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秘密指令・総員ニテ捕獲セヨ 3


 「貴様等、こんなところで何をしていやがる?」
 ぎろりとオレたちを睨んでコウヘイは声を絞り出す。
 「何だっていいだろうが!! 別に俺らがどこにいようと、誰に断る筋でもねえぞ」
 「…………」
 
 夕映え木立で陸棲の怪魚を探していたオレたちの前に4人──暗黒一家が立ちはだかった。
 よりによって何でこんなところに奴らが、と思ったが、よく考えてみればこの場所を下りて国道を挟んだ向かいには、暗黒水産高校が位置しているんだ。

 「無用な争いをしている余裕は皆無、ただちにここを立ち去れ」
 幾分顔色を青ざめさせて、コウヘイがこんなことを言う。
 「いや、その気はねえな。悪いが」
 対するリュウジはおのれの意志を曲げるつもりは毛頭なさそう。
 「遊びで言っているんじゃねえ。頼む、今日ばかりは引いてくれ、リュウジ」
 どうもコウヘイの気配はいつもと少々違っている。

 「頼むと言われたところで、なあ、お前ら」
 とリュウジはオレたちを見回した。
 ダイゴは力強く首を縦に振り、木からおりてきたノブオもこくりと頷く。オレは目でリュウジに同意を伝えた。

 「リュウジ──貴様!!! 俺がそこまで頼んでいるのに──」
 ひときわ大きく言うなり、コウヘイはリュウジに躍りかかった!!
 「お……?」
 虚をつかれたリュウジが応戦する間もなく、コウヘイはリュウジの頬に拳をかざす。
 「ここは貴様等の出る幕じゃねえぞ、ゴラァァァ!!!」
 凄まじい怒号を放って、コウヘイが2度3度とリュウジを拳で翻弄した。

 「コウヘイ──やりやがったな!!!」
 一旦地面に膝をついたリュウジが体勢を立て直す。ようやく戦闘ポーズを決めると、今度はリュウジの素早い拳がコウヘイに向かって繰り出された。
 
 リュウジの2発目をきわどく避けながら、コウヘイが叫ぶ。
 「お前等、総力戦だ!!! ここは死ぬ気で守るのだ。何とあっても容赦するんじゃねえぞ」
 「モンガー!!」
 「わかりました、総帥!!」
 ゴンタとタカシは了解の意を表して、即座にそれぞれ相手を見据えて間合いをとりはじめた。
 まったく理解できないまま、リュウジ以下のオレたちはここ夕映え木立で死闘を繰り広げる羽目に陥っていた。

 ゴンタはダイゴに体当たりを喰らわせる。
 タカシはノブオに平手で襲いかかる。
 無論、ダイゴもノブオもやられる一方ということはなく──そこかしこで鈍い音をさせながら、双方は体を張っている。

 「ハヤト──」
 いつもと目の色も声色も違うハンゾウがオレの前に立つ。
 「──おう」
 いつもは喧嘩には手を出さない、オレとハンゾウの対峙。
 よもや拳を使うことはあるまいが、つい気迫に呑まれてオレも胸の前で掌をかたく握りしめている。
 「ここは通さない。早く撤収するんだ」
 ハンゾウの冷ややかな声がオレに言う。
 「オレはまだしも、意味もわからないまま引き下がるような漢に見えるか? ウチの総隊長が」
 コウヘイと死闘を演じるリュウジの視線は、すでに争いのきっかけが何だったかなどどうでもいいという風──ただ出現した目の前の敵を倒すことしか見えていない。

 「それに、ウチの連中はみんなリュウジに従うんだ。どんな時だってね」
 ダイゴは深い声を出しながらゴンタに挑んでいる。腹に一撃を喰らったようだが、鍛えた腹筋でなんとか持ちこたえている。
 ノブオのほうもやられたらやり返す生来の性格でもって、タカシに連続して平手を見舞っていた。

 「それなら──仕方ない」
 「え──ちょ、ハンゾウ……」
 自らを鼓舞するような口調でハンゾウが言うと、なんとハンゾウがオレに向かって間合いを詰めてきた!!
 オレが怯んだその隙に、ハンゾウの手刀がオレの頭を襲った。
 久しく喧嘩などしたこともないオレには、正直かなり効いた──
 一瞬目の前に火花が散ったところで、オレはいよいよ今日ばかりは傍観者でいられないことを悟った。

 そのあとは無我夢中だった。
 オレは今まで、こんなに自分の拳の無力さを痛感したことはなかった。
 ハンゾウに拳を命中させたところでまったく威力はないらしい。
 とはいえ、ハンゾウの攻撃自体も不意打ちの最初の一撃は別として、オレに耐えられない程度ではなかった。
 弱いながらもおそらく互角のオレとハンゾウの、それでも真剣な闘いは続いた。

 緊張を解かずに周囲を見れば、どの組もまったく決着はついていないようだ。
 とくにコウヘイとゴンタの襲撃はいつもより執念深さが見て取れる。
 ゴンタが雄叫びを上げつつダイゴに突進したのを見て──拙いことにオレに隙が生まれていた。

 「それ……ッ!!」
 「う……わ……っ」
 思わぬことに、オレは脛にハンゾウの蹴りを喰らっていた。
 単車に乗るときはブーツで守っているそこに与えられた一撃は、オレを地面に伏させるには充分だった──

 痛みのあまりうずくまるオレ。早く立って応戦しないと──
 リュウジにこんなところ見られたら、あとで何て言われるか──
 
 痛みと呼応して、鼓動が重く胸をたたく。
 心臓のあたりに手をやりながら、立ちあがろうとしかけたオレの目に──それは突然映りこんだ。

 「あ──あれ? 何──これ?」

 昨日の晩に食卓に上がったサンマを思わせる形をした、掌に入るくらいの大きさの銀色の鱗をもったソレは、屈したオレをあざ笑うかのように、水のない木立を泳ぐように横切っていった──。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

携帯からw

華丸さま~
携帯からホント快適に読ませていただいてます。
コメ書くのはPCのがいいのでこちらから失礼おばw
足のある魚・・・
みつけたくなぃ・・・みつけたくなぃ・・・
と思うと見つけそうなので森や林には目を向けないように気をつけてます(笑)

いますよ~~~

>>Tohkoさま
携帯からの閲覧は、ご不自由ないですか?
まあ、ムダに文字数おおいから、ほんと暇つぶしにはいいんじゃ
ないかと愚考してますが(^^:)

>足のある魚
きっといますよ~。
あなたの町の林の中に。だはは。


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