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単車屋お天気屋 1-2



 上機嫌でないまま仕事をするとお客様の単車に対して失礼にあたるから、そんな気分のときには単車に向かって心の中で愚痴るんだそうだ。それで目の前の単車が許してくれそうな気配があれば仕事をするし、時には何か単車のほうから話しかけてくるような気がする、って前に親父が言っていた。
 オレも大概だとは思うけれども、この人の単車馬鹿っぷりには恐れ入る。

 たぶん今日もそうしている最中なんだろうと察しをつけて、オレは親父の背中に声を投げつけてやった。
「それで? どうしたんだ、親父。なんで怒ってる?」
「別に何でもあるものか。息子に聞かせるような話はひとつもない」
 声のトーンが通常よりも一段低い。これは相当だな。
「ああ、そう? オレじゃ役不足か」
「息子が親の問題に割って入る必要はないというだけのこと」
 座ったまま首だけ振り向いてオレを見上げて、親父は言った。
 なるほど、親の問題か。ってことはお袋と喧嘩でもしたんだな。
「そうか。じゃあいいや。オレは大人しくしとこう」
 これ以上絡む必要はないんだと判断して、オレは早々に親父の前から退散した。

 部屋へ鞄を置いて、着替えてから台所へ行った。
 そこでまたオレはちょっとした異変と遭遇することになる。
 今日は半日で学校から帰るのはお袋も知っていたから、昼飯を用意してくれているはずだったんだけど……テーブルの上には調味料のほか胃袋に入りそうなものは何も置かれていなかった。
 すこし帰りが遅れたから親父がオレの分まで食べてしまったのかと思ったけれど、シンクに食器は何一つ残っていなかった。親父が食器を洗って棚に戻すとは到底考えられないので、親父も昼飯はまだだと予想できる。
 ってことは、午前中の割と早い時間に親父とお袋の間に何かしらが勃発したんだろう。
 なんて推理はどうでもいいか。

 再度部屋へ戻って財布をポケットに突っ込んで、オレは店を通らずに玄関から外へ出た。
 コンビニへ行って適当に食べるものを買い込んで家に戻る。買い物袋を提げて、今度は親父の目にとまるようにと店から家の中へ。
 ひとりごとに似せて呟きながら、オレは靴を脱いだ。
「オレ、よっぽど腹減ってたんだな。必要以上に買い込んだみたいだ。こんなにひとりじゃ食べられないし、残ったやつは冷蔵庫にでもしまっておこうかな。もしオレ以外にも腹が減ってる人がいるんだったら食べてもいいけどね」
 オレは何を親父に気を遣ってるんだろう。案外親孝行だよな。自称だけど。

 コンビニのパスタとサラダで昼食を済ませたあと、オレはリュウジの家へ行った。夏休みの宿題が終わらないから手伝ってくれ、と呼び出されたんだ。
 というか、宿題の存在そのものを忘れていたらしい。ある意味大物だな。
 夕飯時になったので、オレは家へ帰ることにした。リュウジはラーメン喰ってけ、って言ったけれども喧嘩中の親父とお袋がふたりきりで食卓を囲むのもキツいかも、と思ったので遠慮させてもらった。自称親孝行だからね、オレ。
 
 かくして帰宅した息子を出迎えてくれた我が家の夕飯時の食卓は……昼飯時同様に調味料しかスタンバイされていなかった。
 親父はむっつりとビールを飲みながらつまらなそうにテレビを観てる。
 やれやれ。一体どうしたことか。よっぽど大喧嘩したんだろうか。
 仕方なくオレは電話口に立つ。さっきまでいた昇龍軒に電話する羽目になるとはね。
「ども。駅裏の魔速商会ですけど、出前おねがいします。味噌もやしチャーシューと餃子2つずつ」



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