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秘密指令・総員ニテ捕獲セヨ 7

 
 意外にも弱点だったネズミの出現に怯えたゴンタがなんとか落ち着いて戻ってくると、今度はオレたちと暗黒一家が役割分担を変えることになる。
 今度は暗黒一家が仕掛けの見張り、オレたちが周囲の捜索の係だ。
 ゴンタはまだ冷や汗をかいていて、本当は一箇所にじっとしていたくはないようだったんだけど。

 ともかく、じっとうずくまっていて居眠りしちゃうよりマシな感じのオレには、願ってもない役割交代だった。
 辺りを懐中電灯で照らしたり、何かの気配のあるような気がする草むらやら木の根本やらを手探りするのは、案外わくわくして楽しいもんだった。

 暗い中を歩いてみると、夕映え木立は昼間に感じたよりもずっと広く思えた。
 適当なところを探しながらうろつくんだけど、ちっともリュウジやダイゴと鉢合わせにならないのが不思議なほど。
 かくしてオレは積極的かつ慎重に周囲に気を配りながら、あちこちを歩き回っている。
 夏の名残の草いきれと、秋の虫の声をこんなに身近に感じるのって、たまにはいい感じ。
 
 「お、ハヤト。目は覚めたか?」 
 「ああ、リュウジ。うん、何とかね。わはは」
 歩き始めてしばらく後に、初めてリュウジの姿と出くわした。
 「それにしても一体何なんだろうな、モモコってのは。俺らに足に見える部分がヒレの変形したもんだっていうコウヘイの説明は納得するとしても、だ」
 リュウジは真剣に不思議そうに言う。
 
 「えら呼吸かどうかとか、水の中じゃなくても生きられるとか、そういうこともあるかもしれねえよな。よく知らねえけど。でもよ、人間に懐くってのが俺にはわかんねえぜ」
 「うん。そうだね。懐くなんて水族館のイルカくらいじゃないの?」
 「おい──ハヤト。イルカは魚類じゃねえだろ」
 「え、あ、そうか。わはははは」
 「あ~あ、やっぱりお前はハヤトだな」
 リュウジはがくりと肩を落として──そのまま木立の向こうへ歩き去っていった。
 あらら、呆れられちゃったよ。オレ。

 まあ、自業自得だし、そんなことより任務があるしとオレもふたたび草むらに屈み込んで手探りを始めた。
 正直言って、モモコは本当に見つかるんだろうか。そんな気持ちが去来するけど、とにかくやるだけやってみないと。
 何事にも前向きなリュウジと行動をともにするようになって、オレだってこれでもずいぶん前向きになってると思う。
 以前だったら、たとえば単車勝負で負けたりしたら、しばらくは単車なんて乗りたくもなかったもんな。今では『次こそ』って思えるんだ。

 そんな独り思いをよぎらせながら、オレは収穫のなかった草むらからポイント変更をしようと立ち上がった。
 さて、次はどのへん探そうかな、としばらく歩いていると、木立の入り口付近──国道とその向かいの暗黒水産高校を見下ろすあたりにダイゴが立ちつくしているのが見えた。
 ちょっと声でもかけてみるか、と近づいてみる。

 「よっ、ダイゴ。首尾は……」
 「しッ、ハヤト。ちょっと静かに」
 ささやきにトーンを落としたダイゴの声がオレを制した。
 思わず口を手でおさえてダイゴを見ると、その分厚い掌には数珠が握られていることに気付く。
 なんだろ、と思いながらも一歩下がってダイゴを見ている。
 耳を澄ますと、ダイゴはちいさく念仏を唱えていた。

 「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏──」
 大きな背中に緊張を滲ませて、ダイゴはひたすらその語句を繰り返している。
 オレは見守りながら自然と背筋を伸ばしており、胸の前で自然と両方の掌を擦りあわせていた。

 と、しばらく後。念仏は止み、ダイゴは大きく一礼したかと思うと──ポケットから何かを取り出して、闇に向かってぱらぱらと散布した。
 そして数珠を握り直してまた一礼。今度のは深く、長い礼だった。思わずオレもそれに倣う。

 「これでよいだろう」
 まだ緊張の残る面差しでダイゴはオレを振り返ってそう言った。
 「ええ……と?」
 「ちょっとした供養を、な」
 頷くダイゴの額には、暑くもないのに玉の汗が浮かんでいた。
 「以前、暗黒水産が古戦場跡に建っていると言っただろう?」
 「ああ──コウヘイが怯えたときの話?」
 思い出した。オレたちが鬼浜寺で修行をした直後に因縁をつけてきたコウヘイを、ダイゴは拳を使わずに退却させたことがあった。
 そのときに功を奏したのが、ダイゴのこの言だったんだ。

 「そうだ。あれ以来、俺にも気になっていてな。いつかは供養せんといかんな、と。夕方ここへ入って感じたのだが、どうやらこの辺りもその気配があったのだ。それで好機とばかりに、こっそりと供養を思い立ったのだ」
 「へえ……え。で、念仏唱えて?」
 「ああ。清めの塩も撒いておいたので、これで少しはよいだろう」
 「そうか。さっき撒いてたのって塩なんだ」
 ダイゴは太い首を縦に振る。
 「ダイゴってさ、いつも塩とか持ってるんだ?」
 「押忍。商売道具みたいなものだからな。あと数珠も携帯している」
 「はは、そうなんだ。じゃあダイゴがいれば安心なんだなあ」
 そうか? というふうな笑顔をダイゴは見せた。

 「とにかく、この件はリュウジには内緒にしておこう。ハヤト」
 「ああ、そうだね。リュウジ案外こういうの苦手だっけ」
 「それからコウヘイにも、な」
 「あはははは、そうそう!!! コウヘイきっとモモコそっちのけで逃げ出すからね」
 ふたりして忍び笑いなぞしてみた。

 「おい──貴様等、俺の名を呼んだか?」
 と、姿は見えないが闇の中からコウヘイのものらしき声が聞こえた。
 「い、いや、気のせいだぜ!!!」
 つい大きな声で応えてしまって、ダイゴに口許を押さえられた。

 そんなわけで、オレたちのモモコ捕獲作戦は任務完了を遂げぬまま深夜に及んでいた。
 ただでさえ静かな夕映え木立にいよいよ虫も鳴かない静寂が訪れていた。


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コメント

見つからないですねぇ

モモコ。
それにしても鬼浜と暗黒のヤツラが
仲良くしちゃってるのがおかしい!
やっぱムードメーカーはリュウジよりもハヤトかしら?
この華丸さんの描くパラレルワールドが頭に残っちゃって
スロ打つとき、あきらかに隣の人とは別の鬼浜町が
私の頭にはあります。変な感じ(笑)

書きためてるにしてもすごい量ですよね。すばらしい!
ホント、1冊の本になりそう。書いてる時間帯も
仕事と就寝とスロットの合間というのにも感動しましたッ!
打つのも重要ですものね!うんうん。

こわいよぉ;;

な・・・なにが出たんでスカイ??;;
ダイゴ・・・ちゃんとお祓いしてください;;
お化けこわい;;

うーん、モモコの正体はいったいなんだろう・・・
顔のイメージとしては「ウーパールーパー」
歩き方のイメージは「エリマキトカゲ」

え?華丸さんw今笑ったでしょ?
この2匹で笑えちゃうとヤバイx2w
つーか書いてる私が一番ヤバイwww

案外

>>ピノコさま
ですよね~。やっぱおかしいですよね~。
わたしも仲良くしてるのはおかしいと思うです。
とか自爆してみる。だはは。

ハヤトは、ムードメーカー……なのかなあ。
意外ととぼけたヤツみたいなのでwww

>スロ打つとき、あきらかに隣の人とは別の鬼浜町
なんか、毒しちゃってますねえ(^^:) いいんでしょうか……。
そもそも「体育教師」=「赤ジャージ」の時点できっと
ほかの打ち手とは違うんじゃないかと……。

わたし、打ちながらネタ探してます。
喧嘩するにも理由って、きっとあるんじゃないかと
思うわけで。
そうか、雑念が多いから勝てないのかあ。わたし。






ええ、笑いましたとも!!!

>>Tohkoさま
ダイジョウヴです!!! ダイゴがついてます!!!
察するに、ダイゴの鬼浜寺は浄土宗のようですよ。
ダイゴ、「南無阿弥陀仏」って勝負のとき唱えますからね。

>顔のイメージとしては「ウーパールーパー」
>歩き方のイメージは「エリマキトカゲ」
だはははは。笑いましたってば!!!
ヤバい? わたしヤバい……?
あ~、やっぱモモコは魚類じゃないのかもなあ。
両生類なのかなあ。

つーか、わたし両生類ニガテなんっスよ~~~。
パルサー系打つけど、リアル・カエルはムリ!!

ヒヨコ??

え……?

>>ベンジさま

ヒヨコ……? って?

カリメロしか思いつかないんですが(^^:)

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