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疾走ロード 6

 そして、またしばしの沈黙。
 空には雲が白い。波頭も同じくらい白い。

 「俺さあ、マキ姉のこと、好きだったんだろうな……」
 いつになく消え入りそうなリュウジの声。オレは何故だか胸がせつなくなった。
 だから、リュウジの逞しい背中を数回、ぽんぽんと叩いてやった。

 「食べて欲しかったぜ、俺の力作。あ~あ。俺、シュウマイどこへ忘れてきたんだっけな」
 「あの包み? あれ、リュウジが落としたからオレがお姉さんに渡しておいたぜ」
 「え、本当か?」
 「ああ」
 オレが親指を立てると、リュウジの顔がほころんだ。

 「よくやってくれたたぜ、ハヤト。やっぱりハヤトを頼りにして正解だったぜ」
 「わはは、どうも」
 オレは──オレは照れ笑いしてしまう。無条件にうれしい言葉だったので。
 なんとなく背中がむずがゆい自分が、ただおかしい感じ。

 もう大丈夫、というふうに頷いて、イチゴ牛乳を飲み干すと、リュウジは立ち上がった。
 単車のところまで並んで歩く。

 「あ~、帰ったら単車直さねえとな」
 「エンジンおかしいんだっけ?」
 「おう。なあハヤト、今日、親父さんは?」
 「店にいるよ。多分」
 「じゃあ診てくれっかな。つーか、運ぶの手伝ってくれるよな、ハヤト?」
 「ん~、しかたないなァ」
 とか言いながら、オレはブーツの砂を払っている。
 「なあ、頼むぜ、ハヤト」
 「……オレがリュウジの頼みを断れたことって、あったっけ?」
 「そう来なくちゃな!!!」
 ばちん、とリュウジの手のひらがオレの背中に降ってきた。
 ──正直、かなり気合い入って痛かった。

 つと、リュウジが話題を変えてきた。 
 「にしても、マキ姉の見合いの相手って、なあ」
 「ああ、担任だったんだよな。オレもびっくりした。つーか一瞬気付かなかった。赤いジャージじゃないから。リュウジも知らなかった?」
 「当然。でも、まあ、アレはねえな」
 「え?」
 「アレはうまく行くわけがねえ、ってことだ」
 不敵に笑んで、リュウジは胸の前で腕組みをした。
 「あいつ、絶対マキ姉のタイプじゃねえもんな」
 ようやく声の張りがいつものリュウジと一緒になった──オレは安心していた。

 「へえ、そう。じゃあマキ姉さんのタイプって、どういう感じ?」
 「ふん、決まってるだろ。俺のような漢だって」
 「え、あ、そうなんだ」
 「おい、ハヤト! てめえ今笑っただろ?」
 「いや、え~と……」

 嗚呼、風神さま。この不器用で純粋な漢と巡り会えてオレは真実しあわせです。
 本気でないリュウジの平手を頬に感じながら、オレは今日もここにいる。
 世界の他のどこでもない、リュウジのいる鬼浜町に。

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コメント

はじめまして^^

ハヤトさんはじめまして。
毎回楽しみに勝手にオジャマしてますw
私も鬼浜町にすみたいです^^

Tohkoさま

コメントありがとうございます!!!
ひっそりと綴ってたので、読んでもらえて感激至極。
これからもマイペースでやっていく予定なので、ときどきのぞいていただけると幸いです。
今後ともどうぞ夜露死苦ぅ!!(←誰かの真似)
ところで鬼浜町は物騒なので、女性にやさしいところじゃない感じですww

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