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地元から20km 3-3



 結局オレたちは荷物をその場に置いて、逃げまどうゴンタ捕縛に加勢した。
 標的まではかなり距離があったけれどもゴンタはそれほど走るのが速いわけではないようだ。それでもなかなか捕まえられないのは、ゴンタが追っ手を無差別に振り払うから。
 俊足のハンゾウとリュウジがゴンタに追いついたのは、期せずして昇龍軒の前だった。
 リュウジはさらにゴンタの前に回り、大きく両手を広げて制した。ゴンタは一瞬怯む。
「おい、ゴンタ!!! お前、止まれっての!!! これより先で騒ぎ起こしたらただじゃ済まさねえぞ? 鬼浜町商店街は楽しく平和にお買い物、が売り文句だからな!!!」
 足を止めたもののまだうなり声を上げているゴンタの両腕は、背後でハンゾウとタカシにねじり上げられていた。
 目前のリュウジに気を取られているゴンタの隙を突いたのはダイゴだった。
 ダイゴは拳を握り、ゴンタの体の斜め後ろに立って脇腹を狙ったんだ。
「ウオォォォォ……ッ――――」
 巨体をふたつに折って、ゴンタは呻いて――そして倒れておとなしくなった。
 その様子を見て、リュウジが言った。
「ノブオ。中入ってやかんに水汲んで来い。ハンゾウ、それ受け取ったらゴンタの頭にでもかけてやれや。ちっとは冷静になるだろうからな」
「ああ。恩に着る、総隊長」
「いや、その必要はねえ。俺はただ、ちょっとした事故から俺の地元を守っただけだぜ」
 鬼浜町商店街の入り口にある昇龍軒は、商店街の門番として機能しているんだな。

 騒動が収束して、暗黒一家の連中はゴンタの体を半ば引きずって駅の方に戻っていった。
 すこし落ち着いたらしいゴンタは、今度はすすり泣いていた。なんか切なそうに見えた。
 日頃のあれこれは抜きにして、ハンゾウやタカシは本気でオレたちに礼を言ってた。
 暴れるゴンタってのは仲間にとっても手に負えないんだな、なんて他人事ながらに同情してみたりして。

 そしてオレたちも一旦駅へ戻って、あらためて荷物を持って昇龍軒へと戻ってきたんだ。
 昼の開店前の昇龍軒のテーブルで、瓶入りコーラを振る舞ってもらってる。
「しかし、何だ。コウヘイの奴、海外旅行とは豪勢なもんだな」
 なんてリュウジが、気の抜けたような口調で言ってる。
「ああ、家が裕福だって玉城が言ってたね」
「まあな。それはいいとして、こうなるとしばらく暗黒一家も大人しくしてるよな?」
「そうかも知れんな。下手にゴンタを刺激するのはハンゾウらにも得策ではなかろうし」
「そうっスね。オレもそう……ああ、電話っス」
 言ってノブオは席を立った。さすがアルバイト店員の身のこなしだな。
「ともあれ、当面俺たちが平和ならそれに越したことはねえよな。俺らだってそうそう暇じゃねえし。何つったって、イベントが控えてるしな!!!」
 と、リュウジはオレを見て言った。
「ん? イベント? なんかあったっけ?」
「あ、いや、間違えたぜハヤト。今のは聞かなかったことにしろな。わはははは!!!」
「なんだよ、気になるじゃん。な、ダイゴ?」
 なんて、ごまかし下手のリュウジがオレたちに尋問されるのをノブオの声が遮った。
「兄貴ぃ、電話っス。実行委員長さんからっスよ~」
 呼ばれたリュウジはっとなって、そして慌てたようにノブオに返す。
「ああっ、馬鹿、ノブオ!!! 大きな声で実行委員長とか言うんじゃねえっての!!! それはまだ内緒だって言ったじゃねえか」

 なんだか知らないけど、ダイゴやオレにはまだ内緒の、実行委員長さんがいるようなイベントがあるみたいだ。
 放っておけばごまかせるだろうに、リュウジの反応からそれは簡単に見てとれる。
 なんだろうね、とダイゴと目を見合わせて、それからふたりしてくすりと笑った。

 何はともあれ、ここは鬼浜町。もしかしてこの先、昔のそこよりもオレにとっての『地元』と感じるようになるかもしれない町。
 仲間がいて、敵がいて。ときに平和でときに物騒で――いろいろあるけどオレには至極居心地のいいこの町を、ここから20kmの距離にいる仲間たちにも見せてやりたい、なんて思う。
 こういう気分こそが、タクミが感じ取った昔のオレと違うところなのかもしれない。
 タクミに連絡をとって、近いうちに昔の地元に遊びに行こう。
 オレの新しい地元の仲間たちも、声をかけたら付き合ってくれるかな。

 
   * 完 *



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コメント

すすり泣くゴンタ…!
巨体に似合わずとも、何だかすっごく切ない…!(つД`)
やっぱりゴンタはコウヘイがいないとダメなんでしょうねぇ(´∀`)
と、妄想してみるww


>前コメのレス
えーっと…致命的ミスではなくてですね――何て言うか。
私も、どこかうろ覚えなんですよね^^;
初代の設定では、亡き母の葬式にも出ない父親に反発してコウヘイはグレたとか何とか。

ま、まあ、細かい所は気にしなくて良いじゃないですかっ!(´∀`;)アセアセ
華丸さんの鬼浜の世界観を崩したくありません!(`・ω・´)シャキーン!!

>鬼ムチコさま

どもです~(*^ー^)ノ

>やっぱりゴンタはコウヘイがいないとダメなんでしょうねぇ(´∀`)
>と、妄想してみるww
わかりますわかります!!!
ゴンタに関して妄想できる部分があるとは、実は自分も最近まで思ってもいませんでした。
なんかかわいくて。だはは。
暇があったら暗黒視点で何か書けたらいいなあ、とも思うんですけどね。
なかなかできそうもないf(^ー^;

>初代の設定では、亡き母の葬式にも出ない父親に反発してコウヘイはグレたとか何とか。
そういう事情があったんですか!!!
うわ~、知らなかったぁぁぁ。
でもなんか納得できました。コウヘイあれで繊細そうだな、って思ってたから。

とにかくお知らせ感謝でございますo(_ _*)o
お恥ずかしいですが、当該記述をちょこっと改稿しちゃいました(〃∇〃)
今後とも齟齬があったらビッとご指摘くださいませ!!

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