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純情・赤ジャージ 1

 
 新学期が始まってからというもの、ウチの担任の様子がどうもおかしい。
 いつも赤いジャージを着ている担任は、自他ともに認める熱血・体育教師だ。
 テンションが高いので有名な赤ジャージの様子が、いつもと違うのだ。

 たとえば今朝のホームルームのこと。
 名簿を読み上げながら担任が出席をとるのが毎朝のお決まりなのだが──
 最中に、リュウジが立ち上がって叫んだ。
 「オイっ!! 赤ジャージ!!! いま俺の名前飛ばしやがったな!!!」
 「お、おう、そうだったか。飛ばしたか。悪かった、リュウジ」
 「オウ!! 気合い入ってねえな、朝から」
 「……すまんな」
 と言って、赤ジャージはため息をつく──なんてことがあった。

 また3時間目が始まる前のこと。
 廊下でダイゴと会って、リュウジと3人で立ち話をしていたとき。ダイゴの背中に、歩いてきた赤ジャージが派手に体当たりを喰らわせた。
 「うん?」
 巨漢のダイゴはまったく動じなかったものの、赤ジャージは勢いで尻餅をついた。
 「うわ、先生、大丈夫?」
 「ああ、ハヤト。大丈夫だ。ダイゴよ、悪かったな。ついよそ見をしていた」
 「いえ。問題ないす」
 「ついよそ見って、こんな見通しいいとこで、どうやったらそんな思いっきりぶつかれるんだ? 赤ジャージ、ちゃんと目ぇ開いてるのかよ!!」
 「ん? ああ、まあ、それなりにはな……」
 大して気のない返事に、リュウジはそれはそれはへそを曲げていた。

 そんなこんなで、昼休み。オレが漫画を読んでる隣りの席で、しきりと考え事をしていたリュウジが声をかけてくる。
 「なあ、ハヤト」
 「ん?」
 「なんかこう、妙だよな。おう、妙だ。アレは」
 「何が──ああ、赤ジャージのこと?」
 「おう、その通り。担任の奴があんなふうだから俺も調子狂うんだよな。よし、わかったぜ!!」
 突然リュウジが立ち上がった。

 「ハヤト、ちょっと試してみようぜ」
 「へ?」
 「ありゃ絶対何かあるだろ。俺がつきとめてやるぜ。でもって、事と次第によっては俺が気合い入れ直してやる!!!」
 「おい、リュウジ。気合いって言ったって……。もしかしたら体調悪いだけかもしれないんじゃないのか?」
 「そんなわけねぇよ。赤ジャージ、ここ何年も胃薬ひとつ飲んだことねえって自慢してたぜ」
 「うん、それはオレも聞いたことあるけどさ」
 「だから、俺に任せとけや。な? ハヤト」
 もう、リュウジは興味津々といった体だった。
 あ~あ、こうなっちゃったら誰にも止められないんだってば。

 「じゃあ、作戦な」
 「はいはい」
 こんな時、リュウジの瞳はまるで悪戯好きの小学生みたいにきらめくんだ。
 「とりあえず、赤ジャージが正気かどうか試してみようぜ」
 リュウジは人差し指を立ててこう言った。
 「6時間目、体育だろ? 赤ジャージの授業だよな。俺が試しに脱獄してみるわ」
 脱獄とは、授業中に裏門からこっそり抜け出すことを指す。
 
 「脱獄──でもさ、赤ジャージの授業のときは滅多に成功しないだろ?」
 「もう、ハヤトはわかってねえな。だから試しになるんじゃねえか。もし成功したりしたら、それ自体で奴が変なことの証明にならねえか?」
 「あ、なるほど。リュウジ、頭いいね」
 「……あのな。成績優秀のハヤトが、俺みたく赤点上等の奴に言う言葉か、それは」
 まったくとぼけているんだから、とリュウジのため息がそう語っている。

 「とにかく、試しに脱獄だ。失敗したら今日はそこまでだな。でもって成功したら、そのときはそのまま放課後、赤ジャージを待ち伏せして問い質すぜ。ハヤトは? どうする?」
 「え、オレ? ん~……」
 「もちろん行くだろ? 行くよな?」
 もはや行かない、なんて言える感じじゃないんだよ、リュウジのオレを見るまなざしが。

 そんなわけで、5時間目が終わると同時に、オレは一足先に学校を出た。
 ちなみに、授業中に脱出することを「脱獄」と言うけれど、休み時間に外へ出るのは単なる「散歩」。
 「散歩」は誰にでも比較的簡単にできるけど、それに較べてリスクが大きい「脱獄」は成功すると褒め称えたれるのが常なのだ。

 文字通り散歩気取りで、オレはリュウジに言われたように単車をとりに家まで帰った。
 とはいえ、時間的に言って今日はこのまま校内には戻れそうにないから、これは事実上早退だな。鞄もしっかり持って来ている。

 あ~あ、オレ、実は1学期はけっこう体育サボったからヤバいんだけどな、出席が。
 リュウジの代返は、巧くいくんだろうか。あんまり演技派じゃないんだけどな。
 でも、赤ジャージがあんな調子だったら大丈夫かもね。うん、そう祈ろう。

 すり寄ってくる人なつこい野良猫と見つめ合ったりしながら歩いていたら、いけね、一瞬なんのために出てきたんだか忘れるとこだった。
 
 さてと、リュウジを待たせたら何言われるかわからないから、大急ぎで行きますか。
 午後の陽射しは、明らかに一週間前のそれとは格段に違う優しさを持っていた。
 散歩のついでに川原で昼寝は、また今度だな。
 
 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

何やら楽しげな連載が始まりましたね!
愚連隊君たちの学園生活、賑やかそうですね~
鬼高演出の一場面が脳裏をよぎっていきました。
中々実機では成功しないんですが、さて成功するんでしょうか!成功して欲しいです(笑
毎回実機の1シーンが浮かぶ場面があってとても楽しいです。
脱獄成功を祈りつつ本日はお暇致します!

脱獄

>>単savaさま
こんばんわ~☆
もう9月ですからねえ。楽しく学校通ってるんじゃ
ないでしょうか。奴らは。

たしかに実機だと、なかなか脱獄できないですよね(^^:)
「すきありっ」は2回しか成功したことないです。
案外、隙ありそうなのになあ、先生。だはは。


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