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秘密指令・総員ニテ捕獲セヨ 4

 
 「え~と……。いま何か見たような」
 ハンゾウの蹴りを喰らって倒れ伏したオレがここ、夕映え木立の中で見たものは、言葉を失うには充分すぎるものだった。
 ノブオの友人が見たという、陸棲の怪魚っていうのはアレだったのか?

 「ハンゾウ──見た?」
 「ああ──」
 有り得ないものを見たオレとハンゾウは、思わず視線を合わせて息を呑む。
 そして──

 「リュウジ!! いた!!! オレ見ちゃったよ」
 「総帥──いました」
 同時に叫んだオレとハンゾウを、みんなが振り返った。

 「何……」
 コウヘイはリュウジに振り下ろす予定の拳を下げて、ハンゾウのもとへと駆けつけた。
 「ハヤト!!! どこだ?」
 リュウジもまた、叫びながら目を輝かせてオレの横へ。
 
 「うん。ほら、そこの茂みに一瞬。な? ハンゾウ?」
 「ああ、ハヤト。総帥、たしかに今、ここに」
 「して、今は?」
 コウヘイはオレを見据えて訊いた。
 「ええと、またその辺入っていったみたいだ」
 オレの答えを聞くと、すぐ後ろを取り巻いていたゴンタが飛び出してきて、オレの指した雑草群を掻き分け始めたのだ。

 オレたちは7人とも、ゴンタの手元を息を殺して見つめている。
 しばらく後、ゴンタは力無く振り返り──悲しそうな目で首を横に振った。
 「そうか。やはり簡単には捕まらんか」
 ふっとコウヘイはため息をついた──

 両軍の目指すものが同じ、二足歩行する魚だったということが明らかになった。
 しかも──コウヘイら暗黒一家の怪魚への姿勢は、オレたちのそれとは確実に違う意味合いを持っているということが、珍しく話し合った結果わかったんだ。

 「いえね、オレの友達が写真を撮ったのがきっかけで」
 「オウ。ノブオの言うとおりだぜ!! 俺は世の中の不思議ってのに興味がある。でもって、鬼浜町にそんなのがいるんだったら、是非記念撮影してえな、と思ってよ」
 「そうか」
 怪魚を探すきっかけと理由をコウヘイに尋ねられて、ノブオとリュウジがそう説明した。
 8人で雁首並べて会話らしいことをしてる──なんて、ほんとに意外な光景だ。

 「で? コウヘイらは? やっぱ噂聞いて来たんだろ?」
 「いや──」
 コウヘイはまだ手近な草むらを手で掻き回しているゴンタに目をやりながら、リュウジに答える。

 「そもそもこれは俺等の落ち度だから仕方ねえ」
 「総帥──」
 ハンゾウに皮肉めいた笑いを見せてコウヘイは続けた。

 「貴様等に言っても仕方ないことなのだが、あれは我々暗黒一家の所有物だ。秘かに守っているので、存在を知る者は限られているのだが」
 「ええっ!! そ、総帥!! いいんですか? そんなこと言っちゃって」
 「タカシ。静かにするんだ」
 「……ハンゾウさん」
 暗黒一家の面持ちは日頃とは大分違っている。切実さとか、憔悴とか、いつもなら無縁の向きが浮かんでいた。

 「コウヘイ、なんか深い訳でもありそうだな」
 「ああ──」
 あまり多くを話したがらないコウヘイに、リュウジは懸命に語りかける。
 「お前ら、意地でもあの怪魚を探さねえといけねえんだろ?」
 ちらりとコウヘイの視線がリュウジを見やる。
 
 「しかも、秘密裏に事を運ばなければならんと見た」
 リュウジの指摘に暗黒一家の面々は誰も答えず──否定できない立場であることを空気に滲ませていた。

 「なあハヤト。お前確かに見たんだろ? 怪魚」
 「ああ、見たよ。リュウジ」
 「ってことは、もう気のせいだとかそういう誤魔化しはきかねえってことだぜ、コウヘイ」
 「…………」
 
 コウヘイをすっかり黙らせてしまうことを得たリュウジがその先を続けた。
 「コウヘイ、ここはひとつ共同戦線を張らねえか?」
 「何……?」
 リュウジの思わぬ提案に、場にいた7人はそろってリュウジを見た。

 「何だか知らねえが、お前らが真剣に怪魚を探さねえと拙い理由があるのは心得た。そんな本気を俺が黙って見過ごせると思うか?」
 「それは──単なる興味本意なのか?」
 「コウヘイがどう思おうと勝手だか、俺には俺の正義ってもんがある。ちっとは解ってもらえると嬉しいぜ」
 リュウジがすこしやわらげた表情でコウヘイに言った。

 「それによ、とくにハヤトは現物を見たんだし、このまま俺らを追い返したら話に尾ひれどころか二本足までついて鬼工じゅうに広まるぜ? だからたとえ面白くなくても、俺らと一緒に怪魚を探そうぜ!!! 俺な、ひとめ見たら満足するからよ。秘密は守るし」

 絶対にコウヘイは否やを唱えるんだろな、とオレは思った。
 だが──
 「人数は倍、か。背水の陣の俺たちには願ってもない援軍だと考えてもいいか? お前等」
 コウヘイは静かな声でハンゾウたちに尋ねている。3人は無言のまま──総帥のいいように、と目顔で返しているといったふう。
 
 「リュウジ、信じてよいのか?」
 「オウ、当然!!!」

 そしてオレたちは──両軍を敵と認めてから初めての共同戦線とやらを張ることになったんだ。
 そろそろ日が暮れる。
 木立の向こうの海の方角から差し込む夕焼けに、誰の頬もオレンジ色に染まっていた。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

何ぃ~?なんなのぉぉ~??

コウヘイたちとあの魚の関係って一体・・・
しかも実在するものだったのッ?
さっきまで殴り合ってた彼らが手を組んでまで
探すなんて・・・謎は深まるばかり・・・・

それにしても華丸さん、どのくらいのペースで
お話書いてるんですか?一日一話?
それとも書きためているんですか?どちらにしてもスゴイ!

いい質問!!

>>ピノコさま
さ~て、奇妙な魚って一体(^^:)
まあ、暗黒一家の存在自体が謎だし。だはは。
そもそも水産高校っていったいどんなんだろ?
とか不思議。ぜんぜん馴染みがないので。

で、本作について質問いただきましたのでご回答を。

これ、実はストックしてます。
ワープロソフトに入力してるんです。
毎日書いてはいますけど、今日書いてるのは数日
先にUPする分です。
仕事とパチスロと就寝の合間に書いているので、
なかなか進まないことも多々アリ。だはは。
おかげでテレビ見なくなりました。
ストック切れが怖いで~~~っす!!! スロと一緒。

一日に書く分量は、まちまちです。
休前日には意外とがんばります。
休日は打ちに行かなければがんばります。

気になったので、ちょっと調べてみました。
いつも使ってるワープロの書式はわざと横書きに
しているんですが、それを原稿用紙換算に直して
みたんです。
今回の記事の分量は、原稿用紙約8枚分でした。
これが最近の標準の文字量です(最初のころの
は不揃いでした)。
横書きでの閲覧に耐えうるように、縦書きなら
不要な空行を入れているのもあるせいですけど。

ここまで、総分量は原稿用紙500枚ですって!!!
自分でびっくりしました。だはは。
文庫1冊分ですな。たぶん。

なんだかんだ、もうちょっとがんばるのでお付き合い
くださいませ (*^ー^)ノ
夜露死苦ぅぅぅ!!!

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