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商店街で君と握手!! 3-1



「なるほどな。ハヤトの意見はもっともだぜ」
 正面に座ったリュウジは腕組みをして、真剣な面持ちで頷いている。
「ってか、こんなに熱のこもった話ができるとも思ってなかったけどな」
「ああ――うん。オレも自分で思ってたよりも熱くなってたみたいだ」
「それにしても珍しいよな。ハヤトがそこまで主張するってのが」
 あはは、なんて。言いたいことを言ったあとのオレは、ちょっとだけ冷静になってた。
 
 何か考える顔をしながら、リュウジは最初に出してくれたコーラの空き瓶を厨房に下げて、かわりにコーヒーを持ってきてくれた。
 どうも、と受け取りながらリュウジが言うのを聞く。
「ってことは、俺ら4人で舞台に立つのがいいって思うんだよな? ハヤトは」
「オレら? 4人?」
「オレとハヤトとダイゴにノブオで、ちょうど戦隊っぽい人数だってことなんだろ?」
 たしかに手っ取り早く考えるとそうなんだろうとは思う。けど。
「いや、それは違う。これは商店街の催しだろ? だったらヒーローは商店街の人じゃないとダメだ。リュウジとノブオはOKだけど、ダイゴとオレには務まらない」
「ほう……なるほどな。それは一理あるかもな。考えてるじゃねえか、ハヤト」

 コーヒーカップを手に、当たり前、って意志を視線に混ぜてリュウジに頷いて続ける。
「差し当たって、魚屋の俊也さんは怪人役じゃなくてヒーロー役に転向してもらおう」
「そうか。トシ兄も商店街の一員だもんな。でもな、そしたら怪人役はどうするよ?」
 リュウジの問いに、オレはごく自然に答えていた。
「うん。オレがやる。せっかくならオレも仲間に加わりたいじゃん。衣装代なんかは自腹切るから心配しないでいいよ」
「えええ!!! ハヤトが怪人? しかも衣装自腹だと? ……かなりその気だな、ハヤト」
 ――そうだよな。リュウジ、驚くよな。半分呆れてるのかな。難しい顔してるし。
 でもオレは、せっかくこうして子供時代のオレが憧れた戦隊ヒーローの話に一枚噛む幸運を得て退く気はなかった。

 あっけにとられるリュウジをよそに、オレは勝手にプランを進める。
「ダイゴは忙しいかな、時期的に。できたらオレと一緒に怪人役やってくれないかな。怪人もひとりってことはないのが定石だし」
「ダイゴか。それは平気じゃねえかな。本番は盆が明けてからだし、練習するったって直前にほんの何回かで充分だろうからな。何だったら、ほら、去年みたく俺らがまたダイゴんとこに掃除でも何でも手伝いに行けばいいんじゃねえの?」
 何だかんだでリュウジもノリが悪いわけじゃない。だんだん共謀者の顔になってきている。っていうか、オレのペースに巻き込んだかな。それはそれで珍しいけど。
「じゃあ後で、話だけでも持っていこうか。それから、ヒーロー役にもあとひとりくらい、誰かいるといいんだけどね。リュウジとノブオと俊也さんと、もうひとり」
「む。そうか……どうしたもんかな。ここいら、おっちゃんばっかりだからな」
 リュウジはひとさし指を顎に当てて、天井を仰いで考えている。

 しばらくそうした後、リュウジはオレの顔に視線を戻して、いたずらっぽくこう言った。
「オウ、俺、いいこと思いついた。白鳥くん呼ぼうぜ、ハヤト!!!」
「白鳥くん……ああ、白鳥先生か」 
 リュウジご指名の白鳥くんとは、先日教育実習で鬼工に来ていた白鳥先生のことだ。
 実習中は苗字のあとに『先生』って付けて呼んでたと思うんだけど、そうか。実習生の名札がはずれたらリュウジにとっては友達みたいなもんなのか。
「白鳥くん、呼んだら速攻来るよな、ハヤト」
「ああ――なるほどね。うん。そうかもしれない」
 白鳥先生は鬼工OBの大学生で、鬼工在学中から鬼浜町商店街に縁がなかったわけではない人だったんだ。
 現役鬼工生時代に、商店街の花屋のあおいさんに思いを寄せていたらしくて。
 しかもそれは、何年か経ったいまでも現役みたいで。
「そうだね。白鳥先生もいつか鬼浜町商店街の人になりたいんだったっけ」
「よく覚えてたじゃねえか、ハヤト!!! お前にしちゃ上出来だぜ」
「あはは……どうもね。それに、あの役者がかった立ち居振る舞いも適任かも」
「だろう? 我ながら名案じゃねえの、これ。な、ハヤト?」
 リュウジはいたく満足そうだ。白鳥先生に断られるとはまったく思っていない模様。




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