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秘密指令・総員ニテ捕獲セヨ 6


 あたりをしばらく探してとくに収穫もなく、オレたちは一休みとばかりに、夕映え木立の中央にある本日の拠点と定めた広場に集まって、ひとまず腹ごしらえをしていた。

 「はい、兄貴。ハヤトさんはこっちでいいっスか?」
 「ん、OK。サンキューね」
 「おう、イチゴ牛乳も!! ありがとな、ノブオ」
 オレらはノブオチョイスの軽い夕食を、ありがたく受け取っている。
 
 「ノブオよ、あれはどうした?」
 「あ、あれならこっちの袋に……ありました、バナナ!! はい、ダイゴさん」
 「押忍、どうも……ん、ゴンタも欲しいか?」
 「──モンガー!!」
 「ゴンタ、好きだものな。バナナ」
 「悪いな、鬼浜寺の」
 そんな光景を、コウヘイとハンゾウが見て笑ってるのが不思議だった。

 「ゴンタさん……こっちにもありますけど」
 タカシが笑い顔で言っている。それへリュウジが気安く応えた。
 「まあ、いいじゃねえか!! みんなで食えば。な? コウヘイ」
 「まあ……な。今日ばかりは特別だ」
 ある意味暗黒一家の手助けをしている形のオレたちに、コウヘイは幾分申し訳なさそうな、遠慮がちな顔をときおり見せている。
 そんなコウヘイに、リュウジは意外にもすこし気を遣っている感じ。雰囲気だけど。

 なんとなく会話しながら、でも時折なんとなく気まずくなりながら──初めてするデートみたいな感じかな?──オレたちはいつもとは違う緊張を感じている。
 一瞬会話がとぎれた隙に、オレは訊いてみた。
 「ところで、佐藤先生ってどんな人なんだ?」
 みんなが──リュウジたちだけじゃなく、暗黒一家の4人も揃ってオレを見た。
 「どんな──とは?」
 「うん。何っていうかさ、コウヘイたちがやけに尊敬してそうに見えたから。そんなに凄い人なのかなって」
 「ああ、ハヤトは訊いてみろって言ってたもんな、コウヘイに。ま、よもやそれが叶うとは思ってもみなかったぜ!!!」
 リュウジがおもしろそうにそう言った。

 「で、実際のところ、どうなんだ?」
 リュウジの問いかけにコウヘイが応える。
 「ああ──佐藤先生はな。激するわけでも厳しいわけでもなく、静かな人なのだが威厳がある。間違ったことを押しつけねえしな」
 コウヘイの言に、3人も首を縦に振った。
 
 「ふうん。でも……それだけか?」
 「いや。ただでさえ尊敬に値するのに加えて──」
 「総帥の恩人なんだ。佐藤先生は」
 幾分言いにくそうにしていたコウヘイの後を、ハンゾウが続けた。
 コウヘイはそれへは何も言わない。
 
 「恩人、か」
 コウヘイもハンゾウも、それ以上は何も話すつもりはなかったらしい。雰囲気がそう伝えている。
 だからオレたちもその先は聞かずにおいた。けど──気になるな。
 まあ、続きはもしもまたの機会があったならば訊いてみることにしよう。

 しばし腹ごしらえを済ませたあと、オレたちは予定通りの任務につくことになった。
 ますはオレたちが仕掛けの見張り役、暗黒一家が周囲の捜索という分担。
 仕掛けから伝わる紐の端を持って、ときおり懐中電灯で周囲を照らしながらオレたちは待機している。

 あんまり騒いだらマズいような気がするし、そもそもリュウジたちの持ち場も近くはないし、辺りは暗いし、静かだし、暑くも寒くもないし──居眠り癖をいつもリュウジに指摘されてるオレが、こんなチャンスを逃すはずはなかった。あはは。
 その気はなかったんだけど、ついうとうとしてしまったらしい。
 「おい、こんなとこで寝るんじゃない」
 背後から声をかけられて、オレはびくっとなって背筋を伸ばして、反射的に謝ってみる。
 「うわ、ごめんなさい!!!」
 声の主は近くを捜索していたハンゾウだった。懐中電灯でオレの顔を照らしてた。

 「ふん。隙だらけじゃないか。ハヤト」
 「いや~、そんなつもりじゃないんだけどね。あはは」
 「まったく──こんなに緊張感のない男との勝負に手こずるとは。俺もまだまだだな」
 なんだか悔しそうにそんな台詞をハンゾウは吐く。オレは返す言葉もなく、無意味に笑うだけ。

 と──その時、風もないのに草むらが揺れた。
 「あ──れ、……ハンゾウ?」
 オレの声にハンゾウは、しッ、と手振りで示す。声を出しちゃいけないらしい。
 もしかして、怪魚──モモコが罠にかかるのか?
 オレは完全に目を覚まして、神経をとがらせて手にした紐の先にある仕掛けを見つめている。隣に身を低くしているハンゾウも、息を詰めて同じ箇所に視線を送る。

 暗がりの中、仕掛けに近づいてくるひとつのちいさな生き物の影。
 その影が完全に仕掛けのザルの中に入った瞬間──オレは紐を引っ張って、ザルを地面に伏せることに成功した。中には獲物が捕らえられている!!!
 「やった、ハンゾウ!!!」
 「ああ」
 目配せしあったオレとハンゾウは仕掛けのそばに近づいて、慎重にザルの中を確認しようとする。
 オレとハンゾウの様子に気付いたみんなはいつしかオレたちの周りに集まっていた。
 みんな、オレの手元に注目していたが、不器用なオレを案じたリュウジが自らザルに手をかけた。
 左手には捕虫網──タカシが差し出したものだ──の柄を短くもって、リュウジが捕獲の構えを見せる。
 一瞬、リュウジの肩に気合いがみなぎったと思うと、次の瞬間ザルは地面を離れてリュウジの手に。
 と──オレが捕らえた獲物は、オレたちの誰もが想像しなかった姿をしていた。

 「あれ……」
 リュウジが首を傾げるより早く、獲物は地面とザルの隙間から体を現して──瞬く間にオレたちの目の前を横切っていく!!!
 よく見ればそいつの体表は暗褐色の毛に覆われていた。しっぽは細くて長くて、仔猫くらいの大きさのそいつは、残念ながらモモコではなくて……どうやらネズミか何か。

 「ん? ネズミ……だったか?」
 リュウジが言うと、これへ強い反応を示したのはゴンタだった。
 「お……? ウオオオオオ~~~!!!」
 恐慌を来したかの如く、ゴンタはネズミが入っていった草むらから逃げまどうように、木立の中を迷走しはじめた。
 ずいぶん遠くで、まだ叫んでいるのが聞こえている……。

 「え~と、奴はどうしたんだ?」
 リュウジが訊いたのへ、コウヘイはため息を寄越した。
 「ああ……仲間の弱みを晒すのはどうかと思うが、露見しちまったら仕方ねえ。ゴンタの唯一の鬼門なのだ。ネズミは」
 「誰にでも苦手なものってあるんっスね……」
 ノブオが感心したように呟いた。

 なんていうか──今日はいろんなことがあったなあ。
 遠くで聞こえるゴンタの悲鳴を聞きながら、オレたちは顔を見合わせて「へええ」なんて声を出していた。

 

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