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叢中に咲く一点の紅い花 1


 学校のアイドル、っていう存在はどこにでもいるもんだ。
 実はウチ、鬼浜工業高校にもアイドルがいたりする。
 その名は──千晶ちゃん。
 
 鬼工の男女比は9強:1弱といったところか。オレたちのクラスには、女子はひとりもいない。
 けれども、千晶ちゃんはオレと同じ2年B組の生徒だ。
 ちょっと不思議なことかもしれないけど、学校じゅうがそれと認める現在の鬼工のアイドル・千晶ちゃんは、戸籍上の性別は男子なんだ。
 本人の、アイドルたる自覚。男子生徒たちの同意。それから、女子生徒にもその座にいることを許されている絶対的優位。
 すべてにおいて千晶ちゃんは完璧だ。ただ、カラダの性がちょっと違うだけ。

 誰が見ても可愛い千晶ちゃんは、鬼工のアイドルである自分にプライドを持ってる。
 「いかに可愛くあるか、っていうのはね。あたしにとっての挑戦テーマなの。外見だけじゃなくって、なんて言うのかな。演出することも必要かな、って」
 「へええ。苦労してるんだなあ、千晶ちゃん」
 「そんなことないよ。楽しいもん」
 くすりと笑う薔薇色の頬。まるで苺のマシュマロみたいな感じ。

 その頬を、話しながらリュウジがつついている。
 「もう。やめてよ、リュウジ」
 「ん? いいじゃねえか。別に。なあ、ハヤト?」
 「え~と、いや、オレは……そんな女の子のほっぺをつっつくなんて」
 「そうよね、ハヤト。さすがだわ。わかってる。リュウジって鈍いなあ」
 「あ──そうか。千晶ちゃんは女の子か。わはははは、悪い悪い」
 華奢な細身。身長も160cmには遠く及ばない。顔立ちは童顔で、当たり前のように髭なんて生えていない。ふっくらした唇がいつもつやつやしている千晶ちゃん。
 わざと大きいサイズを選んで男子用の長袖ワイシャツを着ているのが、いっそ倒錯的でもあるような。

 概ね女性に弱いリュウジが、おそらく唯一気軽に話せる同世代の女の子は、いま現在はこの千晶ちゃんだけのようだ。
 だって、リュウジが人前で女の子の顔に触れるなんて──おそらく本人だって想像もつかないんじゃないか?
 もっとも、ときどき女の子として扱うのを忘れるからなんだけどね。
 
 「ね、そうだそうだ。リュウジ。こないだ言ってた相談って? また恋でもしたの?」
 「うわあああ、千晶ちゃん!!! そんなことハヤトの前で言うな!!!」
 「え──」
 あはは、リュウジってば顔を真っ赤にしてるよ。
 で、真っ赤な顔で今度は千晶ちゃんの口を手で押さえてる。
 「ん~~~っ!!!」
 「あ~、だからリュウジ!! そんなことするなってば」
 「あ……悪ぃ」
 リュウジは千晶ちゃんにぺこりと頭を下げた。

 「で、リュウジ、好きな娘いるんだ?」
 「ちきしょう、ハヤトめ。笑うなや!!!」
 「わ、やめ……痛っ!!」
 ──オレには容赦ない拳固が襲ってきた。
 そうか。この違いを見ると、千晶ちゃんを別格として捉えられてるんだな。リュウジは。
 とか思いながら、オレは痛む脳天をさすってみる。

 「うわ、たんこぶ」
 「ふん。自業自得だ。思い知ったか」
 「つーか、いったいオレの何が悪かったんだよ……」
 「あは、仲いいねえ、ふたり」
 千晶ちゃんはオレたちを見てくすくす笑っていた。やれやれ。

 「なあ、そういえば千晶ちゃんって単車乗れるんだろ?」
 リュウジが無理矢理に話題を変えようとしてる。見え見えなのがおかしい。
 「あたし? うん、乗れるよ。けど、そんな話したことあった?」
 「いや。森園に聞いたことがある」
 「あ、野球部の。そっか。去年同じクラスで、免許とりに通ってたときそんな話したかも」
 「へ~。オレ初耳だな」
 「そう?」
 千晶ちゃんは、えへへ、なんて笑い方でオレを見た。

 「まあね。あたしハヤトたちみたく夜遅く走りに行ったりしないもんね。だって夜更かしは肌によくないし」
 「ははは、そうかもね。オレもけっこう荒れるからな。前の晩遅いと」
 「え? ハヤトもそんなこと気にするのか? 俺は──あんまり変わんねえ気するけどな」
 リュウジは首を傾げて頬を撫で回してる。

 「でも、あたし結構スピード出すの好きだよ。ときどきお巡りさん巻いちゃうし」
 「って、あんまりオレたちとやってること変わらないかも。千晶ちゃん。案外逞しいな」
 意外な言葉に、オレはなんだか感心してしまった。
 「え~、そう? 逞しいって褒め言葉?」
 「わはははは、もちろん褒め言葉だぜ!!! なあ、ハヤト?」
 「うん。一応そのつもり」
 「ま、いいや。そういうことにしとこう」
 千晶ちゃんはくすくす笑ってる。

 「なあ、千晶ちゃん。今度俺らと一緒に走ってみねえ? 夜遅くなきゃいいんだろ?」
 「う~ん、そうだね。あと陽射しの強いのもパスだけど」
 「なんだよ、注文多いな。でもま、そんな機会があったら来てみろや!! たまにはいいぜ。大勢で走るのも。な、ハヤト?」
 「だね。ひとりの時とは別の楽しみがあるよ」
 「そっか。んじゃ考えとくね」
 背中にかかるストレートの髪の毛をかきあげながら、千晶ちゃんはそう応えた。

 「で、それはそうとリュウジ、例の相談って? オレが乗ってやってもいいけど?」
 「だ~~~、そんなこと忘れろよ、ハヤト!!!」
 あはは、また真っ赤になってるのがおかしくて、オレはついついからかってみる。
 ──まあ、もちろんまた武力制裁がくるんだけどね。
 さっきと同じところを狙った拳固が、さ。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

わくわく♪

リュウジの恋ネタきましたね♪楽しみ~!
っていうかー、千晶ちゃん何モンだぁ?!
いつも想像して読んでいますが
今回の千晶ちゃんのキャラが私の中で固定しませんw
かなり美少女な男の子って感じですか??

>>ピノコさま

今後の展開は、さ~て、どうでしょう?
ん~、ご想像どおりに進みますやら(汗)

千晶ちゃんは、アレです。
れっきとした美少女です。でも性別だけ男子です。
そう思っていただければ幸いです!!!

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