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叢中に咲く一点の紅い花 6


 偶然なのか必然なのか。国道で行きあった暗黒一家に勝負を挑まれたオレたちは、各々単車から降りて輪になった。
 「コウヘイは本気だな、ハヤト」
 「ああ。今日はかなりやる気と見た」
 「もしかして、あたしのせい?」
 幾分すまなそうな顔を千晶ちゃんは見せた。

 「いや。千晶さんのせいではなかろう。奴らは何かというと俺達に因縁をつけるのが趣味のようだし」
 「そう……ダイゴ?」
 おそらく千晶ちゃんを慮ってだろう。ダイゴはおだやかにそう言った。
 「オウ!! ダイゴの言うとおりだぜ!! いつものことに巻き込んじまって悪いな、千晶ちゃん」
 「ううん。そんなの平気だけど」
 「まあまあ、いいから。これも一種のレクリエーションだと思って見てればいいよ、千晶ちゃん」
 オレは言いながら、千晶ちゃんの肩をぽんと叩いた。

 「向こうは奴が出てくるな。きっと」
 ちらりと敵陣に目をやって、リュウジが言う。円の中心にいるのは思った通りハンゾウだ。自信ありげにアクセルをふかすスキンヘッドが挑発するようにこちらを見据える。
 「だな、リュウジ」
 「そしたらハヤト、お前が行くな?」
 「ああ。それがいいだろうね」
 よし、ここが出番とばかりにオレは単車に戻ろうとした──が。

 「あの……兄貴。ハヤトさん」
 「うん? どうした?」
 「ええと、オレじゃダメっスか?」
 決然とした目の色を湛えて言ったのは、ノブオだったんだ。
 「──ノブオ?」
 オレは思わずノブオに聞き返す。
 「その……、オレも今日は本気っス。だから行きたいんス」
 ノブオの表情は真剣そのものだった。
 そして、オレもダイゴも、千晶ちゃんもリュウジを見つめた。そう、決断をくだす漢を。
 
 「そうか」
 リュウジは大きく息を吸ったあと、こくりと首を縦に振る。
 「相手は強敵だぞ? ノブオ、やれるんだな?」
 「はい──はいっ!! 兄貴、オレ、精一杯頑張ります!!」
 緊張しつつも、さも嬉しそうにノブオは答える。
 「よし。それでこそノブオはウチの若手の一番手だな!!!」
 リュウジはリュウジで、気合いみなぎるノブオに向かって、嬉しそうな顔をしていた。

 きっとオレが出てくるんだろうと、やはり暗黒一家は予想していたようだった。
 粛然とスタート地点につくノブオを見て、暗黒一家のどの顔も予想外だという表情をつくっている。
 「ほう。相手は若いのか。舐められたもんだなあ、ハンゾウも」
 見慣れた物騒な薄ら笑いを浮かべて、コウヘイは言った。
 オレたちの顔をゆっくりと眺め回すコウヘイの視線は、一瞬千晶ちゃんで止まったように見えた。
 「え、何──?」
 千晶ちゃんがそれを感じたのか、コウヘイに問う。それへは何も回答はなく、むしろコウヘイはつとめて視線を逸らせたような感じだった。

 「コウヘイ!! 御託並べてる暇なんかねえだろ? 早いとこ決着つけるぜ!!」
 「ふん。貴様に言われるまでもねえ」
 リュウジに言い返すコウヘイの視線は、今度は執拗にリュウジに絡みついていた。

 「両者とも、用意はよいか?」
 コウヘイの問いかけに、スタート地点に並んだふたりは頷いた。
 ハンゾウは余裕綽々の表情で、対するノブオはとにかく鬼気迫る雰囲気を醸す。
 その好対照ふたりがコウヘイの合図で、同時にスタートを切った。

 特に指定がなかったので、勝負のルートはいつもの通り、国道経由の鬼浜町一周コースだ。
 スタートからわずかの距離で勝負者の姿は見守る者どもの視界から消えるのだが、オレたちの見えている範囲では、ノブオが先行していたようだ。
 オレの隣で、千晶ちゃんが心配そうにリュウジの特攻服の袖口を引っ張っている。
 「リュウジ、ノブオくん、大丈夫?」
 「ああ──あいつもやる時はやるからな!! 信じてやってくれ」
 
 対する暗黒一家たちは、最速で鳴らすハンゾウを有利と見てか、これまた余裕のある顔をしている。
 「結果を見るまでもねえよなあ、タカシ?」
 「へへ、そうですね、総帥。ハンゾウさんに敵う奴なんてそうそういませんからね。ゴンタさんもそう思うでしょ?」
 「おう」
 「ですよね~」
 タカシはちらりとオレを見てそう言ったわりに、オレと視線が合うやいなや首をすくめていた。
 
 「……馬鹿にしてるな、奴ら」
 なんだか悔しくなって、オレはタカシから視線を外さずに呟いた。それがダイゴの耳に入ったらしい。
 「ハヤト。ここで熱くなっても仕方がない。待っている間、少し冷静になるといい」
 「──ダイゴ」
 ああ、ちょっと救われた。オレのこんな顔を見ると、いつだってダイゴはそう言って宥めてくれるんだ。精神的にけっこう支えられてるのをいつも感じる。

 「熱くなるのは、今日はノブオだけで充分だ」
 ダイゴの声ってのは、聞いてると案外落ち着くんだ。やれやれ、オレも落ち着いたよ。
 「うん、そうだね、ダイゴ。にしても、今日のノブオはやたらと気合い入ってたな」
 「押忍。おそらくノブオは──あ、いや、違うかもしれんが」
 「ん? 何? 気になる、ダイゴ」
 「ああ──もしかして、リュウジにもっと目を掛けてもらいたいのではないか、と」
 ダイゴは大きくない声で、そう言った。
 

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コメント

しょ、しょーぶだ!

こんばんわ、 華丸様。
どういう偶然か今日1発目の当りが、単車勝負対ハンゾウでノブオが行ったんです!
必殺!昇天汰悪慕でBB GETだったんですが、こちらのノブちゃんも勝てると良いな~
偶然とはいえ嬉しかったので書き込んじゃいました。
スミマセン…
それではまたお邪魔します!

>>単savaさま

こんばんわ~。
レス遅くなってごめんなさ~い。

うわあ、実機とリンクしましたか(^^:)
そちらのノブオは出来る子だったようで。
ヨカッタですね~~~ :*:・( ̄∀ ̄)・:*:

>必殺!昇天汰悪慕
これね~。感動するですよね。
あのピンク色の画面が何とも。
無条件で褒めてやりたくなりますな。ノブオ。

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