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商店街で君と握手!! 9-1



「……ゴンタじゃねえか?」
 リュウジが小さく言う。それを承けて、鬼浜町商店街の子供たちはリュウジを見上げる。
「あれ、リュウジ、あの大きいヒーローと知り合いなの?」
「やっぱりな。リュウジは商店街名物だもんね。リュウジだったらヒーローと知り合いだったとしても、ぼくらおどろかないもん。な?」
 そんなふうに評しながら、子供たちはリュウジをうらやましそうに見上げてる。
 リュウジも、同行してるオレたちも男の子たちの視線の意味をはかりかねて顔を見合わせるだけだった。

 人垣の中心に立ち上がった、人々よりも頭ふたつ分くらい体の大きいゴンタは周囲を見回すようにして、オレたち、というか俊也さんを見つけたようで、人波をかき分けるようにしてこちら目指して突進してきたんだ。
「うわ、ゴンタ? お前、どうしたよ? 何があったんだ?」
 血相を変えて眼前に現れたゴンタを、なだめるように俊也さんが言った。それから、よしよし、とでも言いたそうに手を回して背中をさすってやっていた。
 それでちょっとはゴンタも落ち着いたようだった。
 そんなゴンタの様子を、やはり尊敬のまなさしで子供たちは見ていたんだ。
 子供たちは、俊也さんが指示したとおりにゴンタが握手をしてやったところで帰っていった。去り際に手を振りながら、リュウジに「あさってが楽しみだ」って言ってた。
 その様子を見てたらしい別の子供たちがこっちへ走ってきて、次々とゴンタに握手をせがんでた。なんだか人気者になったみたいだ。

 そのあと、オレたちはゴンタを連れて昇龍軒へと戻った。
 4人掛けのテーブル席にゴンタを座らせて、隣に俊也さん、向かいの席にはリュウジと白鳥先生が陣取る。ダイゴとオレは近くのカウンター席に座った。ノブオは人数分の麦茶をいれてきて、それを配ったあとにオレの隣へと落ち着いた。
「で、何があったんだ? ゴンタ?」
 俊也さんがそう訊くと、うつむいていたゴンタは視線を俊也さんに移して口を開く。
「オレ……トオリカカッテ……ミタ……」
 切れ切れに届くゴンタの声。くぐもっていてところどころオレの耳には聞こえない。
 それでも俊也さんはゴンタに頷いたりしつつも話を進めているらしい。
「なるほどな。んで? それ追っかけてったんだ?」
「ソウ――デモ……デキナカッタ。ダカラ……ヤッタ」
「そうかそうか。お前、偉かったな。確かにヒーローって子供らが言ってたとおりだ」
 俊也さんは手を伸ばして、高いところにあるゴンタの頭を撫でてやってた。ゴンタはそれを嫌がるでもなく、ちょっと喉の奥で唸るようにしていた感じ。
「だってさ、リュウジ。ゴンタの活躍で商店街が救われたようなもんみたいだな。子供らがヒーローって言うのもわかるよな」
「ちょっと待った、トシ兄。俺にはさっぱりだぜ。白鳥くん、わかったか?」
「いや、申し訳ない。私にもよく聞こえなかったよ」
「ああ、そうか。ゴンタの声って聞き取りにくいんだっけ? 俺にはちゃんとわかったんだけどな。何でだろうな?」
 小首をかしげる仕草を俊也さんに返すゴンタであった。さすがに俊也さんに懐いているだけあるな、と思わせるレスポンスに見えた。

 ゴンタが語った内容は、俊也さんの通訳のもとにオレたちの知るところとなる。
「ゴンタな、今日は学校の友達……ああ、お前たちも知ってるか。ハンゾウと約束があるんだと。で、ちょっと早くこのへんに着いたから商店街をふらついてたらしい。そしたら俺んちの売り物の魚をくすねて逃げようとする猫を見かけたんだよな? ゴンタ」
「……オオ」
 ゴンタはうつむきながらもそう答えた。これはオレたちにも『同意』とわかる。
「で、ゴンタはそれを追いかけた。偉いよな」
「ベツ……ニ」
 俊也さんに褒められて、もしかしたらゴンタは照れているのかもしれなかった。
「結果的には猫とうちの売り物は取り逃がしたらしい。ゴンタはそれへ自責の念があるって言ってるが、なんで猫の追跡を途中でやめたかってのは、それどころじゃなくなった」
「ほう? 別の何かが現れた?」
「そうそう、白鳥氏。ちょっと先に定食屋があってさ。そこから出てきた客がゴンタにぶつかって、そのまま逃げ出したんだと。さらにその客の後に店員が出てきて、『食い逃げだ、誰かつかまえてくれ』って叫んだ」
「そうか。それじゃゴンタは標的をそっちに切り替えたってことか」
「リュウジ、正解。ゴンタあんまり走るの速くないんで、履いてた靴を食い逃げ犯に思いっきり投げつけて、んで怯んだところへ追いついて。定食屋の店員が呼んだお巡りさんが到着するまで敵に馬乗りになって待ってたんだと」

 俊也さん通訳によるゴンタの活躍の顛末だった。
 交番の巡査が現れて食い逃げ犯を引き渡したあと、定食屋の人たちにお礼を言われて、商店街に居合わせた人々から拍手されて、さっきの子たちをはじめ子供連中がわいわい取り囲んで――ゴンタはどうしたらいいのか混乱しはじめたところへオレたちが行き当たった、ってことらしい。
「そうだったのか。なるほどな。子供らが感心するのももっともだぜ」
 腕を組んで聞いていたリュウジがこう言った。
「本当。その立ち回りを見てたら確実にヒーローだと思うよな」
「そうっスよね、ハヤトさん。オレだったらできたかな……」
「それは大丈夫であろう、ノブオ。何せ商店街の正義の味方なのだろう?」
 ノブオは何かを考えながらも、ゴンタのコップが空になっているのに目が行ったようで、おかわりを持ってきてやっている。さすがに気が利くね。



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コメント

なるほど~(´∀`)
ゴンタは魚をくすねた猫と、食い逃げを追いかけてたんですね。
しっかし、ゴンタの投げた靴は大リーグボール2号並かもしれませんね!ww
当たったら凄く痛そうww

ゴンタって、何だか凄く俊也さんに懐いてますね^^
まるで猫みたいです(*´∀`*)

>鬼ムチコさま

どもです~☆

>しっかし、ゴンタの投げた靴は大リーグボール2号並かもしれませんね!ww
おう、魔球!!!
2号ってどんなのでしたっけ。消えるやつ?
……たしかにゴンタならやりかねませんなw

>まるで猫みたいです(*´∀`*)
基本は「野獣」のくせして可愛い感じ、ありますよね~。
散歩に連れてってやりたいキャラです。だはは。

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