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純情・赤ジャージ 3


 リュウジとオレは、担任の赤ジャージの部屋にいる。
 「へえ、意外ときれいにしてるじゃねえか」
 リュウジの言ったとおり、男性のひとり暮らしの部屋の割りには、ずいぶんと片づいている印象だ。本棚にはきっちり本が並んでいて、鉄アレイなんかのトレーニンググッズが居間の隅を彩っている──このへんが彼の人となりを物語る。
 「そうか? まあ、片づけてくれる人もいないので自分が頼りだが」
 赤ジャージは皮肉そうにすこし笑んで、リュウジに答える。

 「で、さっそく本題だ」
 赤ジャージが振る舞ってくれたコーラをぐっと飲んで、リュウジが切り出した。
 「赤ジャージ、最近様子がおかしいじゃねえか。一体どうしたんだ?」
 「おかしい……とは? リュウジ」
 意外なことを言われたという表情を、赤ジャージは見せた。

 「おい、自覚ねえのかよ……ハヤト、こりゃ重症だな」
 「うん、そうかもね」
 「なんだなんだ、お前ら。いきなり人の家まで押し掛けてきておかしいだの重症だのという言いぐさは」
 赤ジャージは、思いっきりおもしろくなさそうな顔をする。

 「2学期が始まってから、上の空じゃねえか? 赤ジャージ。今日なんか廊下でダイゴに体当たりだし、授業中にもこけたりしてたし。な?」
 「ああ、まあそういう日もある」
 「って、まだシラを切る気かよ!!!」
 リュウジは声を荒らげる。
 オレも見ていられなくて、加勢することにした。
 「そうだよ、リュウジの言うとおり。オレたち、見ていられないんだよ。先生、ここんとこぼんやりしてるじゃん。いつか大きな怪我でもする前に、どうにか解決したほうがいいってリュウジは言ってる」
 
 「……そうか」
 ガラステーブルに視線を落として、赤ジャージは珍しくもしゅんとした声を出した。
 「なるべく感情は外には出さないように気を付けていたつもりなんだがな。そんなに生徒に心配をかけるようでは、俺は教師失格だな」
 赤ジャージはため息をついた。

 「ほれ見ろ。やっぱり何か原因あるんじゃねえか。な、赤ジャージ。いったい何があったんだ? 俺、聞いてやろうと思ってよ、それでここまで来たんだ。な、ハヤト?」
 「うん。そうだね。リュウジはそのつもりだよ、先生。けど、あんまり難しい話だったら、オレらが聞いてもしょうがないからアレだけど」
 代わる代わるリュウジとオレが言うのに、赤ジャージは苦笑いを返した。

 「すまんな──ふたりとも。そんなに教師思いな生徒がいたとは、俺は感激だ」
 「当たり前!! だって俺は赤ジャージの大事な教え子だろ? 親が風邪ひいたら看病するのと一緒だぜ。なあ?」
 リュウジがオレに同意を求めた。頷きながら、そうか、リュウジはそんなふうに思っていたんだ、なんて気付かされた。

 「話すのも恥ずかしいのだがな、本当は」
 観念した、とばかりに片頬で苦笑をつくり、赤ジャージは言った。
 「まあ、有り体に言って、アレだ。まあ──そのう」
 「おい──赤ジャージ、何を真っ赤な顔してるんだ?」
 「大人からかうんじゃない、リュウジ」
 確かにリュウジが言ったとおりだ。赤ジャージはさらに顔を赤くして抗議する。
 
 「珍しいね。先生がそんな顔するなんて。まるで恋でもしてるみたいだ」
 つい口をついて出たオレの一言で、赤ジャージははじかれたように立ち上がった。
 「ば、馬鹿、ハヤト! そんな大きな声で言うな!!」
 「え──」
 「何をそんなに大袈裟な反応……ん? ってことは、アレってソレなのか? 赤ジャージ!!!」
 リュウジに問いつめられて、赤ジャージはこれ以上赤くはできないであろう色に耳まで染めて、こくりとちいさく頷いた。
 
 「へええ。そうなんだ、そうなんだ」
 リュウジはとんでもなく面白いおもちゃを見つけた子供のような顔をしてる。
 「ちょっとリュウジ、からかっちゃ悪いってば」
 「いいから、ハヤト。なあ、赤ジャージ、せっかくだから相談に乗るぜ!! で、相手はどんな女の人なんだ?」
 
 思わず立ち上がったところを座り直して、赤ジャージはちいさい声で口にした。
 「ああ──言うんじゃなかったな」
 「後悔しても遅えって。俺もう聞いたからな。ほれ、言っちゃえって。そしたら楽になるかもしれないから」
 この手の話には、なんでかリュウジは興味津々なんだ。ちょっとかわいそうだな、赤ジャージ。

 でも──そんなに悩んでるんだったら、話してもらったほうがいいのかもしれない。それ自体にはオレも賛成なので。
 「オレたちなんかじゃ役に立たないかもしれないけど、よかったら話してよ」
 「そうだ、そういう話はハヤトの得意分野だからな!! よかったな、赤ジャージ!! ハヤトが相談乗ってくれるってよ」
 「いや、オレは別に……」
 とかオレたちが言っているのは赤ジャージの耳に届いているのか。

 一瞬、何かを逡巡するようにリュウジを見て、それから混乱する気持ちを振り払うかのように、赤ジャージは深呼吸をしてから語りはじめた。
 「相手はな、数ヶ月前に出会った女性だ」
 「へえ。美人か? 相手は」
 「美人というよりは可愛らしいという形容の似合う人だ」
 心を決めた様子の赤ジャージは、純粋な表情をしていた。
 恋するって、なんかすごいことなんだな──とか、オレはそんなことを考えながら耳を傾けている。


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コメント

なんて…(;_;)

なんていい生徒なんでしょ!筋の通った不良はやっぱり漢ですなぁ~♪
いっつも赤ジャージには鬼の形相で追いかけられてますが、今回は心配だなぁ~ハヤトとリュウジがんばってね~!
お!そうだ~熱い視線送りすぎて怖がられてるかもしれませんので…_・)ソォーッ っと見ることにします。次回は夜露死苦~!

教職

>>Tohkoさま
カワイイ生徒っていいですよね~。
わたしも教職とっとけばよかった……。
先生になりたいというよりは、教育実習に行ってみたかった!!! だはは。

>熱い視線送りすぎて怖がられてるかもしれませんので
いえいえ、べつに怖がられたりは!!!
きっとリュウジが照れてるだけですのでご安心を♪

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