前にコウヘイは上体を起こすを得る。
 普通ならゴンタあたりが出てきて助け起こしてやるような場面だったが、自力だった。
 敵ながら天晴れの執念を見た。

「……俺は未だ一番にはなれていねえのか。まだ成し遂げてはいねえのか――」
 掠れた声で呟くような、それは珍しいコウヘイの独白であったのだと思う。
 リュウジは腕を組み、見下ろして言う。
「何だ、コウヘイ? 何か言ったか?」
「ふん……貴様には関係ねえ」
 血の滲んだ口の端を、握った拳でぐいと拭いながらコウヘイは言った。
「ちゃんと挨拶する気になったか? 俺が勝ったからにはきちんと筋は通してもらうぜ。俺に断りもなく俺らとの因縁を一生投げ出すつもりだったんだからな、お前は!!!」
 リュウジは声を張ったが、コウヘイはそれには従わなかった。

 そしてゆっくりと立ち上がって、こちらには背を向けて仲間へと叫んだ。
「お前等、退くぞ」
 居並ぶ暗黒一家の構成員どもはコウヘイの宣言を承けて少々ざわめいた。
 とは言え、コウヘイに異を唱える口はひとつたりとも無かった。
 やはりコウヘイには強大な力があるんだろうな――なんて、今さらながらにオレは思う。
 立ち上がって仲間を一瞥したあとのコウヘイは、誰にともなく吐き捨てるように呟いた。
「今現在の立場でいる限り、俺はそう決めざるを得ぬということか――ふん、忌々しい」
 コウヘイの声はやはり掠れていて、近くにいても聞き取りにくかった。

 結局コウヘイはリュウジに挨拶することなく退いていった。
 付き従う大勢の構成員たちも終始声を荒立てずにゆるゆると土手を目指してゆく。
 なぜだかその中の幾人かがリュウジに向かって頭を下げてから立ち去っていた。

 すでに場にはオレたち4人だけが残されていた。
 闘いのあとの土埃を落としたいというリュウジが水際へ移動する。
 辺りの暗闇では不便かと思って、オレは土手の下に駐めてあった単車を移動してきて、前照灯を点してやった。
 リュウジは川の水で手を洗う。顔も洗いたそうだったが逡巡の末に取りやめたようだ。
「はい兄貴。これ使ってください。手拭いっス」
「悪いな、ノブオ」
 ノブオに頷きかけて手拭いを受け取って、川の水に濡れた肘から先をぬぐって――そうした後にようやくリュウジは胸の内を吐き出す気になったらしい。
「ってか、結局挨拶もなしか。コウヘイの奴、本当に餓鬼以下だぜ」
「確かにね。でも、言いにくかったんじゃない? 最大の強敵に対しては特に。別にコウヘイの肩を持つわけじゃないけど」
「押忍。そうかも知れん。しかも先程の様子を見るに、己の後継も決まっていなさそうだったゆえ。尚更かもな」
「そんなもんか?」

 川の流れはこんな夜でもいつもと同じに滔滔と。暗がりの中、見えはぜずとも水のゆく気配がする。
「……何だか知らねえけど、やっぱり納得いかねえな、俺は」
 喧嘩勝負に勝ったあとなのに、リュウジはすっきりしない声を出す。
「けど、俺も不意打ちのようなことしちまったしな。それにはコウヘイも納得してねえはずだよな? 奴、俺とやる前にも何人かと闘ってたようだったし。疲れてたところに乗りこんじまったようで後味悪いぜ」
 こんなときでもそう評せる漢なのだ。とてもリュウジらしいとオレたちは思っている。

 しばらく4人して、川からの風に吹かれていた。リュウジがどうしても納得できない様子で立ち去り難いらしくて、それを急かすつもりは誰にもなかったから。
 ふと、土手のほうから降りてくる単車の前照灯が見えた。単騎ではないようだ。
 ぼんやりと眺めているとそれらは真っ直ぐにオレたちのほうを目指して近づいてくる。


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コメント

リュウジとコウヘイの因縁――
二人が総隊長と総帥である限り、一生続きそうですね^^;
いや、その肩書きに限らずかもしれませんが。

この二人は、あははうふふ的に仲良くしている姿は似合いません(笑)

>鬼ムチコさま

どもです( ´▽`)o

>リュウジとコウヘイの因縁
そうそう。この「因縁」ってのが奴らの根底にありますよね。
っていうか、我々鬼浜応援団と奴らの間にも「因縁」が、
という……。
何にせよ、結びつきみたいなのって大事ですよね~。

>この二人は、あははうふふ的に仲良くしている姿は似合いません
言えてます!!!
仮に多少認め合ったところが無きにしも――っていう場面が
きたところで、「だから何だっての!!!」みたいな、ねw

あ~、なんか若いっていいなあ(〃∇〃)←狂ってる


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