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ジグソーパズルの1ピース 9-2



 ハンゾウにどう返したらいいのか、というような逡巡をリュウジはしていた。
 考えた末に口を開いて、目の前の3人へこう言った。
「おい、お前ら。悪いんだが、今日はここらで解散にしてもらえるか?」
「カイ――サン?」
「オウ、そうだぜ、ゴンタ。俺とハヤトな、明日は補習で、海で遠泳なんだよな。もう日付変わってるし、そろそろハヤトを解放してやらねえと明日海で遭難しちまうからな!!!」
 こんなとこで引き合いに出されるオレのちょっと情けないところが、多分リュウジの役に立っているんだろう。そう思ったら、それはそれで誇らしいことなんだ。きっと。
 
 ふっと頬を緩めてリュウジに、そしてオレにも視線を寄越してハンゾウは仲間を促す。
 そうしながらもハンゾウはこちらに向けてこう話した。
「総隊長。そのうち総帥からも説明させるのでとにかく今日のところは免じて欲しい」
「いや、 別にもういいぜ。奴にうだうだ説明されたって面白いとも思わねえし」
 一度言ったことを違える漢ではない――だからリュウジは納得したんだろう。
「ってか、ハンゾウ。お前、案外礼儀がわかってるんだな。敵ながら見直したぜ、俺は」
 それへはハンゾウは何も答えなかった。
「お前が後を引き受けるって言ったら、コウヘイも安心できたんじゃねえのか?」
「まさか。俺がその器だとは思えない。喧嘩で総帥に渡り合えるわけもない、ただの単車馬鹿だから。そっちと一緒だろう」
 そしてハンゾウは、一直線にオレを指さしてこう続けた。
「それに総隊長がそういう立場になったら、ハヤトを後継に指名するとも思えない」
「確かに。よくわかってるじゃん、ハンゾウ」
 またしても引き合いに出されたオレは、今度はつい、そう口に出して言っていた。
 大きく笑う声はなかったけど、否定する声もなく。でもちょっとは和んだかのな。

 ハンゾウ、ゴンタ、タカシのマシンはほどなく視界から消え去った。
 そしてオレたちにも、リュウジからの引き揚げの号令がかかった。
 オレは川岸まで転がしてきていた単車を牽きながら、4人で河川敷を歩く。
 気持ちの上で折り合いをつけたらしいリュウジは、ようやくすっきりした様子だ。
「妙なとこで時間喰っちまったな、ハヤト。お前、本当に明日大丈夫か?」
「うん。多分ね。起こしてもらえれば……きっと」
「もし明日辛いんだったら、いっそダイゴに代返頼んどくか?」
「押忍。俺でよければ何なりと」
「え、ダイゴに? それってちょっとキツくない? 普通にバレるような気がするけど」
「わははははは!!! ほんの冗談だぜ。真に受けるなや、ハヤト!!!」
「なんだ、冗談か。ちょっとは名案かとも思ったんだけどな」
「うはは、ハヤトさん。もう半分寝てるんじゃないっスか?」
「そうかもね。よい子は寝る時間ですからね、っと」
 なんていう軽口が戻ってきているオレたちであった。

「それにしたって、うまいこと赤ジャージにはめられたよな」
「え? どうかしたんっスか? ハヤトさん」
「いや、だってさ。こないだ『遠泳参加で補習2日分』とか言ってたよな、赤ジャージ。それなのに、遠泳の明日は補習の最終日だって話。カウントは普通に1日じゃん」
「わはは、細かいこと言うんじゃねえってば、ハヤトは!!!」
「……そうかな。細かいかな、オレ。いまひとつ納得できないんだよね」
「大きなことも小さなことも、何事も納得できるか否かはそれぞれ個人の裁量だからな」
 ダイゴにそう説かれるとなんだか自分の視野が狭いようでちょっと恥ずかしくなる。
 リュウジはどんな表情をしているんだろう。オレより前を歩いてるからわからないけど。

「まあ、代返は無理であろうが応援くらいはできると思うので。浮き袋を持って近くに控えておけばハヤトも安心か?」
「ああっ、ダイゴさん行くんっスか!! そしたらオレも行っていいっスかね、兄貴? オレはできたら兄貴と一緒に泳ぎたいっス~」
「オウ、ふたりとも歓迎するぜ!!! なあ、ハヤト?」
「そうだね。まあ、みんなで楽しめたら補習も悪くないんじゃない?」
「ハヤトにしては前向きなこと言うな!!! 上等だぜ」
 なんて言いながら、リュウジはオレの首に腕を回してくる。
「うわ、ちょ……オレ、単車牽引中で重いんですけど――」
「わはは。鍛え方が足りねえんだっての、ハヤトは!!!」
 
 奴らがいて、オレたちが在る。
 だから今現在、ここにオレがいる。仲間がオレのとなりにいる。
 そんな愛すべき日々を手放す勇気なんてオレにはないから――最大限に大事にしよう、そう思った。
 偶然というか奇跡というか。仲間と出会えたそんな縁。
 首の回りがちょっと暑苦しいけど、まあそれはそれでよしとしよう。


   * 完 *



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コメント

一時はどうなるかと思ったけど、どうやら解決したようで。
いやあ、良かった良かったww(*´∀`*)

やっぱり鬼浜町には、鬼爆と暗黒一家――
もとい、リュウジとコウヘイがいないと活気がなくなりそうですよね^^;
どちらかが欠けでもしたら、物足りないと言うか(´∀`;)

>鬼ムチコさま

どもです(*^ー^)ノ

あれこれあっても結局どうにかなったみたいですw
収まるところに収まった、っていう……?

>やっぱり鬼浜町には、鬼爆と暗黒一家――
>もとい、リュウジとコウヘイがいないと活気がなくなりそうですよね^^;
ですね(´∀`)
平和なのもいいんでしょうけどね。奴らの若い血潮がそれで
満足するのかどうか――だはは。
あたい、おっさんなんでわかんないですけども(〃∇〃)

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