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商店街で君と握手!! 2-2



「それで? ストーリーとか考えるんだろ?」
 亜由姉さんが出て行ってすぐに、オレはリュウジに向き直って切り出している。
「うわ、すげえな。ハヤト、やる気じゃねえか?」
「当然。オレ、けっこうノってきたよ、リュウジ」
 なんだかわくわくする。テーブルの上に広げられた亜由姉さんの描いたヒーローが、オレにやる気をくれているみたいだ。
「とりあえず、大筋くらいはあるんだよね? 現状で。ストーリーの」
「オ……オウ。まあ、簡単なやつはな。ってかハヤト、有り得ねえ勢いだな」
 リュウジがたじろいでいるもんだから、オレはちょっとだけ身を引いて笑って見せる。
「あはは、ごめんごめん。ちょっと勢いありすぎた?」
「まあな。ってか、まだ全然考え中だからよ。ノブオと雑談した程度だしな。だもんで細かいことは決まってねえんだよな」
 
 それでもいいなら、という但し書きつきで、リュウジはこんなプランを話してくれた。
 最初に舞台に立つのは変身前のリュウジ。
 そこで、客席の子供らと対話方式で場を温める。
 しばらくして、客席アナウンスで敵からの挑戦状が読み上げられる。
 その後、客席に紛れ込んでいた敵の怪人が観客の子供を連れ去ろうとする。
 敵の怪人は、誰かひとりの子供を連れて舞台に上がる。
 リュウジがバトルスーツに変身して、敵に挑む。
 舞台上ではリュウジが怪人と相見え、そしてもうひとり、客席に仕込んでいる怪人の仲間が名乗りを挙げるのを、周りの子供らに退治するようにリュウジが指示する。
 闘いの末、怪人は泣きながら舞台袖へ退却――というのが筋なんだそうだ。

「ってわけで、怪人役は、ほら、魚屋のトシ兄に頼んでるんだけどな」
「ああ。俊也さんだっけ? 大学生の。そうか、夏だから帰省してるんだ」
「そうだ。あと怪人の仲間の頭数合わせに幾人か頼まねぇとな、ってとこか」
 リュウジのプランを聞きながら、オレは子供のころにどこかのデパートの屋上で見たヒーローショーの成り行きと思いを重ねる。 
「で、どうだ、ハヤト? 俺とノブオの考えた話ってのは」
「うん。悪くはないと思うよ。見てる子供たちも参加してる感じになるよね、それなら」
 オレがそう言ったのを承けて、リュウジはほころんだ表情を見せた。
「だろう? 俺ら、けっこう真剣に悩んだからな!!!」
「けど。オレだったら、ヒーローをひとりにはしないな、って思う」
「うん……? なんだって?」
 
 疑問符を投げて寄越すリュウジへ、オレは素直に、思うままを言ってみることにした。
「オレが好きだった『戦隊モノ』っていうのを前提にするとね。まず、客席を温めるのは必ずしもリーダーの役目じゃない。それは、そういう別のキャラクターを持った人物が任されるほうが普通だ。闘うときもそう。戦闘中の戦士は、目の前の敵と真剣に対面してほしいね。むしろ客席の状況に目を向けるのも別の、仲間の戦士のほうが自然じゃない?」
「ってハヤト。ずいぶん具体的だな」
「そりゃそうだよ。だって、そういう話をしたかったんだろ? リュウジは」
「まあな。言われてみればそうだけどな」
 リュウジが奇妙な顔でオレを見る。そうだよね。いつもとペースが違うことくらい、オレにだってわかってるからしかたない。

 けどオレは、ここだけは譲れないという思いでこう提案した。
「リュウジ。オレが好きなヒーローは、『隊』の一員なんだ。孤高のヒーローもかっこいいとは思うけど、それでもオレは、お互いに力を補い合うようなチームとしての『戦隊』にあこがれてたんだよ、子供のころ」
 ああ――そうだったんだ。言葉にしてみてようやく幼い頃のオレが理解できた。
 そう考えてみると、今現在のオレが置かれている立場っていうのは、その当時のオレが思い描いていた何かに近いのかもしれない。




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