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商店街で君と握手!! 9-2



「まあ、とにかく、ゴンタが活躍してくれて助かった、ってことで」
「そうだな、トシ兄!!! ゴンタ。今日のところは俺からも礼を言うぜ。ありがとうな」
「…………」
 ゴンタは口の中で何かつぶやいてる。
「何か言ったか?」
「礼には及ばないとさ。リュウジのためにやったんじゃないって」
 俊也さんの通訳を聞いて、リュウジはちょこっと笑ってこう続けた。
「それよか、お前元気ねえな? トシ兄に聞いてはいたけど」
「……オオ――ソウ……スイ――」
「コウヘイが元気でいるのか気になって、食欲不振が続いているって言った」
「食欲ねえのか!!! そりゃ辛いだろうな。ラーメンか何か喰ってくか? そうだな、商店街での活躍への礼ってことで」
 そしてリュウジは厨房に入っていって、夜の仕込みをやっている店員さんに何か頼み事をしてから席に戻ってきた。
「そんなに気になるんだったら、お前も連れてってもらえばよかったんじゃねえのか? 奴の家って金持ちなんだろ?」
「ダメダ……コワイ」
「飛行機が怖いって。狭いところも好きじゃないって前に言ってたしな」
「なるほど」
 聞いてた全員が口を揃えてそう言った。

 奥から声がして、ノブオが行った。銀のお盆で運んできたのは大盛りのチャーシュー麺。
 ノブオがゴンタの前に置いてやると、ゴンタはちらりと俊也さんを見る。俊也さんが笑って頷くと、ゴンタは匂いをかいでからラーメンにとりかかった。
「ってか、ゴンタ。お前最近よくここらへ来るだろ? けっこう目立ってるみたいだぜ?」
「ベツニ……ナニモ――」
「別に何も悪いことしてないし、暇だからいいじゃん、って言ってる」
「まあな。そりゃ悪いことじゃねえんだが。でも、今日のでゴンタの株はずいぶんと上がったようだしな。子供ら、次からゴンタに会ったらすげえ喜びそうだぜ」
 マサカ、とゴンタが言った。それはオレにも聞き取れた。
「ゴンタ、知ってるって。子供らがゴンタを見て『怪人だ』って言ってるの」
「ちょっと時期悪かったんだよね、それ。ほら、ヒーローショーのポスターに『怪人』って入ってたから。それと重なっちゃったんだろうな」
「そうだね、ハヤト君。子供はイメージ先行で物事を考えてしまいがちだし」

 ゴンタがゆっくりと箸を進めるのを見守りながら、リュウジが言う。
「そうか。ポスターな……確かに。なあ、ゴンタ。せっかくだからお前もヒーローショー、出るか? 子供らが喜ぶかもしれねえし」
「……イヤ――チガウ……」
「俺は怪人じゃないから出ないってさ」
「そうじゃねえって。お前、子供らからはヒーローだって思われてるんだから、ヒーローやってみるか?」
「ソレ……ムリ……ダ」
「人前だと緊張して乱暴するかもしれないから無理だろ、だと」
 それを聞いてオレは背筋が寒くなった。
「……ちょ、乱暴はよくないよ。オレの体が持たないってば」
「そうか。やられ役だもんな、ハヤトは。ダイゴはどうにかなるかも知れねえけど不安か」
 わはは、なんてみんなで笑った。オレは目が笑ってなかったと思うけど。

 もしかしたら箸を使うのが苦手なのかもしれないゴンタは、かなりスローペースながらもチャーシュー麺をそろそろ平らげそうだった。
「じゃあ、せめて最後んときだけ一緒にいろや。ポスターにあったろ? 舞台が終わったら子供らと握手会するんだ。そんときにお前もいたら、子供ら喜ぶんじゃねえかな」
「オコ……ラレ……ル?」
「コウヘイに怒られるんじゃないかってさ」
「そんなこと気にすんなってば!!! そしたら代わりにハンゾウにでも許してもらえ」
「ム……ハンゾウ!! ――ジカン?」
「ん? 時間か? 今は3時を過ぎたとこだな」
 俊也さんがそう答えると、ゴンタは慌てて立ち上がった。
「ああ、そうか。お前ハンゾウと約束があったんだっけか?」
「オウ!! ゴチソウサマデシタ」
 ゴンタがリュウジに向かって言った。なぜかはっきり聞き取れた。

 立ち去るゴンタを見送ってから、オレたちはあらためて外へ出た。本来の目的の、公園に組まれた舞台を下見するためだ。
 舞台はすっかり出来上がっていた。それを見るとなんだか緊張してくるオレがいる。
 リュウジとノブオは舞台の横でたばこをふかしていた大工の棟梁さんのところへ挨拶しに行った。
 舞台の下手のところに花を飾っているあおいさんを見つけて、白鳥先生はそこへ足取りも軽やかに向かっていく。俊也さんもそれへ続いた。
 ダイゴとオレは客席になる部分を歩きながら、本番の人員配置なんかを打ち合わせてる。
 明後日誕生するはずだった鬼浜町のヒーローは、ゴンタに先を越されてしまったけれど。
 それでもオレたちが作ったヒーローも、どうか子供たちの人気者になれますように。
 明後日ゴンタは来るんだろうか。そしたら人気が集中しちゃったりするんだろうか?

 まあ、いいか。そしたらオレがヒーローに握手してもらえば、それでいいか。
 一緒に写真も撮ってもらって、フレームに入れて飾っておこう。
 こないだおもちゃ屋で買った、懐かしいヒーローのソフビ人形の隣に並べて飾ったら絵になるかな。
 

   * 完 *





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