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若手強化計画 3


 ノブオたちの特訓という大義名分のもとに、オレたちは連日を浜で過ごしていた。
 鬼浜で開催されるビーチバレー大会に選手として出場するノブオと、鬼工野球部のエース・天宮くんの2人を温かい目でオレたちは見守っている。
 オレたちとは──リュウジとダイゴとオレ、それから野球部の森園主将だ。
  
 水着姿で浜にいるにもかかわらず海に入るでもなし、サンオイル塗るでもなし──の、有り体に言って柄のよろしくない集団が必死で声を出しながらボールを追いかける姿ってのは、普通に怪しいかもしれなかった。

 数日来、こんな格好でお天道様の下にいた柄のよろしくない集団は、揃って健康的な肌の色になっている。数年ぶりに日灼けをしたオレが思うに、それはそれで怪しいような気がするなあ。
 まあ、夏も終わり近いということで、見ている海水浴客はだいぶまばらになってきていたけど。

 さて、試合本番を翌日に控えた夜のこと。
 最後の特訓とばかりに、オレたちは日中の練習のあと一旦解散して、日が暮れたころにふたたび浜に集まっていた。

 「さあ、お前ら!! ここが正念場だぜ、気合い入れてけや!!」
 「オス、兄貴!!」
 「了解です」
 リュウジの掛け声に応えるノブオと天宮くんの若手ふたりは、すでに猛特訓の成果でかなり動きが機敏になっていた。たったひとつの外灯と、国道をいく車のヘッドライトが頼りという暗がりの中、自信満々に応えてくる。
 
 「ふふふ、用意はいいかい? ふたりとも」
 「はいっ!! 万全っス!」
 「いつでもお願いします」
 相次いで答えたふたりに森園主将が繰り出したのは、バットで打ったゴムボールだ。

 「ノブオ君、腰がひけてるよ」
 「はいっ! すみません」
 「天宮、フォローを忘れるな」
 「わかりました」
 森園主将は次々とピンク色のゴムボールを打ってはふたりに受けさせる。
 廃部状態だった野球部を一から引っ張ってきた森園主将の指導力を目の当たりにして、オレたちはすすんで球拾いに精を出したりしながら、特訓を見守っているのだ。

 「しかし、あんな小さいボールでよくやってるよな、ノブオたち」
 「まったくだ。あれを追うとなると瞬発力がものを言うからな」
 答えながら、ダイゴは転がった球を森園主将の横を守るリュウジに投げ返している。

 「けどさ、ずいぶん反応よくなったよな、ふたりとも」
 「ああ。昼間、実際の球でやったときはもういっぱしのものだったし」
 「オイ!! ハヤト、球そっち行ったぜ!!」
 「あ──はいはい」
 転がるボールを追いかけて、オレはリュウジに返球した……のだが、狙いは大幅にそれてボールはリュウジの遥か後方へ飛ぶ。

 「って、ハヤト!! どこ投げてんだ?」
 「わはは、悪い、リュウジ」
 「もう、やっぱりお前こそ特訓要るんじゃねえか? ダイゴもフォロー頼むぜ」
 「押忍、すまんです」
 「とにかく、スイカ1ダースがかかってるんだからな!!!」
 「オ~ス」
 リュウジの腹の底からの声がオレを、ノブオを、天宮くんを叱咤した。

 スイカ1ダース──これがここ数日のリュウジのココロを占める言葉であるようだ。
 なんでも、ビーチバレー大会の優勝者副賞がコレなんだとか。

 「よし、それじゃ少し休憩するか、ふたりとも」
 汗ばんだ額を拭いながら、森園主将がそう言った。
 「はい!!」
 ノブオと天宮くんは同時に答える。
 「おし!! それじゃ少し休んだあとは、実戦だな。俺と森園が組むから、ノブオも天宮も全力でかかってこい」
 「ふふふ。それは面白そうだな。ふたりとも、やるからには本気だよ、俺たち。そしたらリュウジ、作戦タイムだ」
 「おうよ!!」
 そんなふうに言い交わしながら、リュウジと森園主将はすこし離れたところに肩を組みながら移動する。
 
 「あらら、大将ふたりはやる気だね」
 「ですね、ハヤトさん。オレ、なんか怖いな……」
 「だな、ノブオ。主将の目が光るのが暗くてもわかったし、おれ」

 怖れをなすふたりに、ダイゴが声をかける。
 「ノブオ、天宮。何か飲むか? 買ってきてやろう」
 「ダイゴさん、ホントですか? すみませ~ん」
 大きく頷いて、ダイゴは遠くの自販機を目指していく。途中、リュウジたちの注文も聞いていたようだ。
 
 「ねえハヤトさん、なんか作戦とかありませんかね?」
 「作戦──か」
 ノブオに訊かれて、オレは腕組みなんかしてみる。
 「そうだな、見た感じ、森園主将はウラをかくのが巧そうかな。で、リュウジは直球勝負派だから、なかなか穴がないかもね」
 「そうですね、ハヤトさん。主将のウラをかいたつもりがリュウジさんの真っ正面に出そうですから」

 「ん~、困ったな、天宮」
 ノブオが情けない声を出す。
 「兄貴、そんなにスイカに拘るんだったら自分でエントリーすればいいのに……」
 「ははは、ノブオ。何もリュウジはスイカが欲しいだけじゃないさ。な、天宮くん?」
 「ええ、そうですね。きっと愛です。自分にはわかりますよ」
 「も、もちろんオレにもわかってるっスよ!!!」
 あわててノブオが言うのを見て、オレは天宮くんとふたりで吹き出した。

 「とにかくやれるだけやってみよう、ノブオ。おれたちだって随分鍛えられただろ?」
 「オス!! 天宮」
 さすがに天宮くんはエースの度胸があるらしい。けど、度胸ならばノブオもきっと負けないだろう。
 ダイゴがジュースを抱えて戻ってくるころには、ノブオと天宮くんは砂浜に座り込んで、何やら作戦会議を開いていた。
 

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