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夏祭夜話 5


 「おれも大きくなったら兄ちゃんみたいにバイクに乗るんだ」
 神社の裏門から一歩外へ出ると、カズマくんはオレを見据えて、しっかりとした口調で言った。
 「それで、兄ちゃんにだって負けないくらい速く走れるようになる」
 きっぱりと言い放つカズマくんは、まだ幼いのにしっかりした男だった。

 「じゃあぼくも!! ぼくもバイクに乗る!! ハヤト、教えてくれるでしょ?」
 「おう、ケイタ。大歓迎だ」
 ケイタに応えながら、オレはカズマくんの強い意志の浮かんだ表情に、誰かの影を見た気がした。

 「それじゃケイタ、おれたち大きくなったらライバルだな」
 「うん!! ぼく、カズマに負けないようにがんばるよ。ね、ハヤト?」
 「おう、ふたりともいい表情をしてるな!!」
 リュウジが両手で、ふたりの頭を撫でている。
 「いい友達でいいライバルがいるってことは、漢になるのには重要なことだ。わかるか?」
 「うん!!! リュウジ、わかった」
 とケイタは瞳を輝かせ、カズマくんは表情を引き締めて頷いた。

 「ところでダイゴ、時間わかるか?」
 「ええ──そろそろ8時だ」
 「そうか。じゃあぼちぼちあがるか、ケイタ」
 「え~、もうちょっと。ね、ハヤト?」
 「こらこら。男は引き際が肝心なんだぞ」
 駄々をこねるケイタに言ってみると、思いの外功を奏したようだった。

 「そっか! じゃあぼく帰るよ」
 「素直で感心だねえ、ケイタくん」
 「えへへ、ありがと。ノブオ兄ちゃん」
 「おう、成長したな、ケイタ。偉いぞ!! ノブオも見習っとけな」
 「え~、兄貴ぃ、そんなあ……」
 ひとしきり笑いあうオレたち。神社の喧噪を一歩離れると、川からの風が笑い声をさらっていった。

 「よし、そしたらカズマ、俺が家まで送ってやるぜ。家はどっちのほうだ?」
 リュウジがカズマくんにそう言いだした。
 ちょうどその時──背後から声がして、オレたちは振り返った。
 
 「いや、それは必要ない」
 聞き覚えのある声。見覚えのあるシルエット。
 それに向かってカズマくんは駆け寄っていったのだ。

 「兄ちゃん!」
 「遅いから迎えにきたんだ」
 そう弟に応えてからオレたちを見たのは──
 「ん? ハンゾウじゃねえか?」

 こんな偶然に、思わず口を開けるリュウジも、見守るダイゴもノブオも、あからさまに驚いている様子。
 けれど、やっぱりか、なんていう思いがオレの中にはあった。

 「弟が世話になったようだ」
 短く言うと、ハンゾウはオレたちに向かって礼をした。それへリュウジはにこりと笑って返す。
 「いや、こっちこそ楽しかったぜ。なあ、カズマ」
 「うん、リュウジ兄ちゃん。とっても楽しかったです」
 「それに、オレの弟分はいつもカズマくんに面倒見てもらってるようだし」
 ケイタの頭に手をおいて、オレはハンゾウに言った。

 「ねえ、ハヤト、カズマの兄ちゃんと知り合いなの?」
 オレを見上げてケイタは不思議そうに訊ねてきた。
 「ああ──そうだな、ケイタ。よく知った間柄だ」
 「ふうん。そうだったんだ。ぼくちっとも知らなかった。カズマは? 知ってた?」
 「ううん、おれも知らない」
 と答えながら、カズマくんはハンゾウを見る。

 「ね、兄ちゃん。兄ちゃんとハヤト兄ちゃんは、バイクで競争したらどっちが速いの?」
 「──カズマ?」
 「あのね、ケイタが言うんだ。ハヤト兄ちゃんより速く走れる人はいないって」
 それは兄を見つめる弟の、信じ切った目だった。

 「カズマ、俺とハヤトは同じ位速いんだ」
 一瞬オレの顔を見てから、ハンゾウは弟に向かって言った。

 「俺はときどきハヤトに勝つが、ハヤトもときどき俺より速い。なかなか勝負がつかない相手は、今のところハヤトだけだ」
 「──兄ちゃん」
 「俺は、この男がいるから命がけで走るんだ。そして、ハヤトが俺の前に立ちはだかるからこそ、これから先の俺はもっと速くなれる」
 決然と言う、珍しく多弁なハンゾウがいた。カズマくんだけではなく、きっとオレへのメッセージでもあったのだろう、強い言葉だった。

 「じゃあ、カズマの兄ちゃんもすごい速いってことだね、ハヤト!」
 「ああ、そうだ、ケイタ。カズマくんの兄さんは、オレの最大の強敵なんだ」
 エンジンをかけない中の、静かな火花がオレとハンゾウの間で散っていたかもしれない。 いつもの勝負とは異質な、けれどもいつもと勝負と同じくらい、気の抜けない張りつめた空気があった。

 「それじゃあぼくたちも、大きくなったら競争しようね!!」
 「うん、ケイタ。約束だ」
 ちいさな親友同士は、ここで人生最初の火花を散らしたのだろうか。
 同胞と強敵はほんの紙一重の違いでしかないのかもな、なんてオレは考えている。

 「俺は、強敵によって磨かれている。それをいつも忘れないでおくんだ、カズマ」
 「はい、兄ちゃん」
 オレたちが見たこともないやさしい目で、ハンゾウは弟に諭すように言った。
 

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コメント

やはり・・・

カズマくんのお兄ちゃんはハンゾウだったのか!
あんなジャンキーなお兄ちゃんだけど
弟は礼儀正しい子なんですね!

しかし、学ランや特攻服以外の彼らは
どんな格好してるのかしら??
お祭りでの様子を想像しましたが・・・
う~ん、アロハを着ていてほしいかな?
と、激しく妄想ッ!(笑)

彼らのファッション

>>ピノコさま
弟思いの兄ちゃんと、兄ちゃんを尊敬する弟……って憧れます!! わたし男きょうだいがいないもので。

で、彼らの服装予想。
・リュウジ→ぜひとも祭半纏で
・ダイゴ→ゆかた着てほしいですね
・ノブオ→彼はいつでもTシャツ派かな
・ハヤト→アロハ、似合うっぽい
どうでしょ? あ、でもノブオもアロハ似合うかな?

う~んw

ノブオにはやっぱりTシャツずぼんINを希望しま~すw

ソレダ!!

>>Tohkoさま
そうでした!!!
ノブオはTシャツINが基本でしたね(^^:)
ソレ似合うって、個性ですよね~。

こんばんわ

毎日楽しく拝読させていただいております。
今回のハンゾウ良いですね~
ハヤトとハンゾウは是非強敵(と書いてトモとよぶw)であって欲しいです。
私服の話題が出てるようなので便乗して…
お祭りといえば浴衣!
男性の浴衣姿って結構色っぽいのでそれもありかと思いますがどうでしょう?
でも年齢的にはアロハとか甚平でしょうか(笑

それでは又お邪魔させて頂きます。


強敵と書いてトモ!!

>>単savaさま
こんにちわ☆
いつもいらしていただいて、どうもありがとうございます(=^▽^=)
とても嬉しいです!!!

>ハヤトとハンゾウは是非強敵(と書いてトモとよぶw)であって欲しいです。
いい言葉です、「強敵と書いてトモ」!!
グッときます!!
そうですね、そうあってほしいですね~♪

>男性の浴衣姿
アリです!! ぜんぜんアリだと思います:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

そんなわけでして、これからも遊びにいらしてくださいませ♪


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