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アイドルの放課後 2


 そんなこんなでリュウジの家の近くまで、オレは千晶ちゃんと一緒に戻ってきた。
 オレはリュウジのところへつく前に、どうしても千晶ちゃんとふたりになったときに訊こうと思っていたことがあったことに思い至った。
 街路樹の下で足をとめて、千晶ちゃんに問うことにした。

 「そうだ、千晶ちゃん」
 「え? 何、ハヤト?」
 「千晶ちゃんって好きなヤツとかいるんじゃないの?」
 「あたし──? 好きな人?」
 「うん」
 
 オレは前にダイゴとノブオにこう言ったことがある──千晶ちゃんはリュウジのことを好きなんじゃないか、って。
 ダイゴが言うには、カラダは男子だろうが中身は女子なのだからそういうこともあるかもしれない、と。
 ノブオはリュウジに心酔しているから、かなり複雑な顔をしてたけど。
 とにかくオレはここのところずっとそんなふうに想像してたんだ。
 
 「まあね。いないこともないんだけど」
 ほんのりと頬を染める千晶ちゃんがいた。
 「やっぱりね」
 「あは、わかるんだ、ハヤト?」
 千晶ちゃんは目を見開いてオレを見た。
 「うん。まあ、なんとなく。それでもって、案外難航してるんじゃない?」
 「ん~。そうかも。相手はあたしの気持ちなんて知らないしね」
 うつむく千晶ちゃんはオレから見ても可愛いのになあ──。

 「そうだよね。リュウジ鈍いもんな。恋愛上手なほうじゃないし。千晶ちゃんも苦労するよな」
 なんてオレは同情しながら言ってみた。
 「え? リュウジ? リュウジがどうかした?」
 「ん──? だって、千晶ちゃんリュウジが好きなんじゃないの?」
 「え──えええっ? あたしが? リュウジを? なんで!!!」
 一瞬の間をおいて、あはははは、なんて千晶ちゃんはオレの背中をぺしぺし叩きながら大きな声で笑っていた。

 「あれ? 違った? オレ、てっきり千晶ちゃんはリュウジを好きなんだとばっかり思ってたんだけど」
 「違う違う!!! リュウジのことは好きだけど、ぜんぜん意味が違うよ」
 深呼吸で落ち着こうとしながら千晶ちゃんが言った。
 
 「ええとね。誰にも言ってないことなんだけど。ハヤトならいいかな」
 笑いを収めたあと、千晶ちゃんはオレを上目遣いに見つめてこう口を割った。
 「あのね、あたし男子にはそういう感情、もてないの」
 「──え?」
 「ちょっと複雑なんだけどね。あたし、好きになるのって……実は女の子だったりして」
 照れたように言う千晶ちゃんの告白は、オレの脳味噌をこれでもか、ってくらい掻き回した。
 
 カラダは男子、見た目とココロは女子。誰が見てもかわいくて、時に剛胆で逞しくて──そんなすべてを兼ね備えた千晶ちゃんの秘密ってのは、ホントに驚きだった。

 「ええと……ややこしいね、千晶ちゃん」
 「うん。混乱するでしょ? だって本人も混乱してるもん。あは。でもさ、ハヤトだったら相談乗ってくれそうかな、って」
 「オレ?」
 「そう。だから困ったら、ときどき話を聞いてよね」
 「まあ……お役に立てればいいんだけど」
 耳の後ろあたりをかりかり掻きながら、オレは千晶ちゃんに答えていた。
 ……オレもまだまだだな。

 ひとしきり会話を終えたあとのオレたちは、それまでよりもより強い友情に結ばれていたような気がした。
 そうだね、千晶ちゃんの憧れてた男同士の友情ってのに近いかも。
 
 そしてそれから気を取り直して、ふたりして本来の目的のリュウジの家に行ったんだ。
 店先でリュウジを呼ぶと、厨房の奥からリュウジが出てくる。
 「はい、これ。約束の」
 「オウ、ありがとな!!! 千晶ちゃん」
 千晶ちゃんに手渡されたふたつの袋を受け取って、リュウジはにこりと笑った。

 「そうだ、貰い物だけどプリンあるぜ。千晶ちゃん、食ってくか? 女の子は甘いもん好きだろ?」
 「うん、食べる!!! ありがとリュウジ」
 「ハヤトも食うか? お前も好きだったろ?」
 「ああ。いただこうかな」
 オレと千晶ちゃんが、プリンとリュウジのいれてくれたコーヒーをいただいている間、リュウジは思いだしたように家の中に入っていった。
 
 そして、ふたたび店に戻ってきたリュウジの手には、さっき千晶ちゃんが渡したのとは違う袋が提げられている。
 「千晶ちゃん。よかったらこれ着るか?」
 「なに?」
 千晶ちゃんは、手渡された袋から中身を出した。中から出てきたのは──
 
 「うわ、これって……」
 それは──特攻服だった。広げてみると、リュウジがいつも着ているのより丈の短い特攻服。
 「オウ。俺がずっと昔、総隊長なんて肩書きのない頃に着てたやつだ。小さくなったからな。古いので悪いけど、よければ今度一緒に走るときにでもと思ってよ。ちゃんとほつれたとこも繕ってあるし」
 「あは、ありがと。似合うかな?」
 スプーンを置いて、千晶ちゃんは立ち上がり──学ランを脱いでリュウジのお古の特攻服を羽織った。

 「へえ。いいじゃん、千晶ちゃん」
 「そう? ハヤト」
 ちょっと照れたような顔で千晶ちゃんはオレを見る。
 「おう、なかなかだぜ!!! でもやっぱりちょっと大きいか?」
 「ううん。どっちかっていうと大きいほうが好みだよ、あたし」
 「ならいいやな。持って帰ってくれな」
 「うん、そうする。ありがとね、リュウジ」
 脱いだ特攻服を袋にしまいながら、千晶ちゃんは言う。
 
 「あ~、でもさ。これ着て夜の河川敷の集会とか行ったら、完全に女の子にはヒかれるよね、ハヤト。あたしどうしようかなあ」
 「あはは、そうかもね」
 千晶ちゃんの耳打ちに、オレは軽く笑って答えた。そんなオレたちをリュウジが見咎める。
 「ん? 何を内緒話してるんだ? ふたりとも」
 「何でもないよ、リュウジ。ね? ハヤト」
 「ああ。ただ、リュウジのお古を千晶ちゃんが着てたらさ、ノブオがやきもち妬くかな、って」
 「ノブオが──? 何だ、そりゃ」
 「わはは。だから何でもないってば」
 
 しばらく店の中で話をしてたんだけど、そろそろ夜の営業時間が始まるっていうタイミングで、オレと千晶ちゃんは帰ることにした。
 「そしたらまた明日、学校でな」
 「うん。また明日ね」
 「ハヤト、明日こそ寝坊すんじゃねえぞ?」
 「わはははは、え~と、努力します」
 別れ際のいつもの挨拶。こんな日常の積み重ねをなんだか愛おしいオレって、幸せなのかもしれないな。
 
 見上げれば夕焼けの気配が混じった秋の空。
 秋らしい薄めの雲が、ちょこっと茜色に染まっていた。


   * アイドルの放課後 完 *

 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

鬼浜の4人って

みんなそれぞれ特攻服が違うんですよね。
ハヤトはちょい短め。しかもあの腰元のシッポが
なんというか・・その・・・「萌~ッ」なんです!MOE~!
うわー言っちゃったぁ。MOEEEE~!ヲタク~ッ!
「天下無敵」画面の際はぜひご確認ください。
え?もう知ってる???

>>ピノコさま

え~~~、ハヤトのしっぽって……なに?
うわ~、不勉強だ、わたし(^^:)
こんど確認してみます!!!

わたしの「萌え」(恥ずかしいなあ)は……
リュウジの背中の赤いたすき、かなあ :*:・( ̄∀ ̄)・:*:

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