目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

地元から20km 3-1



 朝起きると、広い教室にオレとオレの布団だけが取り残されていた。
「おい、ハヤト。いい加減起きろや!!! みんな布団たたんでるじゃねえか。まったく、お前ときたら。ほら、早く顔洗って来いっての」
「……だって、リュウジが夜中に叫んだから、オレ起こされちゃってさ……」
「押忍、確かに。だがハヤトはほんの一瞬後には寝息を立てていたぞ?」
「……ダイゴ、ごめん。あと5分……」
 わかってる。いくら朝寝ぼけてたってこれが無駄な抵抗なことくらいは。オレにも。
 ともかくも布団をはがれて、リュウジにタオルを投げて寄越されて水道まで行った。
 歩きながら、ゆうべタクミとした約束を脳内で反芻できたことにほっとしていた。

 歯磨きしていると、鬼工野球部がユニフォーム姿で通りかかった。
「ハヤト、おはよう。もしかして今お目覚め?」
「ああ、玉城。なに? 今朝も練習だったの?」
 ……と言ったつもりだったけれども、口の中が泡だらけだったので玉城にはどう聞こえたんだか定かじゃない。
 一瞬意味を考えたあとに、ひとつ頷いて答えが返ってくる。
「そうそう。今日は鬼浜中の野球部と合同の朝練だったんだよね。ウチらと鬼浜中メンバーの混成チームで紅白戦やって遊んでもらってたとこ」
「それは朝からおつかれさま」
 また一瞬考えたあとの玉城が、いやいや全然、と言いながら去っていった。
 後に従う1年生くんたちは、寝ぼけ眼のオレにきっちりお辞儀してゆく。恥ずかしいな。

 女の子チームが用意してくれた朝食をいただいて、それから使った教室その他を掃除して、それでひとまず鬼浜中学の同窓会は閉会となったんだ。
「楽しんでもらえたようで、企画した身としては光栄だ。みんなの参加に感謝する」
 こちらこそ、なんて声のかかる森園主将の挨拶だった。それへリュウジもこう添えた。
「森園、幹事ごくろうだったな!!! またやろうぜ、こういうの」
「あ、あたしもリュウジに賛成っ。たまにはいいこと言うじゃん。ね、アッキー?」
 にぱっと笑ってリュウジに加勢したのは、ゆうべリュウジと秋山くんが視線を向けていたツインテールの女の子だった。
「な――なんだよ、たまには、ってのはよぅ……」
 リュウジが公衆の面前で語尾を濁すのなんて、オレ、聞いたことないかも。

 校門を出て解散になった。総勢50数名の参加者たちはそれぞれに散らばってゆく。
 偶然再会した悪友・タクミとはここでさよならすることになった。地元から単車で来ていて、それを秋山くんの家に預けているんだそうだ。
「んじゃハヤト、近いうちに連絡するし」
「うん、了解。今度こっちに来るときは、うちにも寄って。親父も大歓迎だから」
「うわ、懐かしいわ。ハヤトの親父さん、町内名物だったっけな」
 何を思いだしているんだか、タクミはぶふっ、と吹き出してる。……恥ずかしいな。
 それじゃまた、とごく自然に手を振って。オレたちの通っていた中学とは違うけれど、タクミと校門の前でそうするっていうことが懐かしい感じだった。
 きっと鬼浜中学の同窓生たちも似たような気分だったんじゃないかな。見ればみんなそんな顔をしてる。
 
 鬼工野球部の連中は朝練習からユニフォーム姿のままで、思った通りにランニングで去っていった。これから学校に戻って練習の続きをやるんだろう。
 それに対してオレたち4人は、至ってのんびりと歩いていた。たぶん散っていった参加者たちの最後尾がオレたちだったと思う。ただ単にのんびりの道行きだったわけではなくて、リュウジが店から持ち出した業務用の大鍋なんかを運んでいたせいもあって。
 それを店――鬼浜町商店街の昇龍軒に戻すのがひとまずのオレたちの作業だった。
 鬼浜中学から南に10分歩いたところが駅。ちなみに鬼工はその道の途中にある。
 さらに駅のすぐ先にあるのが商店街、という位置関係。
 
 歩きながら、リュウジが言った。表情にはひと仕事終えたあとの充実感がにじんでる。
「ダイゴ、おつかれだったな。仕切るのって大変だよな、あんだけ人数多いと」
「いや、俺は何もしておらんので。職員室に挨拶に行った程度か?」
「わはは!!! それが一番の大仕事だったじゃねえか!!! 少なくとも俺はごめんだぜ」
「なるほどね。リュウジは職員室と相性よくなさそうだもんな」
「まあな。それはそうとハヤトもノブオも、手伝ってくれてありがとうな」
「とんでもない!! 兄貴。オレ、楽しかったっス。誘ってもらって最高でした~」
「そうか、ノブオ。それなら俺も最高だぜ!!! ってか、本当に助かった」
 言いながらリュウジがノブオの頭をがりがりと撫でてやってる。ノブオ、嬉しそうだな。
「うん。オレも楽しかった。っていうか、オレはオレで同窓会させてもらっちゃったし」
「そうだったな、ハヤト。偶然ってのはおもしろいよな!!! それ考えても、いい企画だったんじゃねえの? なあ、ダイゴ」
「押忍。森園もそこまで予想していたとは思わんが、結果的にはな」
「とにかく、2度目もできるといいよな、ダイゴ!!!」
 と、リュウジが言ったところで駅が見えてきた。



<< 地元から20km 3-2 | ホーム | 地元から20km 2-2 >>


コメント

やっぱりハヤトはお寝坊さん…(´Д`;)
広い教室に、一組だけの布団が取り残されてるのって。
自分だったらかなり、恥ずかしいと思います!ww

同窓会が終わった後って、名残惜しい気持ちが後を引くんですよね~^^;
もう終わりだけど、もうちょっとだけって感じで。
私も最近ご無沙汰なので、そういうイベント事に参加したいですわ(´Д`;)

>鬼ムチコさま

ども~( ´▽`)o

>広い教室に、一組だけの布団が取り残されてるのって。
……実は、わたくし本人が似たような残念な人だったりしてwww
最後の最後まで寝てるのって、かなり優越感ありますよ!!!
ってか、この歳になってもいたるところで寝顔の写真撮られてます。泊まりのオフ会とかでorz

>同窓会が終わった後って、名残惜しい気持ちが後を引くんですよね
やっぱりそうなんでしょうね~。
「絶対またやろう」ってなるんだろうな。

わたしの場合、中学時代の同窓会、いま開催されたら多分誰が誰だかわかんないです。
男子なんか、みんなおっさんになってるんだろな~w

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。