目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

若手強化計画 6


 「あれ? ハヤト。どうした、血相変えて」
 ファストフード店に駆け戻ったオレを見て、リュウジが訝りながら訊いた。

 「リュウ……ジ、いいから、は、早く!! ノブオたちが、コウヘイたちと──」
 「ん? コウヘイ?」
 切れ切れの呼吸の合間にオレは言葉を絞り出す。
 オレの様子が明らかに妙だったことは伝わったはずだ。

 「とにかく……早く」
 「よし、わかったぜ!!」
 言うが早いか、リュウジは店を飛び出した。その後ろ姿に、ダイゴと森園主将も続く。
 オレも慌てて3人を追う体勢に入った。
 レジのお姉さんに、トレイを片づけられなくてごめんと言っておいた。

 浜の、ノブオがコウヘイと睨み合っているポイントにオレたちが到着したのは、オレがその様子を目撃してから5分ほど後だったろうか。
 今も尚、ノブオはけなげに天宮くんを後ろにかばいながら、コウヘイを強い目線で睨め付けていた。

 「オイ!! コウヘイ!!! ウチのノブオに何の用だ?」
 状況を見るや否や、リュウジが怒号を迸らせる。

 「ほう? 総隊長のお出ましか」
 「あ、兄貴……」
 場にいたノブオと天宮くん、そしてコウヘイとゴンタの4人は同時にリュウジを振り返る。

 「何の用とは笑止だな。見てわからねえのか? 俺たちは球遊びに混ぜてほしいと若いのに頼んでいるだけだが?」
 コウヘイはいつもの物騒な笑みを浮かべた。
 「町で会うたびに、うちのゴンタが貴様等の若いのに遊んでもらうようだからな。そのお礼だ。なあ、ゴンタ」
 ゴンタは低く唸りながらコウヘイに頷く。

 「遊びなんかで近づいてくるんじゃねえ!!! よくもノブオに──」
 よく見れば、ノブオは既に幾つかの拳を受けていたようだ。唇の端に血が滲んでいる。
 幸い、天宮くんには被害は及んでいないようだ。

 「ダイゴ、ハヤト!! ノブオたちを頼む」
 「押忍!!」
 答えざま、ダイゴはノブオの前に立ちはだかってコウヘイから遮ってやる。
 そのままノブオと天宮くんは、ようやく緊張から開放された表情でオレのいる場所まで下がってきた。

 「ノブオはよくこの場を守ったな。それだけでも善戦だぜ。森園、それから天宮。巻き込んで済まん」
 リュウジが振り向いて静かに言う。ノブオは安堵のあまりか大きく息をつき、天宮くんはただ首を左右に振って応え、森園主将は静かに眼鏡を直す仕草をした。

 「とにかく俺が相手だ!! コウヘイ、覚悟はいいか」
 「ふん。望むところよ」
 青白い光を落とす外灯の下、リュウジとコウヘイの一騎打ちが始まろうとしていた。

 もの言わぬままの両者の対峙──張りつめた空気。
 互いに間を保ちながら、序盤の時間は静かに流れてゆく。
 先に仕掛けるのはリュウジか、それともコウヘイか──両者の闘いを見慣れているはずのオレたちでも、この瞬間はじっとりと背中に汗が滲んでくる。

 合戦の場を中心に、オレたちの立ち位置の向かい側にゴンタが陣取っている。
 ウチ一番の巨漢たるダイゴといい勝負の風貌の男は、普段から表情もあまり変えず、口数も極端に少ないようだ──少なくとも、オレたちの知る限りでは。

 そんな緊張の中、決戦の火蓋が切っておとされた。
 「歯ぁ食いしばれや!!」
 言いざまリュウジが素早く拳をコウヘイに繰り出した。
 ひらりと身をかわそうとしたが、ここが砂浜のせいで足をとられたコウヘイの左頬に、リュウジの渾身の一撃が炸裂した!!
 「ぐ……ッ!!」
 呻いて一瞬、コウヘイは砂に膝をつく。

 「なんだ? もう降参か?」
 「そんなわけねえだろうが!!! ふん、俺は骨のある漢と闘うのが好きなのだ。そんな好機をこれしきで棒に振るように見えるか?」
 「上等!!!」
 叫ぶやいなや、リュウジは瞬時に身構えて2つ目の攻撃に入ろうとする。
 が、敵もさすがなもので、リュウジの繰り出した次の拳はうまく交わし──それどことか、返す刀でリュウジの腹部に拳をめり込ませた!!

 「ぐはッ──!!」
 今度はリュウジがうめき声を上げる番だった。
 鍛えられた腹筋をしても、渾身の拳が襲うのには耐え難いに違いない。

 「リュウジ──」
 オレは思わず、その名を呼んでしまうことを禁じ得なかった。

 互いの最初の一撃、そこからはもう死闘が繰り広げられることになった。
 立ち上がったリュウジは即座に戦闘ポーズを取り、負けじとコウヘイが睨みをきかせて唾を吐き──

 いくつかの拳が敵を襲い、敵の攻撃をリュウジが避け、ときには受ける。
 どちらも屈しようとはしない。力の拮抗が呼ぶむしろ静かな視線の争いを合間に挟みながらの攻防が続く。

 と、そのとき──
 「タイムだ。タイムを要求する」
 凛と張った涼やかな森園主将の声が、波の音に混じって聞こえた。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

<< 若手強化計画 7 | ホーム | 若手強化計画 5 >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。