目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

商店街で君と握手!! 6-2



 小腹を満たしたあとのオレは、リュウジに誘われて商店街へと足を向けた。亜由姉さん作のイベントポスターを是非見て行け、ってことだった。
 見れば商店街の店先や電柱なんかの至る所にそれは貼り付けられてた。
「へえ。こんな風になったんだ」
「オウ。すげえかっこいいよな!!!」
 紙面中央にはそれぞれ赤、銀、白、ピンクのマントをつけたヒーローが描かれている。
 右下には青と緑の人物シルエット。その周囲にはすこし小振りの黒いシルエットが5人分あって、さらにその下には「↑悪の怪人」とふりがな付きで書いてある。
 最下部は本番の日時と場所が書いてあって、最上部には『鬼浜戦隊ショウテンジャー ヒーローショー』の文字が大きく目をひく。
 そして、赤いマントのヒーローの台詞と見せた吹き出しには、こんな文字があった。
 『商店街で君と握手!!!』
 それはオレが子供のころ、どこかの遊園地で開催されるヒーローショーのテレビCMでお馴染みの台詞をひねったと思わせる文言だった。
「――なんか懐かしいな、この台詞。これ入れたのリュウジ?」
「うん? この、握手ってのか? いや、それは俺じゃねえ。亜由姉から原稿貰ったときには入ってたぜ。ってか、俺はてっきりハヤトの注文かと思ってたけどな」
「いや、オレの案でもない。ってことは亜由姉さんが入れたんだ」
 なんだかんだ、亜由姉さんも楽しんでたんだ、この仕事。ちょっと連帯感だな、オレ。
「そう書いてあるってことは公演後に子供らと握手とか、写真撮ったりとか、そういうことやったほうがいいんじゃねえか、って実行委員長に提案されたぜ、俺」
 幾分恥ずかしそうにリュウジが言うのがおかしかった。
 
 さて、そろそろ帰ろうか――なんて空気になったときのこと。商店街のメインの通りから小学校低学年くらいの男の子が2人走ってきて、リュウジを見て足を止めた。
「あ、リュウジだ。ねえ、リュウジもヒーローショー見にいく~?」
「うん? 俺か? さあな。どうするかな」
「え~。いっしょに見ようよぅ」
「おっしゃ。考えとくぜ!!!」
 そうか。オレたち稽古はもっぱら鬼浜寺でしてたから、この子たちはまだ舞台に上がるヒーローの正体とか、知らないんだ。思わず口許がほころんだオレ。
「そうだ、リュウジ。ぼくたちさっきね、怪人見ちゃったんだよ」
「そうそう。ものすごい大きいやつでさ。こわかったぁ。魚屋さんに入ってったんだけど、だいじょうぶかな、魚屋さん?」
 
 男の子たちが心配そうな顔を見合わせるのを見ながら、リュウジがオレに耳打ちをした。
「ハヤト、それってダイゴだよな。トシ兄、鬼浜寺に忘れ物でもしたのか? ってか、ダイゴってそんな怪人面だっけか」
 さあ? とオレはリュウジに小首を傾げてみる。
 ダイゴが怪人面というか――そういうことじゃなくて、何か引っかかる。
 そしてリュウジが作り笑いで男の子たちにこう言った。
「あのな。いくら怪人つったって、無闇に暴れたりしねえから安心しとけな。ってか、頼む。そこで見たことは誰にも言わねえでくれや。ネタバレは禁止だからな!!!」
「ネタ……ば?」
「それってどういう意味? リュウジ」
 リュウジの結んだ言葉に、男の子たちはピンと来なかったみたいだった。それはそうか。
「うん、気にしないでいいよ、君たち。それよりヒーローショー、楽しもうね」
 代わりにオレがそう言ったら、ふたりは大きく返事をしてから手を振って去っていった。
 
 オレはあまり疑念を持っていなかったらしいリュウジへ呟いた。
「っていうか、なんでオレは何も突っ込まれなくてダイゴだけが怪人として認識されてたんだろ? そもそもあの子たちはリュウジがヒーロー役ってのも知らないんだよな?」
「まあな。けど、子供らからしたらダイゴは巨体だからな。それっぽく見えたってだけじゃねえの? あながち子供の勘ってのは侮れねえからな。ハヤト、お前も当日まで気をつけろや。自分からネタバレすんじゃねえぞ!!!」
「うん。それは了解。うっかり怪人だってバレたら、商店街ひとりじゃ歩けなくなるもんな。子供たちに囲まれていじめられたりして……とか考えると笑えないな、オレ」




<< 商店街で君と握手!! 7-1 | ホーム | 商店街で君と握手!! 6-1 >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。