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鬼浜戦隊ショウテンジャー 4-2



 早く早く、とあおいさんに急きたてられて、ダイゴもオレも一旦脱いだ衣装にふたたび着替えて、メットとゴーグルを手に持って。
 近道となる路地を通って公園へと向かいながら、あおいさんと話した。
「っていうか、オレたち行って大丈夫ですか? しっかり悪役なんですけど」
「もちろん。あなたたちがいてこその今日のショーだ、って。子供たちもわかってるのよ」
「ほう。そうなのですか」
「うん。できたら自分で怪人をやっつけるポーズをとりたい、なんて子もいるみたいだし」
 くすっと笑うあおいさん。大人の女の人なのに幼く感じるのは、小柄なのと仕草と声のせいなのかな。もっとも見た目に寄らず空手の達人だ、っていうのは知っているんだけど。

 ダイゴもオレも納得して歩く道すがら、あおいさんに訊いてみた。
「えっと。白鳥先生って人気者みたいですよね。なんか声援もらってたようですけど」
「ほんとね。舞台終わったあと、女の子たちに囲まれてたもの。白鳥さん」
 なんてことなさそうに言うあおいさんであった。
 もしかして。あおいさんって白鳥先生に興味ないのかな、なんて一瞬考えたんだけど。
「人気のある人にはそれだけの魅力があるってことなのよね」
 なんだか優越感をにじませた表情をあおいさんがしていたのをオレたちは見た。
 妬くでもなく、出しゃばるでもなく。なるほど、あおいさんは白鳥先生にうってつけの女の人なのかも。心意気みたいなのをオレとダイゴはしっかり感じてた。

 路地の出口のところで、ダイゴとオレはメットを装着。あおいさんは一足先にリュウジに報せに行ってくれた。
 おっかなびっくり歩いていくと、気づいた子供が手を振ってくれる。
「あー、怪人きたー!!」
「わあ、ほんとだ~。握手、握手」
 楽しそうな顔、喜んでる顔。笑ってる顔、ほっぺたが真っ赤な顔。
 あっという間にそれらに取り囲まれたダイゴとオレは、なんだか戸惑ってる。
「オウ!!! 来たな、怪人ども」
 リュウジが軽くこちらへ呼びかけた。
 とはいえ、オレはそれへ何て応えたらいいんだ? いつもの調子で「うん」とか、言ったらアレだよな? 迷っていたらダイゴが応えてくれた。
「お招き感謝する、ショウテンジャー」
 ……なるほど。無難だ。ダイゴやるなあ。
「して、我々怪人は負かされた罰に球拾いでもやればよいのか?」
 ダイゴが続けた。見てみれば確かに客席には、さっき本番で怪人軍団退治に使われてたスポンジボールが色とりどりに転がったままになってる。
「なるほど、それで呼ばれたのか。納得。そしたらダ――いや、カイジングリーン。手伝っていこうか」
「押忍。敗者には相応の奉仕が必定ゆえ」
 そしてオレたちはダイゴのアドリブのもとに、客席へと入っていった。

「怪人たち、えらいねえ」
「ぼくもいっしょにやっていい?」
 ボールを拾っていたら、子供たちもわいわい言いながら手伝ってくれた。
「悪いね。頼むよ」
 なんて返したら、けっこううれしそうにしてくれるんだ。
 一緒になってボールを片付ける最中、ときどき握手を求められて。
 ふざけてキックしてくる子がいて、やり返そうとしてダイゴに止められたりもして。
「怪人、ちょっとは反省したー?」
「オレ? さあ、どうかな? また商店街をいただきに来るかも。怪人は打たれ強いから」
 話しかけてくる子にこんなふうに答えるオレ。
「ってことは、ここが好きなんだね、怪人の兄ちゃん」
「そうだよね。さっき最後に泣きそうだったもんね」
「え? オレが? 泣いてないってば」
「あはははは。泣いてた、泣いてたー」
「そんなことないって!! あんまりいじめると襲うよ?」
「きゃーーーー!!!」
 ……とか、子供が逃げるからつい追っかけた。そしたら怒られた。
「おい、こらカイジンブルー!!! 遊んで――いや乱暴すんじゃねえって」
「そうっスよ~。早いとこ片付けて、みんなで記念写真撮りましょ~!!」
 
 ダイゴとオレが罰ゲームの球拾いを終える頃、ハンゾウに伴われてゴンタが姿を現した。
 前々日の商店街での活躍を覚えていた、リュウジの顔見知りの男の子たちがゴンタを見て大喜びしていた。
「わー、やっと来たね!!」
「さっすがヒーローのえらい人はアレだね。『じゅーやくしゅっきん』だ!!」

 いつしかヒーロー界の重鎮という位置づけに祭り上げられているらしいゴンタは、近くのビルの屋上からずっと、公園の様子を見ていたんだそうだ。
「もちろんショーも最初から。俊也先生の勇姿をゴンタが見たがってたので。本当は出てくる予定はなかったが、ゴンタが是非と言うので落ち着いた頃を見計らって連れてきた」
 ハンゾウの説明を聞いた。今まで気づかなかったけれど、ハンゾウも俊也さん同様ゴンタときちんと会話できてるんだな。さすが仲間っていうのは違う。

 何はともあれ、鬼浜戦隊ショウテンジャー・ヒーローショーは無事に全行程を終了した。
 記念写真は2枚。
 1枚はヒーロー4人と怪人ふたりが集まったもの、最後に撮ってもらったもう1枚は子供たちも、ヒーローの重鎮とそのお付きの者も一緒に写った集合写真。
 どちらも大きく伸ばしてもらってフレームに入れて、部屋へ飾ることにしよう。
 きっとずっと、いい思い出になるんじゃないかな。

「ねえ、怪人の兄ちゃん。いつかなれるよ、ヒーロー」
 別れ際にオレに内緒話みたいなトーンで言ってくれた子がいた。
 オレは素直に感動した。
 この言葉も写真と一緒に、きっとずっと大事にしよう。
 将来の夢はヒーロー――男はいくつになっても子供みたいなもんだから、それはそれでOKだよな。
 

   * 完 *



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