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秘密指令・総員ニテ捕獲セヨ 1


 「兄貴兄貴、兄貴~~~っ!!!」
 「おう? ノブオ。どうした、そんな慌てて」
 いつも通りののどかな昼休みを邪魔しにきたのは、ノブオの悲鳴だった。
 天気もいいし暑くもないし──ダイゴが中庭にいるのを見かけて、リュウジとオレも一緒になってのんびりしていたところに、これだ。

 「で、でで、出たっスよ~~~!!!」
 声を裏返らせて言うノブオは、勢いのあまり止まりきれずにベンチに座っていたリュウジに向かって倒れ込んだ。
 「うわ──危ねえってば、ノブオ!! 落ち着けや」
 「あああ、兄貴、スミマセンっス!!」

 「それで出たって、何が出たんだ? お化けでも出た?」
 オレが言うと、リュウジはすこし表情を硬くしてノブオに向きなおる。
 「それだったらダイゴの担当だろ? 俺にはどうにもできねえし、むしろパスだぜ」
 「そういう話なのか? ノブオ」
 「いえ、いや、ダイゴさん、そうだとも、そうでもないとも──でも、やっぱりそうじゃないような」
 「何だよノブオ、もっと解るように説明しろや!!!」
 リュウジの声に、中庭にいた連中がこぞってこっちを振り向いた。
 
 「まあ落ち着けよ。これ、飲む?」
 「ありがとうございます、ハヤトさん」
 オレはノブオに飲みかけのお茶を渡してやる。
 ようやく人心地ついたらしいノブオが話したのは、こんなことだった。

 「オレ、聞いちゃったんです。怪生物が出たって。同級の奴に」
 「怪生物──?」
 「そうなんっス、ハヤトさん。もうウチのクラスじゃその話題でもちきりでして」
 「それで? どのようなものが出たんだ?」
 訊いたダイゴにノブオは意味ありげに頷くと、こう続けた。

 「二足歩行する、陸棲の魚系の生き物を見た、って」
 「ん……? 何だって?」
 「だから、兄貴。足があって、立って歩く魚がいたんですってば!!!」
 「え、え? って、まさか!!! わははははは!!!」
 リュウジは思いっきり笑い始めた。
 それに釣られるように、オレもダイゴもひとしきり笑った。
 もちろん、そんなオレたちを見て──ノブオは頬をふくらませてる。

 「もう、兄貴もダイゴさんもハヤトさんも!!! そんなに笑うことないじゃないっスか」
 「い、いや、だってノブオ。おかしいじゃねえか。想像してみろや! 魚が歩いてるってのを」
 「押忍。ノブオ、それは何かの見間違いだろう。おそらく」
 「うん。オレもそう思う。だって、足があったらそもそも魚類じゃないじゃん」
 「だ、だから怪生物なんですってば! わかってないっス、ハヤトさんもダイゴさんも」
 
 「わはは。まあノブオ。そういう夢のある話は嫌いじゃねえけどな。俺も」
 さすがにノブオは悄げていたけど、リュウジがそんなふうに返すと表情を明るく切り替えた。
 「じゃあ信じてくれるんっスね、兄貴!!!」
 「いや、それはちょっとな。あまりに突飛だし、夢ってほどカワイイ奴を想像できねえもん。歩く魚って言われても」
 「じゃあ──見たら信じてくれます? 兄貴」
 そう言って、ノブオは学ランの内ポケットから一枚の写真を取り出した。

 写っていたのは、緑の木立の風景。画面が暗いので、夜に撮ったものらしい。
 「ほら、コレ見てくださいよ」
 ノブオが指さしたところには……ちいさな銀色の流線形の物体が写っていた。
 「どれどれ?」
 「これじゃないか? ハヤト」
 「ん? 何じゃ、こら?」
 
 「だから、魚なんスよ」
 一見するとナイフか何かのように見えなくもない、フラッシュを反射したその銀色の流線形が確実に魚だと言い切れるほどには鮮明じゃなかったんだけど──
 「ね? で、ここ見てくださいよ。ほら──」
 次にノブオに言われて見ると、その姿は地面から浮いているように見えなくもなかった。
 腹側から出ている、透き通った2本の足にも見える部位に支えられて、確かに言われてみれば自立しているような恰好かも。
 
 「おう──これはすげえな、ノブオ」
 どういうわけか、リュウジは喉を鳴らして唾を飲み込むほどにその写真に釘付けになっている。
 「これは、ひょっとするんじゃねえか?」
 「ええっ、リュウジ。何を根拠に?」
 「根拠は──別に。ただ俺の直感がそう言ってるぜ」
 「兄貴!!!」
 嬉しそうにノブオはリュウジを見た。

 「なあ、ノブオ。この写真はどこで撮ったんだかわかるか?」
 「ええと、『夕映え木立』のあたりだって言ってましたけど」
 「そうか。なるほどな」

 そして──やっぱり──次のリュウジの台詞は、オレにもダイゴにも極簡単に予想のできるものだった。
 「よし、ノブオ。じゃあさっそく放課後行ってみようぜ!! な、ハヤト? ダイゴ?」
 リュウジの両眼は、いきいきと輝き初めていたんだ。

 「俺、そういう生き物を一度写真に撮るのが夢なんだぜ!! UFOとか、雪男とか、そういうやつ!!」
 リュウジの言い分はこうだ。
 「俺も、生き物全般は好きなほうなので。興味はあるな」
 乗せられたダイゴも、もはやこんなふうに言っている。
 「ふうん。オレはべつにそこまで興味ないけど──でも、コイツいかにも食ったら旨そうに光ってるよね。イキがよさそう」
 「ハヤト!!! 食っていいもんと悪いもんがあるだろ!!! 分別つけろや」

 そういうわけで、オレたちの怪生物探索の幕が開いたわけなんだ。

 

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