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叢中に咲く一点の紅い花 4


 「あれ? ハヤトさん、今日は兄貴と一緒じゃないんスか?」
 放課後のこと。
 校門のところで出くわしたノブオが不思議そうな顔でオレを見た。
 「ああ、リュウジ? 何か用だった?」
 「いえ、そういうわけじゃないんっスけどね。ただ、なんかふたり一緒じゃないのが見慣れないもんで」
 「ははは。そんないつでも一緒にゃいないって」
 「そうスか? 珍しいっスよ。もっともハヤトさんがふらっと早退しちゃった時は別ですけどね。そんなときはだいたい兄貴が怒りながらオレんとこ来るんスけど。えへへ」
 「……まあ、そういう気分のこともあるよ」
 何もそんな怒ることないのになあ、なんてオレは思ってみる。

 「今日はリュウジ、千晶ちゃんと先に帰ったんだ。なんか千晶ちゃんに頼みたいことがあるらしい」
 「ふうん。あ、じゃあハヤトさんは暇ってことっスね。ちょうどよかった。ね、一緒に道場行きません? 今日はダイゴさんが赤ジャージ先生に稽古つけるらしいんで、見学どうっスか?」
 「へえ、そうなんだ。じゃあ行こうかな。そんな暇じゃないけど」
 「またあ。そんなこと言って」
 なんて軽口叩きながら、ノブオとふたりして道場へ行ってみた。

 もともと剣道の達人として知られるオレたちの担任・通称赤ジャージは、2学期に入ってから柔道一直線なんだ。
 今後の人生をかけて倒さなければならない相手が柔道家なので、ときどき柔道経験者のダイゴを相手に練習している。

 道場に行ってみると、ちょうど赤ジャージがダイゴに絞め技を掛けられそうになってるところだった。
 が、あわやというタイミングで赤ジャージが難を逃れる。
 「へえ、かわせてるじゃん、赤ジャージ」
 「ええ。最近ずいぶん身のこなしにキレがありますよ、赤ジャージ先生」
 「あ、今度は逆に仕掛けるんだ!!」
 「うわ~、いいんじゃないっスか? おおっ、これは有効くらいはありますね、きっと!!」
 なんて、なるべく邪魔をしないようにオレとノブオは道場の隅っこでささやきながら練習風景を見てた。
 ん~、さすがに気迫が違うなあ、ここんとこの赤ジャージは。

 しばらくそのままオレたちは見学していたが、赤ジャージの新たなコーチが登場したのを潮に、ダイゴと3人で道場をおいとますることにした。
 赤ジャージのコーチは、もちろん白いジャージ姿のマキ姉さん。
 是非とも厳しく鍛えてやってほしいもんだ。

 そんなこんなで学校から出たのは、だいぶ西の空が赤く色づく時分だった。
 ダイゴが腹が減ったというので、オレたちは3人で駅前のハンバーガー屋にきている。
 遅めのおやつを食べながら、オレたちの話題は赤ジャージのことを経て、千晶ちゃんへと辿り着いていた。

 「でも、千晶センパイって思ったよかアツい人だったんっスね。知ってました? ダイゴさん」
 「ああ。俺は去年同級だったからな。何かにつけて勝負にこだわるタイプだ」
 「うん。そうだね。ある意味学校の女の子全員をライバル視してるからな。女の子の人数少なくてよかったけどね」
 「そうか、鬼工のアイドルも伊達じゃつとまらないってことっスね」
 「まあ、相手が大人数でも変わらんと思うがな。性別は違っても、心は誰より女王様だ」
 「ははは、ダイゴ、それ千晶ちゃん聞いたらどんな顔するだろな?」
 「む──失言だったか?」
 「いやいや。案外言い得て妙って感じかも。プライドあるもんな。悪い意味じゃなく」
 なるほどね~、とノブオがもっともらしく頷いてる。

 「ところでさ、オレここんとこずっと思ってたんだけど」
 「何だ? ハヤト」
 「あのさ、千晶ちゃんってリュウジのこと好きなんじゃないかな、って」
 オレが言ったのに、ダイゴもノブオもびっくりした顔を見せた。
 「えええ~~~~っ!!」
 「そう──なのか?」
 「いや、ぜんぜん確信はないんだけどね」
 
 「まあ、千晶さんは中身は女性だからな。有り得ないとは言わんが」
 「言わないけど、何? ダイゴ」
 「いや──何というか……とにかく驚いた」
 いつもはどっしり構えてるダイゴが、珍しく動揺してるみたいだ。
 「そんなに意外かなあ?」

 そして、対するノブオの反応はと言えば──なにやら言葉を失って、ジュースのストローを無意味にもてあそんでいる。
 「ん? どうした、ノブオ?」
 「いえ……。ただ──」
 「ただ、何なのだ?」
 「相手が千晶センパイじゃ勝ち目ないっスね、オレ」
 しゅんとしたノブオの言葉に、オレとダイゴはふたりして目をぱちくりしてしまう。

 「え~と、ノブオ? どういう意味だ?」
 「千晶センパイと張り合っても、オレじゃあムリかなあ、って」
 「……ノブオ、冷静になれ。張り合うとは何だ? そういう意味なのか?」
 「そういう、って? ダイゴさん?」

 「ノブオよ。お前、好きな娘がいるって言っていただろう?」
 目を白黒させながらダイゴが訊いた。
 「あ、そりゃいますよ。えへへ。女子高に行ってるかわいい娘っス。照れるなあ」
 と、ノブオは顔を真っ赤にして答えた。
 「ああ、じゃあそういう意味じゃないんだ。あ~、びっくりしたなあ」
 「だからハヤトさん、そういうとか、どういうとか、何なんっス?」
 「あ、いや──」
 なんというか──ノブオはときどき理解に苦しむなあ。

 「ああいう、とか、そういう、とかよくわかんないっスけど、でも……兄貴だけは別格っスもん。だって、リュウジの兄貴はオレらの兄貴じゃないっスか!!!」
 「え~と……ダイゴ?」
 ノブオの理屈の意味不明さにオレはダイゴに助けを求めたけど、ダイゴも首をすくめただけだった。

 「とにかく、兄貴は誰かのものになんかなっちゃいけないんっス!!!」
 ノブオが拳でテーブルを叩いてこう力説した。
 それへ宥めるように、オレは言ってやる。
 「ノブオ、安心しろよ。リュウジに限ってしばらくはそんな心配いらないはずだ」
 リュウジが聞いたら怒るかな。いや、泣くかもな。

 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

ニヤ~・・・

やたら笑えました(笑)しかも一人で読んでるから
声を出して笑う訳にもいかず「ニヤニヤ」して読んでましたヨ。
すっごくキモイ、私。。。

リュウジのことを好きな女の子っていると思いますよぉ。
大丈夫、リュウジ!彼女できるって!うん。

>>ピノコさま

わはは、笑えました?
それはヨカッタ!!!
ひとりニヤニヤのピノコさんを想像してみます (´∀`)

>大丈夫、リュウジ!彼女できるって!うん。
これ聞いたらリュウジ泣くなあ、きっと。
励ましてあげてください(^-^)/





やっとぉ・・・

やっとおいつきましたぁ~
「叢中に咲く一点の紅い花」シリーズ4まで一気読みw
新たなかわいぃアイドル登場ぅぅぅぅ~♪
イメージは・・・イメージは・・・イメージは・・・
だめだぁぁぁ(T△T)
「KABA.ちゃん」しかでてこなかった(笑)

発想が貧困・蓮根・大根でっすorz

さてさてリュウジの悩みは・・・なんでしょぉ?!
たのしみっすーーw

>>Tohkoさま

いっき読み、おつかれさま~ (*^ー^)ノ

いいですよ、KABA.ちゃんでも。だはは。
わたしがズバリな形容を入れないのがいかんですな。
モーニング娘。にいそうな子、とでも。
あ、いいかげんだなあwww

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