目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

地元から20km 1-1



 校舎の向こうに沈む夕陽。木立に響くひぐらしの声。おそらく本日最後のチャイムの音。
 とはいえオレが見聞きしているものたちは、慣れ親しんだ光景とはちょっと違う。
「ノブオ。お前、調理室ってわかるか? あっちの校舎の2階なんだが」
「あ、は~い、兄貴。多分大丈夫っス!!」
「よっしゃ。じゃそこ行って、おたま2つ借りて来てくれ。誰かしらいると思うから」
「了解でっス!!」
「リュウジ。火加減はこの程度でよいか?」
「そうだな――もうちょっと強くていいぜ、ダイゴ」
 リュウジの目の前のコンロにかかっているのは巨大な鍋だった。どうみても業務用。
 と、校門からこちらに向かってくる人影。ダンボール箱を抱えてる。近づいてみると鬼浜町商店街で挨拶したことのある顔だった。
「お、八百屋のおっちゃん!!! わざわざ配達してもらって悪いな。助かったぜ」
「いやいや、何てことないさ、リュウジ。これがおっちゃんの仕事だからな」
「ハヤト、受け取ってくれ。その中の大根3本洗って来い。あっちに水道があるからな」
「うん、了解。行ってくる」
 リュウジはいきいきとしていた。もちろんダイゴも、それからさっき買い出しに行った森園主将も。

 慣れ親しんだ鬼工とは違う、夕方の学校の校庭の隅。
 これから行われるのは、リュウジたちの同窓会だ。で、ここは彼らの出身校・鬼浜中学。
「どうせなら学校で同窓会しようぜ」と思いついたのはリュウジらしい。
「許可が下りたら一泊してみるのもよいかも」と提案したのはダイゴだという話。
 で、なぜオレやノブオが一緒にいるのかと言ったら、それは森園主将の案なんだそうだ。
「友達の友達だって友達になれると思わないか、リュウジ、ダイゴ。それに、食事は大人数のほうが楽しいだろう? 泊まりを考えるなら野球部の校内合宿で慣れている連中がレンタル布団の手配その他に役立てるはずだし」――森園主将のプランが成ったようだ。
 おそらくリュウジは、「ハヤトは役に立ちそうにないけど呼んでもいいか」ぐらいのことは言ったんじゃないかと思うけど、ともかく野球部とオレたちが準備係に任命された。

 さて、水道まで行って大根を洗って戻ってきたところ。
「助かったぜハヤト。そしたらそれ切って……いや、ハヤトは無理か。ダイゴできるか?」
「押忍。やってみよう。ハヤトはお客ゆえな」
「え。オレ、手伝い要員だろ? 切れるけどな、大根くらい」
「――お前、いちょう切りとかにしそうだからやめとけ」
 いちょう切りってのが何のことだかぴんと来なかったので、オレは冗談交じりに顔をゆがめて大根をダイゴに渡した。
 リュウジがだしをとっている巨大な鍋に入る予定のものは、どうやらちくわやはんぺん、さつま揚げ、ゆで卵その他いろいろのようだ。台の上にそれらが並び始めた。
「ああ、おでん作るんだ」
「まあな。夏のおでんの素晴らしさを広めようと思って――って、ダイゴ!!! それがいちょう切りだっての!!! おでんの大根はそんな大きさじゃねえだろうに……しかしノブオ、遅いな。迷ったか? ダイゴ、ここはいいから見てこねえか?」
 リュウジはえらくテンションが高いみたいだ。
 同窓生たちに連絡が行っている集合時間まで、確かあと1時間。そのとき再会する久し振りの顔をいくつか想像して盛り上がっているのかもしれない。

 予定の時間が近づいてくると、ちらほらと参加者たちが集まってきたようだ。
 どの顔も鍋を見守るリュウジや、すこし離れたところで炭をおこしているダイゴに久し振り、と挨拶をして回っている。
 そうしているうちに森園主将と野球部たちが買い出しから戻ってきた。
「やあ、みんな。だいぶお集まりのようだな」
 右手を挙げて言う森園主将は視線を浴びていた――主に女の子たちからの。そういえばリュウジに声かけてたのって、男が多かったよな……気づかなかったことにしておこう。
 ほれ、味見、とごぼう巻がのった小皿をオレに寄越してくれながらリュウジが言った――おでんは上出来。海の家のとも、うちのお袋のとも微妙に違ういい味だ。
「どうだ、みんな揃ったか?」
 出席者名簿を見ながらダイゴが答える。
「そうだな、大方。いや、まだか。秋山が来ていないようだ」
「アキか。あいつ相変わらず遅刻癖が治んねえのか。仕方ねぇな」
 言いつつ、リュウジはオレを見た。遅刻癖でオレを連想したんだな……仕方ないね。



<< 地元から20km 1-2 | ホーム | ジグソーパズルの1ピース 9-2 >>


コメント

同窓会かぁ(´∀`)
学校生活を共にした仲間と、再会するのって良いですよね^^
そう言う時に食べる、定番のやつはバーベキューと思いますが(笑)

って、ダイゴの方が大根をいちょう切りに…!Σ(゜д゜;)
もしかして、ダイゴも見かけによらず(ry

>鬼ムチコさま

どもですぅ( ´▽`)o

自分、同窓会とか、なんか知らないけどぜんぜん縁遠いんですよね。
あったら楽しいんだろうなあ、なんて思ってたりしてw

>そう言う時に食べる、定番のやつはバーベキューと思いますが(笑)
いえっす!!! それは鬼工野球部が仕切るみたいです。
彼ら便利に使われてますw

>もしかして、ダイゴも見かけによらず(ry
だはははははwwwww
なんかもう、ダイゴって。案外アレっていうか――
ハヤトと似たようなボケをしても、やっぱりキャラの違いってのはありそうな感じですよね。
そのへんを引き出してやりたい親心。なんちてw

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。