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単車屋お天気屋 2-2



 再開初日とあって、全般的にどの授業もゆるゆると時間が過ぎていった。
 宿題を提出しなければならない教科ももちろんあった。リュウジもオレが昨日手伝ったあれこれを満足そうに提出していたりした。
 とはいえ、リュウジの夏休みの宿題は今日提出する分までしかクリアになっていないんだ。だから今日も放課後はリュウジに首根っこを掴まれているような状態のオレ。
「そしたらハヤト。あとで行くからな」
「了解。待ってる」
 一緒に校門を出て、いったん駅のところでリュウジと別れた。
 今日の宿題パーティーはオレの家で開催されるんだそうだ。
 いつもだったらリュウジの部屋でやることが多いんだけど、今日はあえてのオレの部屋。言葉には出さないけど、おそらくリュウジがウチの親父の顔を見たいんだろう。
 それなりに心配してくれてるみたいだし。

「親父、ただいま」
 帰り着いたオレは何気なくを装って、いつも通りに店に顔を出して親父に声をかけた。今日の親父はちゃんと工具を持った手を動かして、修理預かり中の単車をいじっている。
 昨日は半ば無視の憂き目に遭ったオレ。さて今日は……
「おお、お帰り。我が自慢のひとり息子よ。久々の授業の首尾はどうだ?」
「え――ああ、まあ、可もなく不可もなくってとこ」
「わはははは。そのゆるい物言いが我が息子らしいな」
 とか笑って言いながら、立ち上がってオレの背中をばしばし叩いている親父。
 なんだかえらくご機嫌というか、テンションが高いというか。
「うん。オレはいつも通りだ。でも親父は妙に楽しそうだよね」
「俺がか? 俺もいつもと変わらんよ。元来楽天家で通っているからな。わはははは」
「そうだっけ?」
 でも昨日は――なんて言いかけてやめた。
 異様に陽気な親父の醸す空気がオレの口をふさいだような。
 そんなに鋭いほうではないオレだけど、何か感じるものがある。親子だからかな。
「当たり前だ。知らなかったのか? 我がとぼけた息子よ」
「……それは言われ慣れてるから別にいいけどさ。ああ、もうすぐリュウジが来るから。オレいったん部屋へ戻る。来たら呼んで」
 そう説明してオレは家に上がった。
 オレの背中を追いかけてきたのは、親父の奏でる口笛であった。
 なんというか気楽なもんだな。

 雑然としていた部屋を軽く片付けながら待っていると、しばらくしてから親父の声がオレを呼んだ。というか、呼ばれるまでもなくリュウジの声が聞こえてきたんだけど。
「よう、リュウジ。思ったより遅かったじゃん。上がって」
 店に顔を出したオレの目に入ったのは、宿題が入っていると思われる手提げのほかに大きな買い物袋を3つ手にしたリュウジの姿であった。
「オウ、ハヤト!!! 待たせて悪い」
「って、何? その大荷物は」
 見れば白い袋から長ねぎの頭がはみ出している。
「これな。ちょっと買い物してきたんだぜ。ハヤトに世話になるお礼に晩飯でも用意しようかと思って」
 オレと親父の顔を交互に見て、リュウジが何でもなさそうにそう言った。
 それを聞いて親父はうれしそうにリュウジに返す。
「わっはっは。リュウジは気が利くな。さすがは総隊長殿だ」
「どうってことねえよ、親父さん。まあ、ハヤトよりかは料理には自信あるってだけだぜ」
「結構じゃないか。総隊長に並べて総料理長の看板も背負っておくといい」
「って、大袈裟だな、親父は。な、リュウジ」
「お……おう。そうだな」
 親父のハイテンションを見て、リュウジもやっぱり幾分訝しんでいるみたいだ。
 そう思われている本人だけがまったく気にしていないようだけど、ひそかにリュウジと視線を合わせるオレである。




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