目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Road to スイカ 2


 これぞ残暑といった強い陽射しの午後。
 『鬼浜ビーチバレー大会』に参戦中のノブオと天宮くんの鬼工チーム最後の試合──決勝戦が開始されるところだ。

 「ノブオ!! 天宮!! 気合い入れてけや!!!」
 「オス!!」
 「了解です」
 リュウジが声を掛けたのに、選手ふたりは表情を引き締めて応えた。

 コイントス、それからウォームアップ。
 もともと運動部所属の天宮くんは観客のいる中での試合に慣れているはずだ。けど、そんな経験はおそらく多くないであろうノブオのほうも、ちっとも動じていないのに驚いた。

 「なあ、リュウジ」
 「ん?」
 「ノブオってさ、案外度胸が据わってるよな。オレならムリだな。こんな大勢見てる中で試合なんて」
 「わはははは。ノブオはあれだ。褒められるとノるタイプだからな。だからその辺は心配していなかったんだ、俺は。ってか、やっぱハヤトを出すべきだったかもな、ダイゴ」
 「そうかもしれんな」
 「ええっ、何だよ、ダイゴまで。オレ、ムリだって言ってるじゃん」
 「単車に乗っているときと同じ度胸で何事にも当たれ、とリュウジは言っているのではないか?」
 「オウ、ダイゴ!! 正解だぜ。まあ来年を楽しみにな、ハヤト」
 そんなふうに言って、リュウジとダイゴは顔を見合わせてくすくすと笑っている。
 もう、勘弁してほしいなあ。

 そうこうしているうちに試合開始のホイッスルが鳴る。

 第1セットは、天宮くんのサーブから始まった。
 青空に弧を描くボールの軌跡は美しく相手方コートに落ちていく。
 「さすがキレイに決まるな、天宮のは!!」
 リュウジが感嘆を伝えると、森園主将は嬉しそうな顔をした。

 その第1セットは、接戦だった。
 ダイゴが見てきたとおり、相手方の公務員チームは粘り強い立ち回りで本領を発揮してくる。午前中のどの試合よりも、長いラリーが続いていた。
 結局スコアは19-21で鬼工チームが1セットを落とすことになった。

 「大丈夫、大丈夫!! オレたちが負けるわけないよな、天宮!!」
 「ああ、ノブオの言うとおりだ。まだまだここからだ」
 1セットを落としても、ちっとも悄げる様子のないふたりに先輩らは安心させられた。

 続く第2セット。
 さっきのラリーの応酬とは打って変わって、今度はスパイク合戦の様相。
 「へえ、ノブオ君は案外ジャンプ力あるな」
 森園主将が言った。
 「ああ、そうだな。俺も知らなかったぜ」
 答えるリュウジも感心している。

 「あれ──見間違いかな?」
 戦況を見守りながら、オレはふと気になった。
 「ん? 何か言ったか? ハヤト」
 「いや、オレ、あの相手方のプレイヤー、どこかで見たことあるような気がして」
 「知り合いか?」
 「そうじゃなさそうだけど。でも、どこかで──見たことない? ダイゴ」
 「ふむ……」
 ダイゴが考え込む様子を見せたその時、ノブオのジャンプサーブがラインぎりぎりのきわどいところに決まる!!!

 「お~~~!!! ノブオすげえぞ!!」
 リュウジの賞賛に、ノブオは満面の笑みで振り向いた。

 結局、第2セットはノブオのサーブが決まりまくったのもあって21-18で鬼工チームが勝ち取った。
 結果が出ると、オレたち応援側は男たちの怒号をもってわき返り、対してノブオと天宮くんの選手たちは淡々と笑顔を見せる。

 試合は最終セットまで縺れ込んだ。第3セットは、15点を先に取ったほうの勝利だ。
 序盤、ノブオたちは相手の粘り腰のラリーのペースに嵌って苦戦を強いられる。
 続く中盤は、ネット際での天宮くんの活躍が光って連続ポイントを奪取する。
 
 そして──終盤。
 まるで何かの神様か仏様でも後ろにおられるかのような、ノブオの凄まじい攻撃が、少々疲れの見える公務員チームを容赦なく襲った。
 「ノブオ、頼んだ!」
 「オッケイ、天宮!! そ~~~れっ!!!」
 掛け声とともに決まるノブオのアタック!!
 ついに鬼工チームがリードを奪う。
 そしてその後も、リードに気負うことなくノブオと天宮くんは順調にスコアを重ねてゆき、ついに鬼工チームがマッチポイントを迎え──

 「これがラストトスだ、ノブオ」
 「オ~ス! ほんじゃラストアタ~ック!!!」
 絶叫とともに放ったノブオの強打が、この大会のラストプレイとなったのだった。

 試合終了を報せるホイッスルが吹かれ──オレたちは一斉にノブオと天宮のもとに駆け寄った。
 「やった~、兄貴、オレやりました!!」
 「よっしゃあ!! ノブオ、最強だぜ!!!」
 「主将!! 自分頑張りましたよね?」
 「ふっふっふ。天宮も一人前に近づいたな」
 2チームの若手と大将は、どちらも至極満足そうだ。
 そして、リュウジの号令。
 「野郎ども!! 胴上げだ、いくぜ!!!」
 「オ~~~~ス!!!」
 宙高く舞うふたりの姿が、夏の終わりの浜を痛快に彩っていた。

 そんなふうにして、夏の終わりの強化訓練をノブオと天宮くんは終えたのだ。
 ご褒美は、1ダースのスイカ──リュウジが執念を燃やしていた副賞だった。
 表彰式が行われ、優勝の金メダルとともに選手たちに手渡された12個のスイカを見て、リュウジは本当に嬉しそうな顔をしていた。
 
 そして、閉会式の終わったあと──オレはさっきからココロの隅に引っかかっていた疑問が解消することとなる。
 「そこの君たち、待ちなさい!!」
 得意満面でオレたちのもとに戻ってくるノブオと天宮くんを呼び止めて、声をかけたふたりがいた。
 「はい?」
 ノブオたちが振り返ったのは、準優勝の公務員チームのふたりだった。

 ふたりは疲れたながらも爽快、という表情で、交互にノブオたちに右手を差し出す。
 「若者よ、いい試合をありがとう」
 「あ、こっちこそどうも」
 「ええ、すごく大変でした。あなた方に勝つのは」
 「そうかい。それなら私たちもやった甲斐があったよ。なあ?」
 「ああ。実にいい気分だ。敗れたりとは言え」
 そんなふうに、兵たちは互いを労いあっていた。
 しかし──どうも見覚えあるんだよな、オレ。あのノブオを「待ちなさい!!」って呼び止めたほうの人。

 「ところで──若者たちよ」
 オレの記憶のどこかをくすぐる人がそう言ってノブオを見やり、さらにリュウジとダイゴとオレに代わる代わる視線を寄越した。
 「まさかとは思うが、スイカ持ったまま国道をバイクで疾走したりするんじゃないからな。それからメットは必ず着用のこと。次に見かけたら即補導だ」
 「ん?」
 「え──」
 「あ……あ?」
 「え~と、あなたはもしかして……?」

 ようやくオレの記憶が繋がった。
 そして、リュウジたちにもやっとわかったみたいだ。

 「今日は正々堂々と私たちに勝った諸君だが、いつもいつもパトカーの私と法律とに勝てると思ったら大間違いだからな。肝に銘じておくように。以上!」
 言うだけ言って立ち去った公務員氏は──夜の国道でいつもさんざんオレたちを追いかけていた警官だったんだ。

 「へえ、ノブオ……やったな、お前、宿敵打破じゃねえか」
 「えへへ……」
 力無くリュウジが言い、そしてノブオは力無く笑った。
 
 夏休みの締めくくりには、こんなオチが用意されていた。
 さてと、しばらくは大人しく──なんてしてはいられない、か。
 すこし日の入りの早くなったのを感じる浜の風に、オレたちの力無い笑いがさわられていった。
 

   * Road to スイカ 完 *


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

<< 純情・赤ジャージ 1 | ホーム | Road to スイカ 1 >>


コメント

ぎゃははッ

公務員チームっておまわりさん?!うひゃ~(笑)
ホント奴らっては、ビーチバレーしたり
改造バイクでノーヘルで走ったり、イイ子なのか
悪い子なのか・・・
あ、ちなみにあのパトカーよく見ると「警察」じゃなくて
「警備」ってかいてあるんですよぉ。
警備会社の人に追っかけられてるの???

目くらましです!!

>>ピノコさま
奴ら、いい子か悪い子かは……微妙ですな(^^:)
でも、カワイイ奴らだと思うので。だはは。

>警備会社の人に追っかけられてるの???
あれは、K察です。たぶん。
警備って見えるのは……スピードのせい?
なんちってwww
そう簡単に警備の人に補導されないでほしい
と切実に思います!!!

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。